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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】「食」西洋医学と東洋医学で何が違う?

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

これまでの記事では、季節に応じた様々な食べ物、食材、植物などを取り上げて、栄養学的な効果や東洋医学的な効能をご紹介してきました。
前回の『真っ赤な「トマト」は女性の味方!』では、❝ 東洋医学における味覚=五味(ごみ) ❞について触れましたが、実は、東洋医学的に食材をみる方法はほかにもあるのです。

そこで今回は、「食」西洋医学と東洋医学で何が違う? と題して、そもそも西洋医学と東洋医学は何が違うのか、栄養学と薬膳の違いとは何か、についてそれぞれの特徴をみていくことにしましょう。

では、どうぞ最後までお楽しみください。

1.西洋医学と東洋医学の違い


筆者は、普段、鍼灸師として鍼(はり)と灸(きゅう)を用いた鍼灸治療を行っていますが、その際には、伝統的な東洋医学の考え方を用いて病の原因の診断と施術を行っています。
また、昨今、NHKの番組「東洋医学ホントのチカラ 鍼灸・漢方薬・ヨガ」という番組でも取り上げられたように、西洋医学ではなかなか上手くいかない原因不明の不定愁訴に対して、東洋医学の治療法が効果を発揮することがあり、日本でも東洋医学が少しずつではありますが普及、その力が見直されてきているように感じます。

では、そもそも、東洋医学とは何なのでしょうか?
一般的には、東洋医学はなんだかよくわからないけど、鍼灸院や漢方のことではないかとイメージをする方が多いと思いますが、実は、中国の伝統医学に基づいた医学のひとつであり、古くは3000年の歴史があるものなのです。

では、次に、西洋医学と東洋医学の違いについてみていきいましょう。

1)西洋医学

西洋医学は現代医学と呼ばれることもあり、病気そのものに着目して症状の原因となっている部位や原因を取り除くような治療が一般的に行われます。

身体全体の診察や問診のほか、血液検査や画像検査などの客観的な数値データを使って診断を行います。
各検査には、基準となる「正常値」が決められており、自覚症状があっても検査結果が正常範囲であれば、病気であると診断されないこともあるようです。

2)東洋医学

東洋医学は、患者の体質や特徴を重視し、望診(ぼうしん)・聞診(ぶんしん)・問診(もんしん)・切診(せっしん)という4つの診断方法で全身の状態をみていきます。
そして、集めた情報を総合的に判断して、全身のバランスがどのように崩れていて、その原因はどこにあるのかという根本原因を特定した上で、漢方・鍼・灸などを用いて治療にあたります。

東洋医学は、患者の自然治癒力に着目してからだの持つ本来のバランスを整えるように働きかけていく治療法なのです。
治療により東洋医学的な根本原因を改善していくことで、原因がはっきりしないような病気、いくつもの症状が重なって現れているような場合にも、症状の改善が期待できます。

2.食事の見方

次に、食事に関する、西洋医学と東洋医学の違いについてです。

1)西洋医学

西洋医学の視点では、食事=栄養と考えます。
栄養とは、食物などを摂取し、体内で消化、吸収することによって生命を維持していく一連の活動を指しています。
具合が悪い時などに「栄養をとって元気になる」というときの栄養は、本来、栄養の源になる物質(栄養素)を指していますので、若干意味が異なっています。
栄養学の視点では、その食品に含まれる栄養素がどれくらいあり、どんな生理作用があるかを考えて、栄養素のバランスを整えることで病気を治したり、バランスが取れた食事を続けることで病気を予防する、と考えます。

2)東洋医学

東洋医学には、食材を薬としてとらえてバランスのよい組み合わせを食すことが健康に役立つという『薬食同源』の考え方があります。
もともと食べ物は生薬と同じ自然の中に育ち得られるもので、食べ物と薬は区別できないという考え方に基づいています。
最近では、からだによい食事を薬膳と呼ぶことがありますが、本来は、体調に合わせた食材や調理法を取り入れた料理を指し、食材の特性を見てからだにどのように影響するかを考えた料理のことを薬膳といいます。

3.東洋医学から見る食材の特性

東洋医学では、食材にも薬と同じようにからだに作用する特性があると考えられていて、それぞれの食材には『五味』・『五性』が分類されています。
『五味』については、前回の『真っ赤な「トマト」は女性の味方!』でご紹介しましたので、今回は『五性』についてご紹介をします。

『五性』とは、食材が「からだを冷やすのか、温めるのか」という性質のことで5つに分類されています。

五性

1)熱性

からだの冷えを強く温める作用があります。
【代表的な食材】山椒、唐辛子、こしょう、クルミなど

2)温性

からだの冷えを温める作用があり、新陳代謝を活発化させます。
【代表的な食材】生姜、栗、エビ、鶏肉、カボチャなど

3)平性

温熱性にも寒涼性にも属さないもので、温める作用も冷やす作用も持たないため、寒熱のバランスを崩すことはありません。
【代表的な食材】あずき、キャベツ、トウモロコシなど

4)涼性

からだを冷やし、熱邪を取り除くことで、消炎・解熱・鎮静・滋潤の作用を持ちます。
【代表的な食材】大根、キュウリ、セロリ、ホウレンソウなど

5)寒性

からだを強く冷やし、熱邪を取り除くことで、消炎・解熱・鎮静の作用を持ちます。
【代表的な食材】スイカ、豆腐、レンコン、タケノコなど

一般的には、香辛料は温性が多く、夏野菜は寒性・涼性のものが多いとされています。

4.秋の食養生

『2.食事の見方』でも少しお話したように、食材はその旬の季節に合わせて食べるのが健康によいとされています。
日本には四季の季節変化があり、それに伴って身体の状態も変化していきます。
四季の変化により外気(風・暑・湿・燥・寒など)の影響により身体におこる様々な不調を旬の食材が持つ性質が助けてくれます。

それでは、秋が深まるこれからの季節の食養生は、どのようにしたらよいでしょうか?

秋分を境に陰陽が逆転し、冬を迎える準備の時期に入ります。
秋が深まるにつれて空気の乾燥がすすむため、津液(体内の水分)が不足し肺の臓が弱くなりやすい時期でもあります。
呼吸器系のトラブルや皮膚の乾燥などの症状が現れやすくなりますので、
体内の津液を補うためには胃腸の消化吸収力がポイントとなります。

養生のポイントはふたつ。
①体内の乾燥を防ぎましょう(潤肺、滋陰生津)
【おすすめの食材】レンコン、牛乳、卵、豆腐、貝類

②からだを温めて肺気を養いましょう(補気温肺)
【おすすめの食材】もち米、うるち米、クルミ、ハチミツ、鶏肉

鶏肉とレンコンの煮物や鶏肉と豆腐のスープなど、食材を組み合わせて摂るとよいでしょう。

5.まとめ

これまでご紹介してきたように、栄養学と薬膳は食材に対する考え方が異なっていますが、どちらも食材を組み合わせてバランスをとるという点では、考え方が似ています。
どちらがいいというわけではなく、いずれも病気を予防したり改善させたりするための手段です。
自身のからだに合わせてそれぞれをうまく活用すれば、食の力で健康な身体を作ることができます。

いかがでしたでしょうか?
「食」西洋医学と東洋医学で何が違う? はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

食養生、毎日の食事こそがわたしたちの身体をつくるもととなっています。最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『東方栄養新書』、『基本としくみがよくわかる東洋医学の教科書』
参考資料:日本東洋医学会ホームページ

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