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読書日記.13「敵とのコラボレーション」

普段、賛同できない人、好きでない人、信頼できない人と協働しなければいけないビジネスシーンが多いので、この本を読んでみました。

敵とのコラボレーション――賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働する方法 https://amzn.asia/d/amXjBSm

【概要】
・従来型コラボレーションからストレッチ・コラボレーション
【従来型】
・チーム全体の利益と調和を重視しなくてはいけない
・チームで問題が何か、解決策が何か、戦略や計画は何かに合意することを目指す
・他者が行動を変えなければ状況に変化が起こらない

【ストレッチ・コラボレーション3つのストレッチ】
対立とつながりの受容: 力と愛の補完し合う衝動を両方ともしなやかに使う。力は自己実現の衝動で、断固たして主張することで表現。愛は再統合の衝動で、相手と関わることで表現。これを同時でなく交互に使う必要がある。
進むべき道の実験: 現状強化のダウンローディングやディベートに偏るのでなく、新たな可能性を浮上させる対話とプレゼンシングを使う。(話すこと、聞くこと、特に聞くことを狭めずオープンにしておく)
ゲームに足を踏み入れる: 傍観したまま他者を変えようとするのでなく、活動に飛び込み自分が変わろうとすることが求められる。


→この3つのストレッチは多元的であることが求められる。一つの支配的な全体、一つ最適な計画、一人の優秀なリーダーにだけ注意を払うのでなく、多数の多様性あるホロン、多数の創発的な可能性、多数の共創者に関心を向けること


敵化: 問題の原因であり、自分を傷つけている人だと決めつけて考え、行動してしまうこと「他人」「ライバル」「反対者」など。

・コラボレーションの難しさの根幹: 好きでな人、賛同できない人、信頼できない人も含め、「他者と協力しなければならないが、一方、背信行為をしないためには、そういう人々と協力してはいけない」

いつ協働すべきかわからないうちは、どう協働すべきかに答えを出すことはできない。コラボレーションは、「問題の複合する状況」に対応する4つの方法の一つにすぎない。

・4つの方法: コラボレーション、強制、適応、離脱

・コラボレーションは、置かれる状況を変えることを望み、かつ他者と協力して(多方向的に)帰る以外に実現する方法がないと考える場合に使う
・強制: 現状を他者と協力せず(一方的に)変えるべき、あるいは変えられるかもしないと考える時に使う
・適応: 今の状況を変えられないから、それに耐える方法を見つける必要があると考える時
・離脱: 今の状況を変えられず、もはやそれに耐える気もない場合

→相手の力がより強く、無理にでも事態を望むように動かせる場合に適応/離脱を選び、こちらの力が強い場合に強制を選び、関係者の力が互角で、誰も意思を押し付けられない場合のみコラボレーションを選ぶ

・意見が割れる状況で協働する際の出発点: 解決策どころか、問題が何かすら、参加者間に合意がない
→多様な他者と協働する時は、一つの真実、答えや解決策の合意を要求できないし、してはいけない。その合意がないまま、あるいはそれを超えて、一緒に前進する方法を見つける

【ストレッチ・コラボレーション】
→焦点、目標、計画をコントロールしてその目標に到達できる、その計画を実行するために各自が行わなければいけないこと(チームがロードマップに従う)もコントロールできるという前提でなく、コントロールせずに前進する(複数のチームが川をラフティングするように)
協働する相手との関わり方
チームでの取り組みの進め方
対処しようとしている状況に自分自身がどう関与するか(どんな役割をするか)

・多数の全体に取り組めるようになる秘訣は、力と愛の両方を使えるようにすること。
力: 「自己実現しようとする衝動」これは主張するという形で表現され、集団の場合、差別化(多様な形態と機能の発達)と個別化(互いに独立して働く部分)を生む。
愛: 「切り離されているものを統一しようとする衝動」関わるという形で表現され、集団の場合、均質化(情報や能力の共有)と統合(結びつき一つの全体となる部分)をうむ。

→協働の場合、愛と力を交互に使う必要。
関わる→主張→関わる(主張がいきすぎてるから、関わりが必要だと合図する抵抗の感情に気づくのが大切)
私たち全員が、力と愛の両方を受け入れることが求められる(どちらかを誰かに任せている限り、成功しない)

・コラボレーションで重要なのは、参加者が自由に創造的に行動でき、そうすることで進む道を創造できる状況をつくることだ。成功とは、行き詰まりから脱して次の一歩を踏み出すこと

