ねこさん先生 | 誰も傷つかない英語学習・教育を目指して

@tactfulneko 高校教員7年目。未就学児・小学生・中学生・社会人の指導経験あ…

ねこさん先生 | 誰も傷つかない英語学習・教育を目指して

@tactfulneko 高校教員7年目。未就学児・小学生・中学生・社会人の指導経験あり。英語教授法 (TESOL) 修士、英検1級、TOEFL101点 (My Best Score 106点)、TOEIC940点。 よろしくお願いします。

最近の記事

No. 35 英語教育とidentity 24【"一人称"というidentity】

はじめに 今回はとっても軽い内容ですが、そのぶん身近に感じられる内容になっているかと思います。 題して、「"一人称"というidentity」です。実はこれ、以前の投稿の内容の、より一人称にフィーチャーしたバージョンです。なので既視感があるかもしれませんが、それなりに面白い内容になっていると思うので、是非最後まで読んでください! 一人称というidentity"先生"というidentity 先日僕が勤務している高校の偉い先生が、高2の生徒に対して、「先生は〜」と自分のことを

    • No. 34 英語教育とidentity 23【方言というidentity②】

      はじめに前回の投稿では、松本敏治氏の『自閉症は津軽弁を話さない リターンズ:コミュニケーションを育む情報の獲得・共有のメカニズム』(福村出版)から、「方言とtranslanguaging」、そして「ことばとidentity」について考えました。 自閉症者が「文脈」に依存する方言を習得するのが難しいということがこの本では書かれていますが、そこから定形発達の子どもたちがどのように方言と共通語の社会的機能について学び、使いこなしているのかということを見ていきました。 今回の投

      • No. 33 英語教育とtranslingual ⑨【方言というidentity①】

        はじめに 前回の投稿では、小笠原諸島に見られるtranslanguagingについて見てきました。さまざまな国々から人々が移り住んできた小笠原諸島だからこその言葉やその使い方が見られて、非常に興味深かったです。 今回の投稿では、松本敏治氏の『自閉症は津軽弁を話さない リターンズ:コミュニケーションを育む情報の獲得・共有のメカニズム』(福村出版)から、方言とtranslanguaging、そしてそこからことばとidentityについて考えていきたいと思います。 自閉症者は方

        • No. 32 英語教育とtranslingual ⑧【小笠原諸島から】

          はじめに 前回の投稿では、Netflixの人気ドラマ Emlily in Parisからtranslanguagingの例を見ました。 もちろんドラマの世界ではありますし、様々なステレオタイプが垣間見えるドラマではありますが、translanguagingについてはとてもリアルに描かれていると思います。まだシーズン2の途中までしか見ていないので、これから先のエピソードも楽しみにています:) さて、今回の投稿は、小笠原諸島の言語使用からtranslanguagingについて考

        No. 35 英語教育とidentity 24【"一人称"というidentity】

          No. 31 英語教育とtranslingual ⑦【Emily in Parisから】

          はじめに 冬休みが明けるとなかなか更新ができませんでした。。。もう少しコンスタントに頑張っていきたいと思います! さて今回の投稿では、Netflixの人気ドラマ"Emily in Paris"から、translanguagingの例を見ていきたいと思います。(※ネタバレにはならないよう細心の注意を払っています) 「ストーリーが面白い」「Parisの街並みが綺麗」といった良さだけでなく、「これぞtranslanguaging!」といったシーンが多く、僕にとっては見ていてとても

          No. 31 英語教育とtranslingual ⑦【Emily in Parisから】

          No. 30 英語教育とtranslingual ⑥【利き手とtranslanguaging】

          はじめに 前回の投稿まで2回にわたって、伊藤亜紗氏の『どもる体』(医学書院)の内容と第二言語習得論 (SLA) におけるidentityとの類似点について書いてきました。もちろん吃音症を持つ人とそうでない人を同じように考えることはできないですが、第二言語学習でも「わかっていてもそう話してしまう / 言葉が出てこない」という現象はよくあるので、何か吃音症から学ぶことはできないかと考えました。意外にも類似点が多く、私自身はとても興味深いと考えました。 今回の投稿も、もう一度『ど

          No. 30 英語教育とtranslingual ⑥【利き手とtranslanguaging】

          No. 29 英語教育とidentityについて 22【吃音とidentity】

          はじめに前回の投稿では、吃音と第二言語学習の類似点について述べました。 意外な共通点が多く、吃音症と第二言語学習の支援・指導はもしかしたら互いに応用が利くのではないかと書きました。 今回もまた吃音と第二言語学習(におけるidentity)について考えていくのですが、念のため明記しておきたいことがあります。それは、吃音症の人々と吃音症を持たない人々が抱えている課題は同じではない、ということです。参考文献の『どもる体』(医学書院)でも、適宜このことについては明記されておりますの

          No. 29 英語教育とidentityについて 22【吃音とidentity】

          No. 28 英語教育とidentityについて 21【吃音と第二言語学習】

          はじめに前回の投稿では、『「自傷的自己愛」と精神分析」という斎藤環氏の本の内容から、第二言語習得論 (SLA)におけるidentityとの共通点や相違点を考えてみました。飛躍した議論や、解釈上の誤りがあったかもしれませんが、こうやって自分の専門領域と一見関係のなさそうなものを比べてみるとより考えが深まることがあります。僕自身にとっての「学び」とはまさにこのことで、とてつもない喜びを覚える瞬間でもあります。 今回の投稿では、伊藤亜紗氏の『どもる体』(医学書院)から、第二言語学

