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ノンフィクション本「母という呪縛 娘という牢獄」(著)齊藤彩 講談社

 9年間の浪人生活をして、
医学部を受け続けていた高崎あかり(仮名)が、
母親の高崎妙子(仮名)を殺害し、
その死体をバラバラにした事件の
詳細をまとめたノンフィクション


 
 河川敷に黄色い大きな物体があり、
そこにとんびが群がってるのを
不審に思った市民の通報を受け、
事件が動き出します。


 読んで思ったことは、
本来はみんな幸せを求めていたということ。
なのになぜか
ベクトルが違う方向に向いていき
最終的には戻れなくなって、
そのまま崖に落っこちた・・・
という感じでした。


 9年間大学を受験し続けるって、
すごいですよね。
高校を卒業して9年間も勉強し続けるのは、
並大抵のことではないと思います。
そういったことを、
母親の妙子がやらせ続けられたのは
自分が頑張ったものがなかったからなのかな? 




 なにか頑張ったことがある人なら、
頑張っても難しいこともある、
叶わないこともある、
上にはさらに上がいることを
知っているはず。


 この本で私が印象的だったことを
3つにまとめますと、



 

① 少しひやっとした・・


 読み始めて、ひやっとした部分がありました。


 母親の妙子は、
あかりが小学生低学年の時に
時計の問題を間違えるあかりに、
「なんで何回も教えているのに間違えたの?」
と責めていたのですが、
わたしもそういえば、
同じようなことをしたなと、
思い出しました。


 大人が考えたら
簡単すぎる時計の問題に、
子供が答えを出すのに
時間をかけていて、
当時イライラしたんです。
ただ、妙子のように
スパルタにはなっていきませんでしたが。



 あとは、妙子が夫に
こまめに電気を消すように
毎回小言を言うのですが、
それも
うわ、わたしやってる
と思いました。
電気代が値上げして、
無駄にしないように
こころがけているのに、
うちの夫が邪魔するんですよ。
疲れているときは、
さらに嫌味っぽく注意してましたので、
なんだか反省しました。



 結局、あかりの父親は
いつも怒ってばかり
妙子についていけず、
別居してしまいます



 
 あかりたちは
母親と娘2人だけの生活になり、
ますますいびつさを
増していきます。


 成績を良くしてほしい
=医者になって欲しい
=幸せになって欲しい


無駄なお金は教育費に使いたい
=娘のため、家族のため


なんでしょうけど、
妙子が必死に突っ走りすぎて、
不幸せに向けてダッシュしてるようにしか
見えないんですね。
本人は幸せに向かって
走り続けているつもりなんでしょうけど・・・。



② 毒親 


 最近、聞く“毒親”ですが、
毒親の定義を調べてみました。
全体的にまとめると、
性格が幼稚で、
自分が親ということを盾に取り、
子供の人権を奪うような接し方をする親
という感じでした。


 毒親になってしまう原因は
自分が愛情不足で育てられたから
の理由が多いようです。
妙子も寂しそうな子供時代を
送っています。



③ どちらかが死ななければ


 最初の方に、
娘のあかりが
自分か母親のどちらかが
いなくならなければ終わらなかった・・・
のようなことを言うのですが、
最後まで読むと、
本当にそうだったんだろうな
と納得してしまうような
凄まじい内容でした。


 暴言をはかれても
暴力を受けても、
自分の意志をなにも受け入れてもらえなくても、
まだ母親に愛情を求めるような
考えをするあかりには
驚きました。
本当に素直な子だったんだなと思います。


 もし、あかりの未来について、
あかりの意見が尊重されたなら、
医師や看護師になれなくても、
なにか素晴らしい人物になっていた
可能性は高かったと思います。


 妙子は、あかりに
医者としての素晴らしい人生を
歩ませたかった。
あかりは、母親を
喜ばせたかった。
だけど、行き過ぎてしまうと
幸せとは程遠くなってしまいます。



 一気に読みました。
Amazonの書籍の殺人関連のカテゴリで
1位でもありましたし、
書店でも人気です。
気になった方は是非読んでみてくださいね。


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