イール

散文(ほんとうに散らかっている)

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青春へのレクイエム

 いつしか彼を好きになっていた。    彼は少し遠いところを見ていた気がした。彼は俗と交わることを拒んでいる気がした。彼の目には真実が見えている気がした。  彼は…

イール
9か月前
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#イールの千字百本ノック 52日目 憂鬱な新学期

 新学期が始まる。  勝負の3年次へと突入する。  ひどく憂鬱だ。つくば市はあいも変わらずのどんよりとした天気で、気は塞ぐばかりである。  それでもなんとか履修…

イール
1か月前
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#イールの千字百本ノック 51日目 ローソン万歳!

 このなんの変哲もないローソンは、わたしにとって、きっと、一生忘れられない場所になる。  親元を離れ、初めてのひとり暮らし。その頃住んでいた大学のシェアハウス。…

イール
1か月前
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ある友の訪問

 わたしは親元を離れ、茨城にある大学に進学した。わたしには、友達がいなかった。  正確には、いた。が、そこまで濃密な付き合いでもなかったのだ。  大学に入ってか…

イール
1か月前
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意味のない街、意味のないわたし

 つくば市は意味のない街である。いや、わたしのような人間では意味の見出せない街である。いま、その街をようやく飛び出した。友人たちとのスキー旅行へと向かう道中で、…

イール
2か月前
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fripSide 20th Anniversary Festival 2023 -All Phases Assembled- supported by animelo 感想記事

 この記事は、fripSideのライブに1回も参加したことがなく、2期3期さえもろくに追わず、ただ、1期が、それも大して聴けていない、でもfripSideが大好きで仕方がない初心者…

イール
4か月前
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成人式、人生の答え合わせ

 結論から言うと、わたしは成人式にも同窓会にも出席しない。言い訳を少ししておくならば、とても重要なライブがあるからである。しかし、それは本当に言い訳でしかない。…

イール
4か月前
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帰省をめぐる想いと、何か恐怖のようなもの

 そう、久しぶりに「家」に帰ったら、そこがふるさとになっていると気がついたのだが、同時にそこは住む場所ではなく、郷愁を感じる場所になってしまっているとも思ったの…

イール
5か月前
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人生の総括(20歳を迎えること)

 わたしのこの小さすぎる身体に、いよいよ20年という時が刻まれてしまう。20年。長くもあり、短くもある年月である。しかしながら、歴史の教科書で例えてみるならば、この…

イール
5か月前
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あいつらが簡単に口にする100回の「愛してる」よりも大学ノート50ページに渡ってあの娘の名前を書いてた方が僕にとっては価値が…

でもね、口にした方が勝ちなんだよ。

イール
7か月前
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予感と讃歌(早く寝たいです)

 早く寝たい。寝たいから、意味のないものを綴る。  秋学期の鬼門はたいてい11月である。10月はなんとかなるのである。だが、11月になると、全てが壊れてくる。  現状…

イール
7か月前
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恋・愛・論

 意味のない話であると思う。  そもそも、わたしの「恋愛」というものは、誰かのことを追いかける営みである。追いかけているうちに、人間が、かみさまになる。偶像、ア…

イール
7か月前
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#イールの千字百本ノック 50.5日目 近況報告と告知

 秋学期が始まった。当然、大学に行かねばならない。うつ病が再発する。  まずはお知らせから。2023/11/11(土)に開催される「文学フリマ東京37」に出店します。ブース…

イール
7か月前
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#イールの千字百本ノック 50日目 労働と日々、そして障害

 この千字百本ノックも、ついに50日目に到達した。それにちなんで、今日は5000字書こうと思う。おもに、49日目の失敗したアルバイトの後に、2回成功したアルバイトのこと…

イール
7か月前
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#イールの千字百本ノック 49日目 かんたんあるばいと、しっぱい。

 何度もnoteにて詳述したが、わたしには金がない。それで、タイミーでもっとも日給のいい、過酷そうな夜勤バイトに志願した。  結論から言うと、出勤に失敗した。ペナル…

イール
8か月前
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#イールの千字百本ノック 48日目 それぞれの命

