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30代プライム上場企業部長のマネジメント

悩むなら、演じてみる。演じれないならモノマネしてみる


さて、今回は上場企業の若手マネジメントとしてどんなことに気を付けてきたのかという思考を整理してみたいと思います。
私のいつもの記事のごとく結論を先に書いているのですが、おそらく若くしてマネージャー・課長、部長になられている方は「悩む」というフェーズが遅かれ早かれやってくるのではないでしょうか。
それについて、私なりの思考というか見解的なものをツラツラと書いてみたいと思います。

まずは私の紹介から

・36歳でマネージャー(いわゆる課長)
マネージャー就任のきっかけは自分です。自分で会社の現状を俯瞰的かつ未来的に見たときに、ある機能を担う横断機動的組織が必要ではないかということを提言し、自ら綱領を作って私が就任したという経緯です。
その時は生まれたて組織だったのでわずか5人のチームでした。
今までにない厳選された新しい商品やスキームを編み出してきました。
しかしながら、組成2年で会社の戦略変更と大きな体制変更があり、このチームは解散。私は事業部のチームマネジャーと任務が変わることとなります。


・39歳で部長
その後、事業部としての売上・損益責任を伴う部署の責任者となりました。20数名のメンバーでしたが、前年のマネジャー時代から2年連続で計画を達成し、元々は社内で2番目の事業規模でしたがそれを機に最大規模を担う組織となりました。
事業部での活動の後は、事業管理、事業統括、販促・プロモーション、クリエイティブ、ブランディング、CRM、会員育成などの領域を現在までに担当しています。


年上のメンバー(部下)との関わり合い

悩みのメジャーどころといえばこちらではないでしょうか。
私も年上のメンバーが多いです。ちなみに、私は部下という言語は好んでおらず(部の下という字が嫌い)メンバーと呼んでいます。
現在、私の組織には50数名のメンバーがおり、3分の1以上は年上です。

突然の若手部長就任あるあるですが、今まで普通に会話していた方々が突然敬語になったり、タメ口と敬語のちゃんぽんになったりとお互いがお互いを気にしあうという謎のシチュエーションが発生したりもするので、余計に気を使ってしまうのかもしれません。

その場合のソリューションは、シンプルです。

偉いのだから、普通に偉そうにしておけばいいのです。
ただ、その裏には責任と相手へのリスペクトはマストですし、横柄にせよと言うわけではありません。

周りは若手でも能力があるから、可能性を会社が認めたから抜擢したと思うはず(よほど素行が悪くなければ)。
なのに、周りにへーコラしてソワソワしてたら逆にメンバーが不安になります。

でも私はその辺りは意識しつつも、硬い空気を作らないようにカジュアルな雰囲気が出るようにメールやSlackの文言を工夫したり、退社するときは残ってるメンバーに声をかけて帰ります。

さて、場が人を作るという格言もあります。

そのうちに自分がその場にあったようなスタイルに変貌するものです。
しかし、それが完成するのは個人差がありますし、完成までに組織が崩れたら元も子もありません。
ゆえに、冒頭の結論の"演じてみる"を行ってみてください。

演じるとは、どこかの会社のエライ人でも学者でもYouTuberでも何でもいいので、自分がこの人ならついていきたいなと思えるモデルを作り、その通りに寄せるのです。
すると自然にそのような振る舞いに変わっていきます。

コツはモデルになる人の「特徴のある口癖」をあえて意識的に使ってみることです。

特徴のある口癖とは、それ単体で存在しているようですが実はそうではなく、特徴のあるその人が醸し出す人間性や文脈が放つワードなので結果的に全体として演じれているという状態になるのです。

分かりやすく言えば、子供がYouTubeでひろゆきの真似をしていくといつの間にか理屈っぽくなっているのと同じ現象ですね。


俯瞰で管理する領域と、マイクロマネジメントする領域を明確化する


もう一つのよくある悩みが、自分はどこまで入り込んだらいいのか、逆にどのスタンスでいたらいいのか?

