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頑張って書いてぜんぶ消す


2024年2月20日(火)朝の6:00になりました。

捨てることを惜しんでいるヤツは、いつまでたってもできないね。

どうも、高倉大希です。




いちど書いたものを、ぜんぶ消す。

毎日書いていると、ときどきこんな日があります。


頑張って書いてはみたものの、どうにもしっくりこないのです。

更新時刻の6:00まで、のこりあとわずかです。


どうしようかと悩んだ結果、勇気を振り絞ってすべてを消します。

そういうときに限って、よい文章が書けたりします。


次の段階に行くためには、それまでのことを捨ててしまうこともある。みんなに叩かれるか笑われるかわかんないけども、それをしないとしょうがない。そういうことを隠してる人もいるけどね、さらして恥をかいていかないとダメだと思う。

横尾忠則(2021)「YOKOO LIFE」ほぼ日


頑張れば頑張るほど、捨てることができなくなります。

たとえその道が、間違っていたとしてもです。


いちどその道に進むと決めたから。

すでにその道をすこしだけ進んできてしまったから。


これらが、実行の理由になり変わってしまいます。

それが本当に最適なのかという判断が、二の次になってしまうのです。


全体で50首くらいになった辺りで、テンションが落ちてくる。そこで作業をやめて、最初のへぼへぼな10首と最後のぐだぐだな10首にする。最初の10首は捨てるために作るのだ。

穂村弘(2023)「蛸足ノート」中央公論新社


新海誠監督が、とある番組でこのようなことをおっしゃっていました。

「みんなが細かく描いてくれた背景を『ぼかすぜっ!』ってぼかすと気持ちいい」


背景を描いた側からすれば、たまったものではありません。

ただこれも、前述の話とおなじです。


監督が見ているのは、頑張ったかどうかではありません。

この作品にとって、最適かどうかです。


居間のどこかに置き忘れた財布を試行錯誤で捜す場合、同じ場所を2回捜さない理性が必要だ。どこを捜しても無駄なのか、財布がどこにないのかがわかっていれば、たいていは試行錯誤を繰り返すたびに、それまでよりも価値のある新情報が得られる。自分の捜しているものが正確にわかっている状況では、試行錯誤のたびに成功に近づくことになる。つまり、間違いを犯すたびに、捜すべき場所がすこしずつわかってくるわけだ。

ナシーム・ニコラス・タレブ(2017)「反脆弱性 上」ダイヤモンド社


極端な言い方をすれば、捨てるからこそ報われる頑張りがあるわけです。

最悪なのは、間違った頑張りがもてはやされてしまうことです。


頑張りそのものが評価されることほど、残酷なことはありません。

間に受けたその人は、間違った頑張りを捨てられなくなってしまいます。


全力で頑張ることは、もちろん大切です。

全力で頑張ったことを潔く捨てる勇気も、おなじくらい大切です。






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