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オーケストラ関連

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オーケストラ編曲に関連する記事で人気のあるもの、特に重要だと思うものを纏めました。
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記事一覧

Vienna Ensemble Proで得すること/損すること

本記事は、特にMac Cubaseにおいて重量級のオーケストラライブラリを用いた大規模なセッションを作成する際に負荷を下げ快適に作業を行うための方法をまとめていきます。 まず、なぜ重いのか制作用のセッションが重くなる理由は様々ですが主なものは次の4つです。 インストゥルメントのストリーミング負荷 エフェクトの処理負荷 外部との通信による負荷 メモリ使用量過多 そして、これらへの対策はある程度わかりやすくて、 速いSSDにサンプルを格納する SSDを速いファイル

打ち込みからオーケストラ編曲に入った人がやりがちなミスPart 2

これは打ち込みからオーケストラ編曲に入った人(=僕)がこれまでにオーケストレーターに怒られてきたポイントや気づいた点を列挙する反省文です。今回はどちらかというとセミプロ〜プロ向けです。Part 1はこちら↓ 表現力に優れた音源があるという幻想いわゆるオーケストラ打ち込みの表現力はサンプルの録られ方よりはアレンジに大きく依存します。レガートパッチのリアリティ云々よりも、きっちりとオーケストラらしい編曲が出来ることの方が圧倒的に大事なのです。 オーケストラのサンプルライブラリ

バンドマンが初めて曲の中にオーケストラ要素を入れる時のための記事

壮大な雰囲気を出したくてオーケストラの楽器を使ってみたいけど正直何から始めていいか分からないというバンド畑の音楽家は結構いるのではないかと思います。この記事では、DAWプロジェクトの中で初めてオーケストラ楽器を使う時に途方に暮れずに済むように最初に意識すべきポイントを最小限の情報で纏めていきます。 先に結論を見る楽器の種類を知る まずは臆せずやってみる 困ったらユニゾン/オクターブ 和音は密集させていい 奏法の名前を覚える 何となく制約を知る 高音楽器ほど敏捷に

ストリングス音源を効果的にレイヤーする方法

巷には無数のストリングス音源が存在しますが、そのどれもが個性を持っていながら(個性的であるからこそ)オールマイティなものは一つとして存在しません。 誰しもが生のストリングスの録音をイメージしながら打ち込んでいると思いますが、その際に異なるストリングスライブラリをレイヤーする(重ねる)という手法を取る人は少なくないのではないでしょうか。 本記事では闇雲にレイヤーするのではなく適切にサンプルの組み合わせを選ぶことによって何が達成できるのか、また効果的に打ち込みの問題点を解消す

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自宅録音のススメ

本記事では2020年4月に投稿した「どこまで出来れば『宅録可』なのか?」という記事のレベル0〜2を細かく説明します。 以前投稿したこちらのTips記事よりは初心者向けです。 どうすればいいかの丸覚えよりは何故そうする必要があるのかを重点的に解説します。 レベル0: 機材を買い揃えるここに関しては正直楽器屋さんに問い合わせるのが一番だと思います。何故なら、機材を買う人の音楽制作のスタイル、好み、予算等に応じて必要なものが全く異なるからです。記事の形で一方通行的に全ての答え

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パーカッションアレンジが重厚にならない理由

オーケストラの曲を作る時、特にアクションキューやバトルキュー、トレイラー的な音楽の場合パーカッションは非常に重要な役割を担います。 しかしオーケストレーションの重要性と比べて打楽器トラックの組み立て方は見落とされがちな傾向があります。ワンノートでパーカッションループがトリガーされるような音源も多数ありますが、充実したパーカッショントラックを作ろうとしてもそれだけでは不十分です。 本記事では何故パーカッションのアレンジが難しいのか、どんな時に上手くいかないのか、それを解決す

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海外オーケストラリモート収録中の日本サイドの様子(動画付き)

海外のホールやスタジオでのオーケストラレコーディングを日本からリモートでモニターする収録方法は、出来ることは知っていても試したことがある人はそこまで多くないんじゃないかと思います。 そこで、実際に昨年チェコのホールでオーケストラを収録している時に現地からどんなデータが届いていて、日本側では何をしていたのかが分かる動画を作ってみました。 恐らく想像よりも地味で誰にでも出来そうな映像に見えると思います。なので、興味のある人は是非チャレンジしてみて欲しいです。 音声、映像につ