 最近は「機動戦士ガンダム(いわゆる、ファーストガンダム)」を見ている。感想をつらつらと書いていこうと思う。 人が次々と死ぬ  わたしはガンダムに対して、ズブの…

イール
8か月前
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青春へのレクイエム

青春へのレクイエム

 いつしか彼を好きになっていた。
 
 彼は少し遠いところを見ていた気がした。彼は俗と交わることを拒んでいる気がした。彼の目には真実が見えている気がした。

 彼はいつもぼんやりとしていて、何かを考えているような顔をしていた。その横顔はたまらなく美しい。いまや彼の横顔を思い出せないが、彼の美しさ、彼を感じていた心は、まだわたしの中にある。

 もっとも、彼は何も考えていなかった。それを知ったのは、

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#イールの千字百本ノック 52日目 憂鬱な新学期

#イールの千字百本ノック 52日目 憂鬱な新学期

 新学期が始まる。

 勝負の3年次へと突入する。

 ひどく憂鬱だ。つくば市はあいも変わらずのどんよりとした天気で、気は塞ぐばかりである。

 それでもなんとか履修登録を開始した。頭を絞って30単位分の履修を組んだ。あと10単位、何を学ぼうか。それさえもとっても退屈で、もう何も考えられそうにない。

 希死念慮が頭を過ぎる。それも、過去のようなはっきりとしたディテールを伴って。それでも、薬のおか

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#イールの千字百本ノック 51日目 ローソン万歳!

#イールの千字百本ノック 51日目 ローソン万歳!

 このなんの変哲もないローソンは、わたしにとって、きっと、一生忘れられない場所になる。

 親元を離れ、初めてのひとり暮らし。その頃住んでいた大学のシェアハウス。その近くには100円ローソンがあった。

 わたしはその頃ひどいうつ病を患っていた。街が寝静まった深夜に、何日も着まわしたパジャマを背負って、100ローへと向かう。100円のクリームパンと、100円のメロンソーダを買って、それで1日の食事

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ある友の訪問

ある友の訪問

 わたしは親元を離れ、茨城にある大学に進学した。わたしには、友達がいなかった。

 正確には、いた。が、そこまで濃密な付き合いでもなかったのだ。

 大学に入ってからできた、数えきれないほどの友人たちは、わたしの力となってくれた。

 Twitterというツールは本当に有害で、どうしようもなく時間を奪ってくる。しかしそれは一方で、濃密な関係性を生み、それはやがて現実へと還元されていった。そうして、

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意味のない街、意味のないわたし

意味のない街、意味のないわたし

 つくば市は意味のない街である。いや、わたしのような人間では意味の見出せない街である。いま、その街をようやく飛び出した。友人たちとのスキー旅行へと向かう道中で、あまりにも暇なので、なにかひとつ書いてやろうと思い、noteを開いたわけである。

 2年の終わりにもなって、適当なレポートを書き殴って、その場しのぎのやっつけ仕事で流す癖が抜けない。当然、学業からは拒絶を賜る日々である。いや、わたしが拒絶

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fripSide 20th Anniversary Festival 2023 -All Phases Assembled- supported by animelo 感想記事

fripSide 20th Anniversary Festival 2023 -All Phases Assembled- supported by animelo 感想記事

 この記事は、fripSideのライブに1回も参加したことがなく、2期3期さえもろくに追わず、ただ、1期が、それも大して聴けていない、でもfripSideが大好きで仕方がない初心者のオタクが、ライブを振り返りながら書きます。そのため、大いに不正確な点がありますが、ご了承ください。

 わたしは、fripSideが大好きだ。とくに、spiral of despair,save me again,hu

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成人式、人生の答え合わせ

成人式、人生の答え合わせ

 結論から言うと、わたしは成人式にも同窓会にも出席しない。言い訳を少ししておくならば、とても重要なライブがあるからである。しかし、それは本当に言い訳でしかない。なくても行ったのか?と指摘されると、胸が苦しくなる。

 散々言われているように、この種のイベントは、単なる人生の答え合わせでしかない。行きたくなるような人生を送った勝者と、行きなくないような人生を送った敗者。ただそのふたつがあるだけである

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帰省をめぐる想いと、何か恐怖のようなもの

帰省をめぐる想いと、何か恐怖のようなもの

 そう、久しぶりに「家」に帰ったら、そこがふるさとになっていると気がついたのだが、同時にそこは住む場所ではなく、郷愁を感じる場所になってしまっているとも思ったのであった。

