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現代短歌

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現代短歌、はじめました。まだまだ初心者です。
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2019年11月の記事一覧

君とさよなら

君とさよなら



うそだってことは互いにわかってた。それでも笑顔でハグをし合った。
触れない手、合わない視線、寝るときは背中合わせで「ねえ、こんなのは違う」って告げる勇気も持てなくて、結局私は弱いまんまだ。

「鳥たちが一斉に鳴きはじめたら夕立がくる合図だよ」って
ベランダで洗濯物を取り込んだあなたの顔も思い出せない。
不確かな記憶をさぐってみたけれど、あなたに触れた指の先までつめたくてまるで作り話みたい。セピ

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忘れたくない失恋の話

忘れたくない失恋の話

中学、高校の6年間を懸けて、好きになった人がいる。

同じクラスの男の子。クラスでは何度か席替えがあって、毎回くじで決めるのだけれど、なぜか5回も6回も彼と隣同士が続いた。それで気づいたら、好きになっていた。

今はもう別の恋人がいるし、彼とは連絡も取っていない。だけどもしも中高時代をやり直すことがあるなら、きっと私はまた彼に恋をすると思う。

・・・

シャイだった私と彼の距離を縮めたのは、メー

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人生の門出を迎えたあなたへ

人生の門出を迎えたあなたへ

大切な友人の結婚式に、行けなかった。

私にとって初めての「友達の結婚式」で、その友達は本当に大好きで大切な人で、だから絶対に行きたかったのに、行けなかった。
その日は何十年に一度クラスの台風が関東を直撃した日で、朝からテレビで繰り返し告げられる電車の運休情報や、窓ガラスに激しく打ちつける雨粒に、私はなす術なく家を出ることを断念した。

それはしょうがないよ、と言ってくれた人も何人かいたけれど、友

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