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「新たな楽しみ」をくれた場所

大好きな場所がまたひとつなくなってしまう。

理由は「再開発によるビル建て替え工事」とのこと。かつてこのパターンで職場を失った経験があります(しかも他店舗へ異動もできなかった)。新しい商業施設がオープンした際、どんなものかと見に行きました。書店は入ってなかったです。ああそうと思い、一円も使わずに外へ出ました。二度と足を踏み入れることはないでしょう。

部外者の私などがとやかく言えることではありません。ただ、どうか一生懸命支えてきた従業員への配慮をお忘れなきよう。一定以上の規模を持った本屋は住人の文化的生活を育むうえで町に欠かせぬはず。そしてそういうお店を正社員だけで回すのはまず不可能なのです。

さて、ここで買った本を思い返してみました。最も印象に残っているのは村上春樹「風の歌を聴け」の英訳版です。

決して「春樹の小説を英語で味わおう!」と意気込んでお店を訪れたわけではありません。完全に衝動買いでした。出会わせてくれたことに、ただただ感謝。文庫版と併せて何度も読み返しています。

私の職場には、いわゆる「洋書コーナー」がありません。置いているのは英語で書かれた日本の旅ガイドと IBCパブリッシングのラダーシリーズぐらい。そういえば↓も「文教堂赤坂店」で買った一冊かもしれない。

使用する単語を限定し、巻末にワードリストを付けることで辞書を使わずにどこでも読めるシリーズ。英語の勉強は頭が活性化しますし、お気に入りの小説を違う言語で読むと意外な発見があります。「メロス」みたいにシンプルな短編は入門書として最適なはず。興味のある方はぜひ。

知的好奇心を刺激し、人生に新たな楽しみをくれるのもいい書店の条件のひとつ。閉店前に必ず買いに行きます。今度は「1973年のピンボール」を英語で読もうかな。

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