記事一覧
一報 【ショートストーリー】
「はい、トアル出版社、世中(よなか)です。
…はい、はい、
…な、っなんだとっ…!?
あの伝説の、小説家の…、
窓 ンナ(まど んな)先生の…、
ご、五十年、ぶりにして、生涯をかけた、集大成の、最後の、遺作、となるかもしれない、と噂される…、
待望の、最新作の、原稿が…っ!
ぬ、盗まれた…、
…かもしれないっ!!
ま、まさか、
…と、
先生が仰っていたけれどっ!?
やっぱり
つぎの道 【ショートストーリー】
わちしは俳人、風人(ふうひと)である。
廃人風塵(はいじんふうじん)ではない。
しかし、考え方によればそれも悪くないか。
なかなか味があるし、いかすではないか…。
…どうしよ、今から変えようかな…。
いやしかし、それはやはり、退廃的に過ぎて、わちしには荷が重いか…。
いや、しかし、あえてそういう路線でも、いや、待て…、早まって、出るもんも出ず、困っても困るが…。
本日は、我が国の景勝地のひと
石 【ショートストーリー】
「あ、この石、なんか新幹線みたいな形してる。」
私は石である。
道にあり、佇んでもいるわけでも、いないわけでもないが、まぁ、道にある。
今、私は、小学生らしい少年の掌の上で、彼の瞳に見つめられている。
彼にとって、私はしんかんせんとやらの形に似ているらしく、そのことが彼の興味をひいたようだ。
私はしんかんせんとやらは知らない。
しかし、彼にとってはしんかんせんは好ましいものなのかもしれ