随想一夕『咲かぬと云われた花が咲く』
3月の25日過ぎだったろうか。実弟の葬儀を済ませ帰阪しての数日後。スーパーへと買い出しに行った帰りに仏花を買うため花屋に立ち寄る。色とりどりの花が並べられた店先には接ぎ木された若葉だけの薔薇が売られていた。
幾株も売られていたのだが、その中からあしらいの良さそうな接ぎ木の株を選び花屋のレジへとむかう。40代半ばほどの店主が機嫌よく対応をしてくれた。
「色は薄い桃色の薔薇ですよね。何月ごろに咲きますかね」そう訊ねると店主は「今年は咲きませんね。接ぎ木して刺したばかりですから、ツ