 精神座標が、天久保に固定されてしまっていた。

 祝ってもらいたいがために帰省した。もちろん、その目的は完遂され、あたたかい空気の中で、わたしの成人は祝われた。祝ってもらうだけなら、天久保にいる友人たちでいいものを、どうして

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人生の総括(20歳を迎えること)

人生の総括(20歳を迎えること)

 わたしのこの小さすぎる身体に、いよいよ20年という時が刻まれてしまう。20年。長くもあり、短くもある年月である。しかしながら、歴史の教科書で例えてみるならば、この時間は、少なくとも数ページ分にわたる記述を生み出す。そのような時間が、わたしの中で経過しているということ。重くのしかかる現実である。

 この原稿は、弾丸帰省を仕込んでいる帰途、その最中に書き記している。

 18年間は広島で過ごし、2

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予感と讃歌(早く寝たいです)

予感と讃歌(早く寝たいです)

 早く寝たい。寝たいから、意味のないものを綴る。

 秋学期の鬼門はたいてい11月である。10月はなんとかなるのである。だが、11月になると、全てが壊れてくる。

 現状、親友たち、それも非常に親しい友人たちとの相互扶助はうまくいっている。これは友情の乏しかったわたしにとって、大学で初めて掴んだ感覚だった。「迷惑をかけてもいい」と思える他人、しかしそれは粗雑に扱っているわけではないという奇妙な感覚

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恋・愛・論

恋・愛・論

 意味のない話であると思う。

 そもそも、わたしの「恋愛」というものは、誰かのことを追いかける営みである。追いかけているうちに、人間が、かみさまになる。偶像、アイドルになってしまうのである。

 ところで、かみさまの話は、なるべくしないほうがいいらしい。わたしはかみさまのはなしが好きなのだ。かみさまをまだ好きであるから、である。

 まだ好きというのは正確には嘘である。というのも、「いつかの夏、

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#イールの千字百本ノック 50.5日目 近況報告と告知

#イールの千字百本ノック 50.5日目 近況報告と告知

 秋学期が始まった。当然、大学に行かねばならない。うつ病が再発する。

 まずはお知らせから。2023/11/11(土)に開催される「文学フリマ東京37」に出店します。ブースはG-41です。既刊「BlueScreen」「Conflict」と、新刊「Disabilties(タイトル未定)」を頒布します。

 そのため、千字百本ノックは、この投稿を以って一時休止といたします。ご了承ください。

 近況

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#イールの千字百本ノック 50日目 労働と日々、そして障害

#イールの千字百本ノック 50日目 労働と日々、そして障害


 この千字百本ノックも、ついに50日目に到達した。それにちなんで、今日は5000字書こうと思う。おもに、49日目の失敗したアルバイトの後に、2回成功したアルバイトのことについて書いていく。当然ながら、いつもの1000字が5倍になるだけであって、意味のあることは書かない。わたしの人生に、意味はないからである。

労働1

 失敗したアルバイトの後、ペナルティポイントを7ポイントいただいた。リベンジ

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#イールの千字百本ノック 49日目 かんたんあるばいと、しっぱい。

#イールの千字百本ノック 49日目 かんたんあるばいと、しっぱい。

 何度もnoteにて詳述したが、わたしには金がない。それで、タイミーでもっとも日給のいい、過酷そうな夜勤バイトに志願した。

 結論から言うと、出勤に失敗した。ペナルティポイントを7ポイントもいただいた。

 サボろうと思ってサボったわけではない。実際、書かれていた「石崎ビル」の前に、われわれ(友人も誘ったのであった)は、18時勤務開始のちょうど10分前、すなわち17時50分に到着した。

 しか

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#イールの千字百本ノック 48日目 それぞれの命

#イールの千字百本ノック 48日目 それぞれの命

 最近は「機動戦士ガンダム(いわゆる、ファーストガンダム)」を見ている。感想をつらつらと書いていこうと思う。

人が次々と死ぬ

 わたしはガンダムに対して、ズブの素人である。ファーストガンダムとの比較対象は、最近のガンダムである「機動戦士ガンダム 水星の魔女」である。というか、これしか見ていないので、これとの比較でしか語りようがない。

 水星の魔女もよく人が死ぬ。よく語られがちなのは「トマト」

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