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真野さんと吉田くん

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真野さんと吉田くんシリーズをまとめました
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真野さんと吉田くん10話 〜バレンタインの2人〜

真野さんと吉田くん10話 〜バレンタインの2人〜

「あの…さ、吉田…さぁ」
「なんですか、あ…あり…ささん」
「お前ぎこちなさ過ぎだろー」
「自分なんて相変わらず吉田じゃないですか」

晴れて恋愛関係になった僕らだが、ぎこちなさは相変わらずだ。

「僕の方がまだ頑張ってますよ」
「頑張ってますって敬語じゃんか」
「真野さんなんて、『名前で呼ぶのハードル高いから、とりあえずヨッちゃんで良い?』って言ったくせに、相変わらず吉田のままでしょう」
「仕方

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真野さんと吉田くん 9話〜アフタークリスマス〜

真野さんと吉田くん 9話〜アフタークリスマス〜

12月に入り、空気はだんだんと冬らしい寒さをたたえ、街のそこかしこには、クリスマスを彩る電飾が飾られ始めていた。

そんなある日のこと。

僕はいつも通り勤務開始の20分前に出勤し、自分のデスクに座って仕事の準備をしながら朝礼の時間を待っていた。

いつもなら、9時からの朝礼に滑り込むように真野さんが出勤して来るのだけど、今日は時間になってもドアが開かない。真野さんが不在のまま朝礼は終わり、各々の

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真野さんと吉田くん 8話 〜ハロウィンの2人〜

真野さんと吉田くん 8話 〜ハロウィンの2人〜

「なぁ、吉田」
「なんですか、真野さん」
「ハロウィンって、結局のところ、何?」
「え、なんで僕に聞くんですか?」
「吉田なら知ってそうだから」

何故真野さんが僕なら知ってそうだと思ったのかはわからないが、とりあえずググってみた。

「元々は古代アイルランドのケルト人が起源のお祭りで…」
「吉田、ごめん、もういい」
「え?」
「小平の毛糸人がご機嫌なお祭りとか、意味がわからない」
どうやら全然伝

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真野さんと吉田くん 第7話〜素直になれなくて〜

真野さんと吉田くん 第7話〜素直になれなくて〜

吹く風も涼しくなり、少しずつ秋らしくなってきた、とある休日。僕はタナベ書店で小説を2冊購入し、なんとなく商店街をぶらぶらと歩いていた。

反対側の歩道を歩くカップルがいて、その女性が真野さんだと気づいた僕は、気づかれないよう、逃げるように近くのコンビニに入った。

僕と真野さんは恋人では無いから逃げる理由も無いのだけど、他の男性と笑顔で腕を組む姿を見て、反射的に隠れてしまった。

男性は僕や真野さ

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真野さんと吉田くん 6話 〜長州の名月〜

真野さんと吉田くん 6話 〜長州の名月〜

9月9日金曜日。

僕は一人、職場のすぐ側にある公園のベンチで、お弁当を食べていた。真野さんは終わらせたい仕事があるらしく、昼休憩をずらして取るようだ。

「ねぇねぇ」
声を掛けて来たのは同じ部署のお局様の菊田さん。
「吉田くん、真野ちゃんと仲良いんでしょ?」
「はい。いろいろお世話になってます」
菊田さんの言葉には、いろいろな意味が含まれている感じがして、僕は形式的に返事をした。
「やめといた方

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真野さんと吉田くん 第5話〜市民プールの2人〜

真野さんと吉田くん 第5話〜市民プールの2人〜

「吉田、あんまこっち見んな」
「見てません」
「いや、チラチラ見てるだろ」
「見てません」

夏真っ盛りの7月最後の週末、僕と真野さんは市民プールに来ていた。

市民プールと言っても「市外からも人が集まるように」とはりきって作ったものだから、ウォータースライダーや流れるプールなんかもある。それでいて大人500円という破格の安さ。他に何も無い街にこんな立派なプールを作った物だから、その時の女性市長さ

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真野さんと吉田くん 第4話〜吉田くんの休日〜【ショートショート】

七夕の後の、とある休日。

僕は本屋に行った。真野さんが「字が上手くなりますように」という短冊を飾ったあの店だ。タナベ書店という地元の本屋で、品揃えもそれなりに豊富だから僕も学生時代から通っていた。店長の田邊さんとは顔見知りでもある。

今日の目的はただ一つ。真野さんに大人用のペン字練習帳を買ってあげるのだ。本人は「努力きらーい」って言っていたけれど、彦星と乙姫も、そんな我儘な大人の願いを一つ一つ

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真野さんと吉田くん 3話 花火大会の話。【ショートショート】

真野さんと吉田くん 3話 花火大会の話。【ショートショート】

ひゅ〜〜っ ドンッ! ぱらぱらぱらぱら…

天高く昇った火の玉が弾け、夜空に大輪の花を咲かせて散っていく。

僕の住む街では、毎年7月の最後の週末に、花火大会が催される。子どもの頃からの恒例行事で、出店もたくさんあって、昔は両親に連れられて来るのが楽しみだった。

「歩きづれぇなー、これ」
僕の横を歩いているのは、職場の先輩の真野さん。着慣れない浴衣と下駄に、かなり苦戦しているようだ。

数日前、

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真野さんと吉田くん 2話 七夕の話。【企画参加ショートショート】

真野さんと吉田くん 2話 七夕の話。【企画参加ショートショート】

このお話の続きです。

「あそこの本屋って、毎年七夕の時期に大きな笹を飾ってんだよな」
真野さんが言った。
「あっ、知ってます。良いですよね、子どもたちの短冊、楽しくて」
僕が言った。

同じ会社の三年先輩である真野さんは、どちらかというと事務職より、スナックが似合いそうな雰囲気の大人の女性。そんな真野さんから七夕の話が出たことが、僕はそれだけでなんだか嬉しかった。 

「吉田さぁ、『あそこの笹に

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真野さんと吉田くん 1話 晴れのち雨、夕陽のち虹。【短編小説】

真野さんと吉田くん 1話 晴れのち雨、夕陽のち虹。【短編小説】

「雨ですね、真野さん」
僕が言った。
「雨だね、吉田」
真野さんが言った。

朝の天気予報では一日晴天だと言っていた。
だが、オフィスの窓の向こうには、雨雲から降り落ちるザーザー降りの雨。

「日本中の天気予報士さん、怒られちゃいますね」
「うん、誹謗中傷の豪雨だな」
「上手いですね、真野さん」
「だろ、吉田」
ドヤ顔の真野さんが、なんだか可愛い。

真野さんは、職場の三年先輩だ。少しやさぐれた夜

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