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或る若者の思索

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私が日常生活の中で感じた何気ないことを、日記よりちょっとだけ推敲して書いてます。
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#夏

サマタイムゴン

サマタイムゴン

 夏が終わってしまったことをこんなに寂しく感じるなんてな。ベランダに吹く風は、そっと次の季節の到来を告げている。風こそ見えねども、秋は来にけり。

 仕事はいつも通りだ、友人関係もいざこざはない。家族仲も良好だ。嫌んなるくらい健康体だし、飯だって毎日作ってしっかり食べてる。ちゃんと美味しい、味覚もイカれちゃいない。夏バテなんて言葉とは無縁の食欲に自分でも驚く。
 
 そういえば今年の夏は海にもプー

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眠れない夏の夜に

眠れない夏の夜に

 皮膚にへばりつくようななまぬるい風が、草木を心地よく揺らす風に変わったような気がした。人々の熱気とともに、夏は音速で過ぎていったのだ。

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 成就した恋ほど語るに値しないものはない、というとある学生の言葉があるが、あれは本当にそう。幸せな結末ほどつまらないものはないし、過ぎ去った季節には誰も興味がない。ハッピーエンドはハッピーエンド以外の何者でもない。人は皆、心のどっかで、自分に被害のない

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盆・ボヤージュ

盆・ボヤージュ

悲しいことは、悲しいことがあれから一度もないことさ。最後に悲しみに暮れたのはいつの日か。お盆の時期になると、なんとなく肌身で感じるやるせなさ。このやるせなさの輪郭が年々、形取られていくようになってきた。

 「夏休みのターニングポイント」くらいにしか、お盆というものを認識していなかった。気づいたらなんとなく夏だったのだが、気づいたらなんとなく秋の口が見えている。夏、この度めでたく24度目の解散。

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持続可能な夏

持続可能な夏

 最近よく耳にするようになった「SDGs」というワード、今日は昼時のカーステレオから流れてきた。子供が無邪気な声で『SGDsってなーに?』と問いかけるラジオCMだった。子供にはわかんねーよな。

 私にもわからない。どうやら、"最近の企業が取り組んでいる何らかの社会貢献活動のようなもの"という認識に過ぎない。学生時代にSDGsについての講義を受けたことがあるが、それは味気ない精進料理を食ったときの

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