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「私」という物体

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ライターとしての私とライター以外の私
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#webライター

ただ会うために、逢いたくて。

この人とずっと一緒にいたい。そんな願いを持つのは、おこがましく思える。叶わなくて当たり前の「ずっと」を願うなんて、贅沢だ。それなのに、「ずっと」の有効期限をなんらかの形で求めたくなる自分に幻滅する。

私の中で「私たち」とくくるのは隣にいてくれるあの人ではなく、まだ遠くに行ったあの人のほうだ。傍に寄り添ってくれるあの人とはまだ、IとYouの関係。そう気づく瞬間が痛い。

自分が自分ではないような感

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結局、コンプレックスだらけなわけで。

結局、コンプレックスだらけなわけで。

誰かを好きになると、その相手に好かれる自分になろうとしてしまうのが辛く、疲れてしまう。

誰かの顔色を窺うのが日課だった幼少期。それが心と頭に染みついていて、目の前の相手が求めていることを察する、無駄な能力が発達している。「これしてほしそうだな」「こうしたらもっと想ってくれそうだな」――そんな打算的な気持ちを恋心に込めている。その自分が滑稽で、どれだけ愛されたいんだよと笑えてくる。

どんな私なら

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私は今、「生き直し」をしているみたいです。

私、いま、生き直しをしてるような気がする。最近、もっぱら湧き上がってくるのが、この感情だ。

離婚をして、広い一軒家でひとりで住むようになった。私はひとりが苦手だ。いままで、ずっとそう思って生きてきた。現に、旦那が出て行く前は孤独感に堪えられるか不安で、離婚が決まっているというのに、一緒に外出していた。周りから見れば、問題のない仲良し夫婦に見えていただろう。

そんな日を数ヶ月間続け、遂に旦那が出

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女子であり続けられない

女子であり続けられない

「女子であり続けることが、私には難しいかもしれない」―そう思い始めたのは、いつの頃だっただろうか。目覚ましく変わるトレンドや新しい化粧品、メディアで流れるダイエット情報。そのすべてに興味が持てない私は、おっさんな中身のまま、女性の見た目で上手くごまかしながら世間を漂うことしかできなかった。

化粧を塗り固めた外見。アイロンやコテで無理やり癖づけられた髪。骨のような体。私が身に付けているそれらを見れ

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切り捨てられないライターになるには

切り捨てられないライターになるには

ライターになってから常に実感するのが、クライアントさんとの関係を良好にしていくと、仕事が増えていくなということ。

文字や記事の価値が上がってくると、「自分の力はこんなに安くない」と思ったり、クライアントの無茶な納期にイライラしたりもしてくることがあると思う。でも、そんなときこそ、1記事数十円だった時代のことを思い返してみる。

自分の文字がお金になるということは、当たり前ではないし、自分だけの力

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