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オーダー・オブ・ペイン

記憶のなくなる薬。

そんなSFを想像してほしい。

あなたは記憶のなくなる薬を
一度使える。

そしてもう一つの条件は


脳に機械を取り付けて死ぬほどの
痛みを感じなければならない。

というもの。

そんなシーンを考えてみてほしい。

痛み、それも格別なもの。

想像もつかないくらいの苦痛。

例えるなら一枚一枚
爪をはがされるかのような痛み。

例えるなら目玉に
画鋲を差し込まれるような痛み。

例えるなら時間をかけて
腕を切り落とすかのような痛み。

それでも、実際の傷は
一切ない。

あなたは今、どこかの過程にいる。

どこかというのは、
痛みを感じる前か後

そのどちらか。

あなたは覚えていない。

自分は痛みを受けたのだろうか?

受けたうえで、
記憶がなくなった状態なのだろうか?

それとも、受ける前だろうか?

判断するすべはない。

そこであなたは聞くだろう。

先生、先生。今、私は受ける前ですか?
それとも受けた後でしょうか?

どちらにせよ、痛い回数は
一回であることに変わりはない。

そういう際にあなたは
自分がどちらであることを
望むだろうか?


おそらくというより、
ほとんどの方はもう終わっていることを
望むに違いない。

切望するだろう。

もう終わっていてくれ。

と。

これはどういうことだろう。

痛みの数は変わらないのに、
人は過去のことは気にしないように思える。

痛み、という「いやなこと」は
過去か未来かで存在感が変わるのか?

そのように考えることができる。

痛みの価値。価値というより、評価

それは時系列によって変わる。


この、人の特性は、
いろいろな考察において
様々なヒントをくれる。

物の価値に関する本質を
考えるヒントをくれる。


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