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名津乃 綾【季節】

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季節を感じて書いた作品を 集めております 春夏秋冬…。
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2020年9月の記事一覧

祭り宵

祭り宵

シャワーで汗を流し
身体を拭いて
髪を乾かしたら

紺地に赤い花柄の

浴衣に袖を通し

檸檬色の帯を巻いて

まだ湿った髪を結い上げ
朱色のかんざしを刺す

うっすらと白粉
目には黒いアイライン
桃色の頬紅ふんわりと
唇には紅い口紅艶やかに…

漆塗りの下駄をカラコロ鳴らし
日暮れの町を

歩いていく

暗くなり

提灯の灯りも鮮やかな

今年最後の

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曼珠沙華

曼珠沙華

過去
君と
山道で見た
彼岸花

私は
彼岸花が嫌いと言った
君は好きだと言った

血を吸い上げた様な
怖い程の赤
彼岸に咲く花
毒がある花

私は
あの花が
何故か

怖い…

君は消え去り
もう二度と
一緒に見る事も
無いけれど

今年もまた

あの道に咲き誇る
血潮色の

曼珠沙華を

彼岸

彼岸

急に気温が
下がり始め
夜の訪れは
随分と早くなり

その分

日は短くなり

当たり前のように
毎日鳴いていた
蝉の声も
気づけば
まばらで

今年の
夏は

本当に

終わったのか…


涼やかな風に
吹かれながら

何かが

寂しくて
下を向いた

空が

茜色に染まった

彼岸の夕刻に

何故だろうどうしてだろう

何故だろうどうしてだろう

明日から4連休

明日から…

そう
明日から…とか
もうすぐだねー!…とか

言ってる時が良いのです

つまり

今が(連休前日の午前)

1番良いのですー

今夜眠って
明日の朝目覚めれば

連休なんて

あっ!!!

という間で
気づけばすぐに

連休最後の夜になり

そして

気だるく憂鬱で眠たい

勘弁して〜って気持ちになる

あの

連休明けの

恐怖の朝 (

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九月十五日

九月十五日

気がつけば

九月も半分

追いつかぬ

心を置いて

過ぎる年月

重陽の節句

重陽の節句

時々分からなくなる
何故
産まれてきたのか
自分が
この世にいる意味は
あるのか

ふと
考える
答えは出ない

いや
きっと
もう出てる

無用の長物とは
よく言ったものだ

重陽の節句に
飾られた

美しい菊を見たけど

何故だろう

潤んで
霞んで
よく
見えない

何かが

頬を

流れ落ちていく

台風の目

台風の目

あれ程

賑やかだったのに

急に少なくなってきた
蝉の声が

切なく

愛おしい

虫の音は
涼しげでいて
何か

寂しい

夜の足音は
日に日に
早くなり

暗くなる時間も

早くなるばかり…

買い物に行けば

店の内装も
変わってしまった

大好きな

海の色は

水色は

何処へ行ったのか

どこを見ても

秋の色…

そんな感傷など
関係ないと

馬鹿げてると

笑いながら

台風の目

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記憶の夏

記憶の夏

早朝のラジオ体操の音

風に鳴る風鈴

真っ白な入道雲と鮮やかな青空

黄色い向日葵

青々と茂る緑の木陰

焼けつく日差し

どこか懐かしい

蚊取り線香の薫り

浴衣姿に下駄の音

金魚模様の団扇

お風呂上がりの夕涼み

花火の

艶やかな色と光と

響きわたる音

あの頃の

大好きな

夏の日の

記憶…