#小説
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玉岡あひるの荷物と荷づくり
日本は平和なんさ。そう、恐らく根本的に、土とか水の段階からして平和なんさ――中学生までの期間をニューヨークの都市部で暮らしていた玉岡あひるにとって、それは日比谷公園の鳩をみながら、山の手の満員列車でスマホケースを破損させた女性の悲鳴を聴きながら、神田川をみながら、つねづね確認させられている揺らぐことなき胸懐で、そしてそのものの見方や感じ方が彼女の態度のはしばしにあらわれると、それはクラスメイトた
もっとみるppp(非常にパルプに)と符合がある幕間劇のつづき――または「僕のやり方をみせてやろう」
そして赤錆びた駅舎を抜けた僕はフロアーの真ん中でうつ伏せに倒れていた。
立ち上がろうとするとパイプ椅子が頭に当たった。
防災訓練でもあったらしい。
「わりと器用なのね」
「屑みたいな気分だ」
「お酒は呑んでいないはずよ」
「屑だ。屑だ」
時折起きしなに体験する意識消失のように、立ち上がろうと思っても立ち上がることができない。
僕は床の上を泳ぐようになる。
フローリングの床をつかむような
令和の御代のはじまりと私――掌編にかえて
沸々として湧き出るものが、溢れて零れる時を私はずっと待ち受けていた。
もうだれとも逢いたくない、人と出会って話をしていると私は彼らの言葉に声に、私の懐中から取り出した細やかな工具を用いだし、醜い部分を裏返しにさせて露呈させ、私はそれ以外の従来の工具の使い道を見失っている始末だった――なにを言っているの? 慥かに君には僕が何を言っているのか分からないかも知れない。けれどももう本当に見納め時だとお