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山桜桃 えみ
2019年11月1日 21:45
うそだってことは互いにわかってた。それでも笑顔でハグをし合った。触れない手、合わない視線、寝るときは背中合わせで「ねえ、こんなのは違う」って告げる勇気も持てなくて、結局私は弱いまんまだ。「鳥たちが一斉に鳴きはじめたら夕立がくる合図だよ」ってベランダで洗濯物を取り込んだあなたの顔も思い出せない。不確かな記憶をさぐってみたけれど、あなたに触れた指の先までつめたくてまるで作り話みたい。セピ
2019年11月25日 21:30
中学、高校の6年間を懸けて、好きになった人がいる。同じクラスの男の子。クラスでは何度か席替えがあって、毎回くじで決めるのだけれど、なぜか5回も6回も彼と隣同士が続いた。それで気づいたら、好きになっていた。今はもう別の恋人がいるし、彼とは連絡も取っていない。だけどもしも中高時代をやり直すことがあるなら、きっと私はまた彼に恋をすると思う。・・・シャイだった私と彼の距離を縮めたのは、メー
2019年11月2日 21:30
大切な友人の結婚式に、行けなかった。私にとって初めての「友達の結婚式」で、その友達は本当に大好きで大切な人で、だから絶対に行きたかったのに、行けなかった。その日は何十年に一度クラスの台風が関東を直撃した日で、朝からテレビで繰り返し告げられる電車の運休情報や、窓ガラスに激しく打ちつける雨粒に、私はなす術なく家を出ることを断念した。それはしょうがないよ、と言ってくれた人も何人かいたけれど、友