          No. 28 英語教育とidentityについて 21【吃音と第二言語学習】

          No. 27 英語教育とidentityについて 20【identity再考】

          はじめにここ最近は数回にわたりtranslanguagingについて書いてきましたが、今回はもう一度identityについて書いていきたいと思います。 というのも。 ものすごく面白い本に出会ってしまったからです。その本とは、斎藤環氏の『「自傷的自己愛」の精神分析』です。 斎藤氏の本や論文には大学時代に出会って、すぐにはまりました。理解するのが難しいこともありますが、ものすごく難解な内容でも私のような一般人にもわかりやすく解説してくれます。文体も私好みです。 そこで今回は

          No. 27 英語教育とidentityについて 20【identity再考】

          No. 26 英語教育とtranslingual ⑤【イギリスの研究】

          はじめに前回の更新から物凄い時間が経ってしまいました。。。これからは、なんとか毎週1回(月〜木の間)は更新していきたいと思います。がんばれ、自分! さて、ずいぶん前となりました前回の投稿では、translanguagingの身近な例についてみていきました。「島国・モノリンガル大国日本」(自虐的すぎですかね、、笑)では無縁かと思われるtranslanguagingですが、ものすごく日常的に行われていることなのだとおわかりいただけたかと思います。 今回はイギリスの大学にいる中

          No. 26 英語教育とtranslingual ⑤【イギリスの研究】

          No. 25 英語教育とtranslingual ④【translanguagingの例】

          はじめに前回の投稿では、trans-という接頭語に続くlanguagingという言葉について解説しました。languagingはアウトプット仮説で有名なSwainの用語で、trans-と組み合わせるとtranslanguagingは以下のような定義になると書きました。 「言語の垣根を越えて、言語を含む様々な意味資源から新しい、意図された意味を創出する営み」 要は、単なるcode-switchingでもなければ、英語の授業で日本語を使っていいのかいけないのかという話でもない

          No. 25 英語教育とtranslingual ④【translanguagingの例】

          No. 24 英語教育とtranslingual ③【translanguaging再考】

          はじめに前回の投稿では、trans-という接頭語の意味と現代的な意義について詳しく述べました。trans-が「越える、超越する」といった意味を持つということ、そして現代ではtransgender(=男/女の垣根を越えた、性別を超越した)という言葉をよく耳にするように、日常にもtransは受け入れられ、色々な場面に入ってきているということを確認しました。 今回の投稿では、trans-という接頭語に続くlanguagingという言葉について簡単に書きます。SLAを勉強されている

          No. 24 英語教育とtranslingual ③【translanguaging再考】

          No. 23 英語教育とtranslingual ②【trans-の接頭語の意義】

          はじめに自分のプライベートが忙しく(結婚式をしておりました。。)、最近は更新が滞っておりました。束の間の春休みですが、少しでも更新していきたいと思います。 前回の投稿では、translingualとはなんなのか、特にmultilingualとの違いについて述べました。multilingualのように各言語を別個の言語としてわけて考えてそれぞれの能力に着目するのではなく、translingualでは言語をレパートリーとして捉え、そのレパートリーのなかで様々な言語を駆使するのを

          No. 23 英語教育とtranslingual ②【trans-の接頭語の意義】

          No. 22 英語教育とtranslingual ①【multilingualとの違い】

          はじめに前回の投稿では、identity カテゴリーをおさらいし、英語教育の中でどのようなidentityを養成していくべきなのかについて書きました。それはつまり、translingual identityである、と私の意見を書きました。 今回の投稿では、transligualとはなんなのかについて簡単にまとめます。特にmultilingualとの違いを明らかにしていきたいと思います。 translingualとは「translingualはmultilingualはよく

          No. 22 英語教育とtranslingual ①【multilingualとの違い】

          No. 21 英語教育とidentityについて 19【translanguaging】

          はじめに久々の更新になってしまいました。。。仕事は試験期間前で忙しく、プライベートも最近は何かとやることが多いのですが、自分なりのペースで更新できたらと思います。 さて、前回の投稿では「誰も傷つかない英語学習・教育」という、僕が今後目指していきたい方向性について書きました。 今回の投稿では、このnoteの二大テーマの関わりについていよいよ書いていきたいと思います。すなわち、「identityとtranslanguagingとの交差点」についてです。 identity c

          No. 21 英語教育とidentityについて 19【translanguaging】

          No. 20「誰も傷つかない」英語学習・教育を目指して

          はじめに今回の投稿は、今までのようにidentityについてではありません。 今回は、私がSNSで英語学習・教育について発信し始めてから感じ、考えたことを徒然なるままに書いていきたいと思います。 英語学習・教育の目標まずは、私がSNSで英語学習・教育について発信するようになった背景から書きます。 一番の理由は、将来英語の指導者として独立するために、色々な情報を集めていきたいというものでした。もちろんフォロワーが増えて、その勢いのままビジネスにつなげられればという思いもありま

          No. 20「誰も傷つかない」英語学習・教育を目指して