・創発的戦略は、実験により実現される
うまくいくのではないかと考えた思いつきを試し、結果から学ぶ
→何かを試し、一歩下がって結果を見てから、それを変更する…を、何度も何度も繰り返すこと
不完全な結果(自分は失敗者だ!)を怖がらずに、あるいは執着(これが正しいに違いない!)せずに見ることができなければならない。

→成功するかどうかさえもわからない葛藤のある、不快な状況でも心の平静を保たなければいけない(ネガティブ・ケイパビリティ: 短期に事実や理由を求めることなく、不確かさ、不可解さ、疑惑がある状態に留まれる能力)

・確信ではなく可能性に耳をすます

・対話: 共感的に主観的に相手の話を聞く(あなたがどうしてそう考えるのか聞きます。私の経験では…と話し方も内省的になる)
プレゼンシング: 特定の一つの考え方一人の人にだけ注意を払うのでなく、より大きなシステムの視点から書く(今ここで気付くことは…)(「誰々が言ってるから反対する、でなくいまこのチームの現状変化に必要だと思ったからこうするなど。チームが個別の考えや体験を脱して共通の目的を見つけたこと)

・ダウンローディング: ほかの話は聞こうとせず、自分の話を確かにする内容だけ聞く(それはもう知っている)
・討論: 外部から、事実に基づいて客観的に聞く。各自が自分の考えていることを話し、ある意見と人が勝ち、それ以外は負ける(私の意見では…、これが正しく、あれは正しくない)

・人は、自分を他人と比べる存在と見るばかりで、自分の変容が世界の変容の一助となるような本当の意味での人間とさて自分を見ようとしない

・人は、コミュニティ内の対立や自分の心の葛藤を処理するのを避ける手段として敵をつくりだす

・ストレッチ・コラボレーションでは、演出家や観客でなく、私たちは共創者
自分の仕事を進めていくには、自分の役割と責任を見つめ、認めることが求められる。

・人は、立場やアイデンティティを失うことを恐れる時自己中で偏狭になる。単に失敗することを恐れるより、失敗者になることのほうを恐れる
→「存在の条件としての優越感」を捨てることが求められる
→変えようとしている状況で自らが果たしている役割に対する責任と、だからこそ状況が変わるために自分のやり方を変える必要があることに対する責任を引き受けること。状況の一部だあるという意識で状況に関わり、その結果、自分が変わらざるをえない、傷つくというリスクを負わねばならない。慣れ親しむものを犠牲にしても構わないという意志が求められるストレッチ。

・「こうあらねば」→「こうもできそうだ
・新しい社会的現実を創造する鍵: 心を開き、自己を理解し、人に共感すること、そして置かれている文脈やそこで必要とされることを理解すること

・この本は、敵化現象にみられるよう、信頼できない人とも協働するかを提起し、仲間たちとだけでは解決しえない難題に対し、どのように働きかけ、実践するかをテーマにした。
→愛の側面でなく力の側面の重要性も組み込み、対話が必ずしも最善の選択肢ではない
→ストレッチ・コラボレーションを提唱

【ストレッチ・コラボレーション3つのストレッチ】
対立とつながりの受容: 力と愛の補完し合う衝動を両方ともしなやかに使う。力は自己実現の衝動で、断固たして主張することで表現。愛は再統合の衝動で、相手と関わることで表現。これを同時でなく交互に使う必要がある。
進むべき道の実験: 現状強化のダウンローディングやディベートに偏るのでなく、新たな可能性を浮上させる対話とプレゼンシングを使う。(話すこと、聞くこと、特に聞くことを狭めずオープンにしておく)
ゲームに足を踏み入れる: 傍観したまま他者を変えようとするのでなく、活動に飛び込み自分が変わろうとすることが求められる。

【感想】
コラボレーションは、必須ではなく状況対処の際の4つのうち一つの方法であるということがわかりました。
またそれぞれが、仮説のもと、実験して道を創っていく大切さもわかりました。共通の(一つの)目標や計画などは持たず、ただ全員が愛と力のバランスを見ながら、対話やプレゼンシングし、また全員が状況の主体であり共創者でいるスタンスの大切さもわかりました。
共通の目標やゴール、計画ありきで集まる集団でなく、そもそも問題がなんなのか、解決策がなんなのか…そこから俎上にあげたりする集団であると思いましたし、逆に、目的目標トップダウンの恣意的組織ではないので、一人一人がプレゼンシングしながら聞くことで、創発的に「共通の目的を見つけ出す」模索しながら前に進んでいくチームなのだとも思いました。

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