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めいっぱいのかなしみのあとに
みんなで育てていたウサギが死んでしまって泣いた朝
きみが集めてくれたリュウノヒゲの実も朽ちてしまった朝
大切にしてた宇宙ヒーローの人形を貸してくれた朝
ぼうりょくてきなやさしさを
涙で濡れた頬をお互い思いっきり抓って笑った
ポケットいっぱいの蓑虫と団子虫、床にぶちまけた
大切にしてた白い子猫のぬいぐるみと交換したんだった
「これがさいごじゃないよ」って
立ち止まらないと通り過ぎてしまいそう
花の名前を知らないあなた
胸が痛くなる夕焼けの色の食べ物を
ブラッディ・オレンジと名付けたのは誰だろう
血液を絞って描いたような帰り途
答えの出ない疑問は足音の速度で循環する
見上げるとそこに星はなく
見下ろせば足元の無数の花を
踏みつけてぼくら歩いている
星が見えないのは月が明るすぎるから
花が枯れないのは土が強すぎるから
昨日降った雨は空を枯らして
明日の分の雨はもう
排水溝から流れ出して消えてしまう
星の名前を
きれいなものになりたい
マスクで顔を塞ぎ
ムジルシで体を覆い
インスタグラムの画面は
虹とかカフェで埋め尽くし
アマゾンとアップルと
アースカラーの中に埋もれて
見えなくなっていくのだろうか
ぼくたちは。
水に浮かんだ手水鉢の花
きれいだね
みんな打ち首みたいでさ。
泥から生えて咲くスイレンと
ぼくは沼で呼吸していたい
土とミミズと羽虫にまみれた
ナチュラル・ビューティー
清き水に棲むお魚だって糞をするんだぜ
ラ