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ホストファミリーボランティアは普段着感覚で

ホストファミリーボランティアを始めて、10年以上が経つ。受け入れた留学生の国籍は様々。日本人から見て、比較的なじみのある国からやってきた留学生もいた。日本では話題になる機会が少ない国からの留学生もいた。

ネットにアクセスさえすれば、ある程度の情報は簡単に入手できる世の中。そんな便利すぎる現代でも、Hands-on型の体験を求め、多くの留学生たちがやってくる。彼らによると、島国ニッポンはとてもエキゾチックな国らしい。

他の宿泊形式ではなく、なぜ彼ら/彼女らはホームステイを希望するのか。その理由の1つは、“日本人がどんな風に日常生活を送っているのか、日本にはどんな習慣や文化があるのかを実際に見てみたい”、ということに他ならない。

ここでポイントになるのが『日常生活』。日本人家庭の普段の生活を体験すること。留学生たちはそれを望んでいる。

留学生が来たら、自分たちの日常生活のペースに上手に巻き込もう。なぜなら、彼ら/彼女らはお客さまではないのだから。

とは言え、初対面でいきなり家族同様に接するというのも難しいだろう。“年に数回会う親戚の子が泊まりにやってきた”くらいの感覚、と言えば分かりやすいだろうか。

ホストファミリーとしての受け入れは、気配りのできる真面目なホストマザー/ファーザーほど、日本で美徳とされている“おもてなし”の心にがんじがらめになってしまう。

これぞ和食、的なご飯を作らなくては。
行きたい場所には全部連れて行ってあげないと。
お部屋を常にきれいにしなくては。
子供たちを叱るトーンを控えめにしなくては。

“しなくては”のMustが心にズラリと並ぶと、留学生受け入れ中に、ホストファミリーが気の遣いすぎで疲れ果ててしまう。異文化交流を楽しむ絶好のチャンスに、楽しむ余裕を失ってしまうのだ。

我が家がホストファミリーデビューをしたのは、3番目の子供がよちよち歩きの保育園児だったころ。



当時は、毎日の生活を必死にこなしているような状態。日常生活以上のモノを留学生に提供することは難しく、ふと気づけば、留学生を我が家のペースに巻き込んでいた。

夕食が、前日の残り物だった時もあった。
スーパーの総菜が、夕食のテーブルを独占する時もあった。
週1回のスーパーの買い出しに留学生と一緒に行き、荷物運びの助っ人として活躍してもらったことも。

洗濯物の取り込みを頼んだ時もあった。
保育園のお迎えに一緒に連れて行ったこともあった。
週末のレジャーは、子供たちと留学生を連れて、近所の公園へ。

おばあちゃんの家に一緒に行ったり。
学校の日曜参観に連れて行ったり。
学童保育の運動会に一緒に参加したこともあった。

子供たちのケンカを、留学生の目の前で叱り飛ばしたこともあった。
留学生が、子供たちを散歩に連れて行ってくれたことも。

とりたてて、specialな過ごし方はしていない。我が家の日常生活にjoinしてもらっている。日本人の日常生活こそが、留学生たちにとってはspecialなのだから。

こんな風にある期間を一緒に過ごした留学生たちは、自分たちの国に帰ってからも、折に触れ近況報告をしてくれる。仕事やプライベートで日本に来るときには、我が家に遊びに来てくれる。

ホストファミリーボランティアは、気負うことなく普段着感覚で。四六時中おめかし服は、お互いに疲れるもの。普段着の心構えで、サラリと過ごすほうが、みんな居心地がいい。

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