とりあえず部長レイヤーが必須で行わないといけないのは意思決定であり、それは凡そ以下3つになります。

・人に関すること(異動や採用、トラブル整理)
・お金に関すること
・契約や外部協業に関すること

つまり、ヒト・カネ・ヤクソクです。

これらはマスト。
常に部内だけではなく関連する会社や組織全体から薄くてもいいので常に情報収集をしておいて対応する必要があります。

特に期中で異動したり、組織統合などがあった際、この3つは先に把握しておかないと後々リカバリーが効かないうっかりミスを誘発してしまいますので注意です。

で、部長の仕事はこれで終わりかというとそうではありません。

究極は現場が気持ちよく働いて成果を出せる環境を作ることが基本となります。私が思うに職務レイヤーごとにはざっくりと下記が注力ポイントとして挙げられると思います。

・部長:why【迷わないための方針と計画をつくる】
・課長、マネジャー:what【方針に沿って最適な行動案を考える】
・リーダー、現場:how【行動案に沿って最適な方法論を考える】

基本的にはこうです。そう基本的には。

ただし、部長は方針と計画だけ作れば左うちわで時間を待っておけば良い、というのはあり得ません。
常に正しいwhatか、適切なhowかをトラッキングしてチューニングしなければなりませんし、メンバー全員が私心を捨てて正しく行動することの方が稀なので局面ごとに調整が必要です。

しかしながら、部長によっては同じ部内でも全く領域が異なる組織が合わさって構成されている場合もあると思います。私もそのパターンです。

そこでよく言われるのが「現場への権限移譲」、「現場のやることにマネジメントが口をはさんでもロクなことはない」といった格言なのか、都市伝説なのかよく分からない説です。

これ、ただの職務放棄にしか聞こえないんですよね。

一糸乱れぬマニュアルがあるか、現場がスーパースターかつ超統制が取れた組織特性でもない限りうまくいかない、結果うまくいってもマグレということであり再現性が担保されているとは言えません。

方針は、作ったときと現在で環境が動的に変っています。ゆえにwhatやhowでチューニングが必要なのです。
そして、部長としての付加価値を出すのであれば、さらにもう一歩踏み込みたいところです。

そこが、マイクロマネジメント領域を決めることにつながります。

どういうことかというと、全領域にフルコミットすることが時間的にできない場合がほとんどですし、それをしすぎると現場のモチベは上がりません。

ゆえに、方針の中での重要度、現在の局面、未来軸で見た場合の優先度からマイクロマネジメントする領域を定めてグイグイ入っていきます。
例えば商品開発であれば、1アイテムごとになぜそのデザイン言語になったのか、それは本当に顧客にとって魅力的なのかという部分まで踏み込むといった具合です。

なぜなら、その領域が重要なのであればグイグイ入るのは当たり前です。おそらく部長ではなく、中小企業の社長というスタンスで考えるとより分かりやすいのではないでしょうか。

今までお会いした中小企業の社長の中には、えらく開発や企画やマーケティングに現場同様に突っ込んで入られているなという印象を持つ方が多いです。
それは自分の会社なんだから、重要な部分は自分がwhatからhowまで手掛けて責任を持つべきだと考えておられるのだと思います(自分がやった方が早い、正しいという側面もあるかとは思いますが)。

ただし、そういう社長でも総務・経理・採用・広報はお任せ!というように割合とメリハリがついています。

ある程度の規模の部長っておそらくこういうスタンスが最も適しているのではないかと思ったのです。

従って、迷われている若手部長がいらしたら、キャラがはっきりした中小企業の社長のように、キャラ(特徴)がはっきりした部長を描けばよいのです。例えば、「あの部長はえらいマーケティングにはグイグイ入ってくる=造詣が深い」と思ってもらえればそれが貴方のセルフブランディングにもつながるはずですし、何せ楽しいのではないかと思います。





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