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#短編小説
【掌編小説】臓物屋「ますだ屋」
臓物屋「ますだ屋」の朝は早い。
まだ夜も開けないうちから、俺は臓モツの仕入れのため、バンを飛ばして臓物卸売り市場へと向かう。
「ますだ屋」は俺が30歳になったとき、晴れて父親から店を受け継いだものだ。店主になって5年経つ。
市場に到着すると、台の上にいくつもの金属桶があり、モツの種類別に並べられている。
俺は目を皿のようにしてみずみずしい臓物かどうか見極める。
ナマモノを扱う上で一番大切なのが目
【掌編小説】赤鬼、吼え
武雄を乗せた軽自動車に雷が落ちたのは、6月のある豪雨の晩のことだった。
恐怖のあまりに失神した武雄が次に目を覚ましたときには恐らくは翌朝だろう、見知らぬ民家の布団に寝かされていた。
もしかして誰か俺を助けてくれたのか。
枕元には武雄の服が畳んで置かれていた。服を嗅ぐと柔軟剤の良い香りがする。どうやら洗濯してくれたらしい。
昨晩着ていた服の代わりに武雄にはバスローブが着せられている。
【掌編小説】わたしのおうちはどこですか
私のおうちに帰りたい。
さっき会社で佐藤まなと言い合いをしました。二個上の先輩、佐藤まなは彼女と同期の大石先輩のことが好きで、それは堂々と公言してるから周知の事実。大石先輩も否定すりゃいいのに悪い気がしないのかへらへらして、でも2人は付き合ったりはしない。お付き合いしていることは断固拒否している。2人を見ると本気で腹が立って関節技きめたろかこの女と思うことはあるけど、わたしは大の大人だもの。そんな