見出し画像

旨味調味料を使うか使わないか|いろは醤油誕生物語#4

先日、いろは醤油を通して伝えたいことは「豊かさ」ということを書きました。

1つは、心の豊かさ。
もう1つは、食の豊かさです。

「食」は「人」を「良」くするものと言われることがあります。事実、わたしたちの体は食べたもので作られていますよね。

今日食べたものが来月あたりには体のどこかになっているかもしれません(単純にココというのは難しいですが笑)。

そう考えると、食べるものって大切ですよね。

いろは醤油を作ることになって、食と向き合い気づいたことは、「自分の食べているもののことを意外と知らない」ということです。

例えば、
・今日食べたトマトを作った人とか
・白菜を作るために使った肥料とか
・お料理に使った調味料に使われているものなどです。

特に調味料って毎日、口にしてるのに、原材料表示を見ても、何が入っているかわからないことないですか?

実は、だし醤油第1弾の試作には、このようなものが入っていました。

ちなみに、原材料名は、多いもの順に書かれています(いまのいろは醤油ではありません)。

画像1

旨味調味料とは

まず、気になるのは、「たん白加水分解物」や、「酵母エキス」というものが入っています。

簡単に言うと、これらは人工的に作られた旨味調味料です。タンパク質や酵母を化学的に分解してアミノ酸にすると旨味になる、というとイメージしやすいでしょうか。

味の素は「グルタミン酸ナトリウム」という、化学調味料ですが、それより旨味の強いこれらのエキスは、法律で化学調味料認定されてないので、これらは入れても「化学調味料無添加」と書けます。

だから、この原材料名で、「化学調味料無添加」と書けるのです。

だしとエキスの違い

次に、鯛エキスやかつお節エキスなど、〇〇エキスという材料が目立ちます。
これは、鯛やかつお節などの材料を化学的に分解して旨味を引き出し、酵母エキスなどを添加したものです。

実際に〇〇エキスの中に何が入ってるかは、消費者にはわかりません。
なぜなら、原材料の原材料(キャリーオーバーと言ったりします)は書かなくてもいいというルールになっているからです。

ちなみに、〇〇だしは、原料を水で煮出したものです。お家でだしを取るのと同じですね。

だしや天然のものを使うと、手間がかかるし、出来が安定しないし、原価もかなり上がるので、売る側としては、避けたがる人が多いです。

「今のままでも美味しいし、化学調味料無添加と書けるし、これまでお世話になった方々の手を煩わせるのも申し訳ないし、これでいいのかな。
天然のものでここまで旨味を出すのは難しいと言われたし」
という気持ちと、
「でも本当はもっと素材にこだわりたい」
という気持ちが葛藤していました。

いろは醤油を変える出会い

そんなときに出会ったのが、D&Departmentの相馬社長でした。

D&Departmentは、ロングライフ(長く使えるもの、ずっと残していきたいもの)をテーマに全国でカフェや展示などをしているので、ご存知の方も多いかもしれません。
こだわりのだしやこんぶやお醤油なども取り扱っておられます。

たまたま友だちに誘われてDのワイン会に行ったときに、相馬社長に、いろは醤油のことを話したら、「今日持って来ていないの?」と興味を持っていただいたのです。

画像2

経営者が高齢のため無くなるはずだっただし醤油を世に残すために作ることになったとは言え、わたしは調味料の製造初心者には変わりありません。

事情を知っていただき、相馬社長が「この人に会いに行きなさい」と昆布王子を紹介してくださいました。

昆布王子とは、大阪にある昆布の老舗店「こんぶ土居」の4代目社長です。

美味しいの本質や、無添加、安全性に徹底的にこだわるこんぶ屋さんです。

食の基本は美味しさと安全
こんぶ土居では、製造に際しまして、最高級の伝統調味料のみを使用し、加工助剤やキャリーオーバー等表示を免除されているものも含め一切の食品添加物を使用しておりません。
見せかけのおいしさではなく、「身体が求めているものを美味しく感じる」という、人が備える本能から食品を選んでいただければ幸いです。
【こんぶ土居HPより】http://www.konbudoi.info/main/magokoro.html

そして、そんなめちゃくちゃ誠実で気骨のある土居社長に会いに行ったときに言われたのです。

「あなたの作りたいものを作ればいいんですよ」と。

作りたいものを作ろう

わたしが変な気を使うことは、このお醤油を使ってくれる人のためにならない。お醤油蔵さんに迷惑かけたとしても、余計なものはしっかりカットして、美味しくできるまでもう一度がんばってみようと。

それからいまのいろは醤油ができるまで、半年以上かかりましたが、あのとき背中を押してくださった、相馬社長と土居社長には、本当に感謝です。

ちなみにこれがいろは醤油の原材料名です。

画像3

すっきり♪
化学調味料を使わず、調理法で旨味をアップすることに成功しました。
使っている素材のお話は次のお話で→第5話:アミノ酸ドリンクやサプリメントは飲むのに、うま味調味料のアミノ酸エキスは避ける人の心の中

●● いろは醤油物語まとめ ●●
第1話:いろは醤油名前の由来→広島県鞆の浦で決めました。
第2話:お醤油蔵探し→岡山県とら醤油さんに決定しました。
第3話:お醤油を通して伝えたいこと→豊かさの本質伝えたい。心を軽くお料理ができるように。
第4話:うま味調味料を使うか使わないか←いまここ
第5話:アミノ酸ドリンクやサプリメントは飲むのに、うま味調味料のアミノ酸エキスは避ける人の心の中→いろは醤油の全素材を発表
第6話:商標出願完了。商品ラベルは書家の父にお願いしました
第7話:レシピサイトを始めたので調理師になりました

この記事が参加している募集

最後までお読みいただきありがとうございます。 スキやフォローも嬉しいです。 サポートは、noteに書きたくなる体験に使わせていただきます。 今後とも、著書『淡麗女子のススメ』や『いろは醤油』ともども、よろしくお願いいたします。