楽曲「Hope」が出来るまで

フルオーケストラ同時録音への挑戦Hopeという楽曲を語る前に、僕自身がこれまでオーケストラレコーディングの経験値を積んできた流れについて説明させて下さい。 初めて生のストリングスをレコーディングしたのが2016年のG5 2016の制作で、ボストンのFraser Performance Studioで6型の弦でのレコーディングでした。僕のことをこの映像で知った方もいらっしゃるかと思います。 生演奏にすることで何がデモよりも素晴らしくなり、何が意図と外れてしまうのかを初めて肌

打ち込みストリングスに宅録でトップ1本重ねた時に馴染ませる裏技

まずは聴いてみる・裏技を使った場合 ・打ち込みだけの場合 ・普通にリバーブかけた場合 のそれぞれのケースについて、生のソロバイオリンを1st、2ndの打ち込みにレイヤーしたものを下記動画にまとめました。楽曲はAZさん(@AZ_arp124 )さんのMy Dearで、バイオリンはsetsatさん(@setsat666 )です。 1stと2ndに生のソロバイオリンが重なるだけで説得力が増したことが分かるかと思います。また参考資料としてソロバイオリン単体や、普通のリバーブの代わ

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収録費がもらえなくなるくらい説得力のあるストリングス打ち込み技術

はじめにサンプルライブラリの進化はまさに日進月歩で、どのデベロッパーのサイトでデモを聴いても「もう録らなくてよくない?」という声が出そうになります。ただ、人間側の進化、対応がそのスピードに追従出来ているかと言われると中々難しい部分があります。 この記事では、進化し続けるストリングスライブラリを正しく使いこなして感動できる打ち込みを作る上で多くの人がつまずく技術的な課題とその解決策をプロアマ問わず作曲家向けに纏めたものです。また、普段から全てレコーディングしていて打ち込みはあ

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サンプルライブラリの質を買う前に可能な限り見極める方法

いの一番にやるべきことどこを探しても重要なことは恐らく99%以上英語でしか書かれていませんし語られていないため、まずは何とかして英語で情報を得る手段(Chromeの翻訳やYouTubeの字幕等)を用意して下さい。 ・メーカーサイトの商品ページを見る ・公式のティザー、トレイラーを見る ・公式のWalkthrough動画を見る ・VI-CONTROL、Gearslutz、KVR等やメーカーのフォーラムを見る ・既に購入したユーザーが上げたデモに質問を送る このあたりは非常に

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Nashville Scoring Strings自分用Tips

自分用メモなので文体も自分用です。 使用環境iMac 2019 Core i9 3.6GHz 40GB RAM USB 3.0 SATA 外付けSSD Thunderbolt 3 NVMe 外付けSSD Cubase Pro 10.5.20 音について初期反射が充実していて8/0/6/5/4の割には人数が多く聴こえる。反面、テールはかなり短くリバーブでコントロールしやすいためライブラリとしては非常に使いやすい。Ocean Way Nashville自体がそこまで大きくない

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海外オーケストラ収録で本当に大成功を収めるために必要な準備(note版)

この記事は2020年9月3日にCEDEC 2020でsoundtrec LLCのShota Nakamaさんと行ったセッションの内容を簡易的に記事化したものです。 大成功の定義お金さえあれば誰でも海外収録は出来ますが、それを大成功に導くとなると様々な困難、課題があります。まず、大成功について定義します。 これらを目指す上で重要なのが「かけたお金以上のものは得られない」ということです。準備が不足していれば得られるものは勿論かけたお金以下になります。故に、収録に関わる個々人の

打ち込みからオーケストラ編曲に入った人がやりがちなミス

これは打ち込みからオーケストラ編曲に入った人(=僕)がこれまでにオーケストレーターに怒られてきたポイントを列挙する反省文です。言われてみれば当然なんだけど言われないと気づけない不思議。 金管の出番が多すぎる金管の出番が多いと怒られます。金管は吹くのがしんどい上に音量も極端に大きいので、fやffの音が曲の中に頻繁に出てくると違和感が凄いようです。 頻発する循環呼吸木管というより金管だと思うんですが、景気良く「ブオー!」と吹かせたものをサステインループが発生するほど長く鳴らし