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或る若者の思索

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私が日常生活の中で感じた何気ないことを、日記よりちょっとだけ推敲して書いてます。
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#旅行

私は二度、旅に出る

私は二度、旅に出る

 若いうちは無茶な行程の旅路でも意外となんとかなるものだ。片道8時間かかる各駅停車での移動だって、ネカフェでの雑魚寝宿泊だって、市街散策で交通機関を使わずひたすら歩き続けることだって、体力と気力があればそんなの苦でもない。移動だけで潰れる一日も、安く済ませるためには仕方がない。シャワールームと身体を横にするスペースさえあればホテルもネカフェもさして変わらない。おまけに深夜バスなら宿泊と移動が同時に

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どこから行っても遠い町

どこから行っても遠い町

 川上弘美さんの著書「どこから行っても遠い町」を読んでから随分経つ。その心地よいタイトルを書店で一目見た瞬間に引き込まれ、気が付いたら本を片手に書店を出ていた。正直に言うと、購入してそのとき一度読んで以来まったく読み返してはいないのだが、どこかノスタルジックなそのタイトルが、今も私の心に棘を残している。

 どこから行っても遠い町…か…。

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 「どこでも住めるとしたらさ、どこに住む?」

 

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揺れて思い出す

揺れて思い出す

 揺られたくなってきた。ときどき思う。「ワンマン」と表示された1両だけのディーゼルカーに乗って、終着駅まで揺られたい。あるいは、寂れた地方の港から出ている船に乗って、名前も歴史も知らない島まで揺られたい。「揺られたい」にもたくさんある。色あせつつある少し昔のことを、ぼんやり思い出すための"揺れ"が欲しい。

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 電車の中で一瞬だけお茶を飲むこともはばかられる。腕と腕、脚と脚が絡みつくこの空間で

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現実離れした現実から現実逃避

現実離れした現実から現実逃避

 旅先からコンニチハ。世はオリンピック2020開会式、あまりにも現実離れした現実に戸惑っていた世間も、そのムッとした熱気にうなされて、それとなく人々の心が動き始めたような気がした次第でございます。
 当の私はと言いますと、旅先の質素な四畳半で、お茶をグビリと飲みながら開会式の様をテレビで見たり見なかったりしています。

 さすがに3連続でティーバッグ氏を登用すると出るモンも出なくなってくる。アメニ

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