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【エッセイ】「〇〇が出来るのは××歳まで」って、16進数でも同じこと言えるの?

転職するなら35歳まで。未経験職種に転職するなら30歳まで。
三度転職してきた自分が、転職活動中によく聞いた言葉。

そういう雰囲気は、過去に勤めた職場でも…つまり、採用側にも確実にある。いまだに、企業の求人票、採用ホームページを見ると『スキル蓄積のため応募は35歳まで』的な文言を見つける。
極端に言えば、新卒採用、第二新卒採用も似たようなもので、ある程度、応募者を年齢で切り捨てようとしているのだ。

結婚するなら…子供を産むなら…留学するなら…新しいことを始めるなら…。生きていると、様々なところで年齢の区切りという概念にぶち当たる。
本当はそんなの、個人によって千差万別のはずなのに、なんとなく社会という大きな存在から、雑にカテゴライズされている気がする。


ただ、よく考えてほしい。
〇〇するなら××歳まで。こういうフレーズは聞いたことがあると思うが、その「××歳まで」が、妙にキリのいい数字ではないだろうか。
大体が「20歳」「25歳」「30歳」「35歳」「40歳」などの、5歳または10歳刻みであることが多い、というがほとんどであると思う。
「転職するなら28歳4か月まで!」などという、細かい数字を提示されたことは無いのではないか。

「これ、なんとなくキリがいい数字に適当に合わせてもっともらしいことを言っているだけでは?」
ひねくれている自分は、ついそう考えてしまう。

仮にである。
仮に、この世の中の数字の数え方が、16進数だったらどうだろうか。

10進数での10は、16進数ではA。
16進数での10は、10進数では16。

10進数での20は、16進数では13。
16進数での20は、10進数では33。


こうなると、例えば10進数で「転職するなら30歳までだよね~」が、16進数で同じ年齢を表すとすれば「転職するなら1D歳までだよね~」となる。

いや、おそらく、16進数の世界ではそうはならないだろう。
そんなキリの悪い表現、数字で概念が話されることはないだろう。
きっと16進数では「転職するなら20歳までだよね~」と、キリのいい数字で語られるだろう。
実際、10進数でも5歳刻みや10歳刻みで語られるからだ。
ちなみにここでいう16進数の20歳は、10進数でいう33歳だ。


ここで考えてみたい。
10進数なら、生まれてから30回誕生日を迎え、様々な経験をした。
16進数なら33歳、生まれてから33回誕生日を迎え、様々な経験をした。

3年の差。そこに何が見いだされるのか。
3年の差は、バッサリと書類選考で落とされるくらい大きな差なのか。
きっとそんなことはない。
33歳でも雇われるべき人はたくさんいるし、逆に言えば27歳だから絶対に雇うべきという話ではない。
年齢なんて、ただの数字の重なりである。
そう思っている。

人は生まれる前、親や生活環境という時点で数えきれないほどの変数がかかり、その後生きていくうえでまたとんでもない変数がかかってくる。
画一的に評価するなんて不可能だ。
しかし、社会が個々人を徹底的に個別化して評価することもまた、現実的ではない。むしろ、そんな絶対評価をされる社会も息苦しい。
ある程度の「遊び」は欲しい。

だから、何が正しいというわけではない。
ただ一つ言えるのは、年齢で他人をカテゴライズするのはやめたほうがいいのではないか、ということだ。

それは、自分にも跳ね返ってくるから。

自分自身でも気をつけたい。
「〇〇歳だからもうこんなことはやめておこう」
10進数のキリのいい数字に囚われ、そう思わないように。

それは常識ではなく、足枷だ。

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