はいとじう

ほんのちょっとだけ未来の日本とか、富士山消失後のお話とか、ちょっと不思議な町の住人のこ…

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ほんのちょっとだけ未来の日本とか、富士山消失後のお話とか、ちょっと不思議な町の住人のこととか書いてます NASA JAXAロスコスモス、人クローン作成、ヤバい研究者、諜報員、実はその筋の方よろしくお願いしますhttps://www.pixiv.net/users/96575378

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スーパーソニック

「きのうの夜中、地震あった?」  朝食を食べている時に、シスターがおもむろに聞いた。 「なかった」    パンをちぎりながら牧師は眠そうに答える。目の下の隈がひど…

はいとじう
1か月前
1

〝泣いているのを誤魔化したからなんだ〟

2028年、秋。 ジンが死んだ。 「ちくしょう」    田中先生が、真っ白い箱に入ったジンを見て、も一度「ちくしょー!」と言った。  ふざけているように見えたのは、…

はいとじう
2か月前
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「いつもは道端に転がってる」

ジョゼフの目は、青白いパソコンの画面に吸い寄せられた。 「見たいですか? いきますよー」 「さっさとしろよ、ここは漫喫だぞ。時間取らせんな」  牧師は辛辣に言っ…

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2か月前
4

「人の記憶なんて当てにならないから」

オレンジ色の光で居心地がいい。 熱いコーヒーの香りで、ジョゼフは自分の身体が指先まで和らぐのを感じた。  ホテルから、歩いて二分の場所にある漫画喫茶は、黄色いビ…

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2か月前
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“よく晴れた、青い空の日だったことも”

 午後6:59   河口湖富士山パノラマロープウェイ入り口前。  河口湖に面した駐車場に降り立つ。  ジョゼフはその広い湖を見つめ、浅く呼吸をした。  もう一度大き…

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2か月前
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「ゾーンみたいだな。ストーカーの」

ジョゼフはそのデカい身体を屈めて、ゆっくりと車に乗り込んだ。 「やっぱあんたデケェな」    牧師は、助手席にこじんまりと収まる190センチの中年男をみてしみじみと…

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2か月前
4

男のローマンカラーに似た黒いシャツが、やけにはっきりと網膜に焼き付く。

2028年 冬 羽田空港 「三年間、何してたんだジョージ」      空港のカフェで、抹茶パフェを食べている目の前の牧師の男は聞いた。    男のローマンカラーに似た…

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2か月前

「まるで別人みたいな顔をするんだな」

2025年12月27日   午前4:52 富士山の頂上に隕石が落下した。 その日私は、奥庭自然公園付近を妻と共にふたりで観光していた。 そこへ隕石が直撃したらしい。 富士山が…

はいとじう
3か月前
1
スーパーソニック

スーパーソニック

「きのうの夜中、地震あった?」

 朝食を食べている時に、シスターがおもむろに聞いた。

「なかった」  
 パンをちぎりながら牧師は眠そうに答える。目の下の隈がひどい。  
 ののめは相当美味しかったのか、スクランブルエッグをおかわりした。  
 ジョゼフは左のおでこを擦る。

「一応、順調に帰路についてますってLINEしとこうか、先生たちに」
「待て。先生等スマホなくしたってこの間言ってなかっ

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〝泣いているのを誤魔化したからなんだ〟

〝泣いているのを誤魔化したからなんだ〟


2028年、秋。

ジンが死んだ。

「ちくしょう」  

 田中先生が、真っ白い箱に入ったジンを見て、も一度「ちくしょー!」と言った。
 ふざけているように見えたのは、多分田中先生が泣いているのを誤魔化したからなんだと思う。  

 夕方に死んだジンを、わたしたちは病院から連れて帰った。その日のうちに、田中先生はジンの物を全て撤去した。  
 わたしは児童養護施設の中から、少し離れた海沿いの

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「いつもは道端に転がってる」

「いつもは道端に転がってる」

ジョゼフの目は、青白いパソコンの画面に吸い寄せられた。

「見たいですか? いきますよー」

「さっさとしろよ、ここは漫喫だぞ。時間取らせんな」

 牧師は辛辣に言った。

 漫画喫茶の中だったので、声は少々抑え気味だった。

 映像は山梨側から湖畔を挟んで撮られた、タイムプラスだった。5秒に一回といったところか。

 奇妙な映像だった。

 大学生の映した映像には、溶かしたガラスのように柔らかそ

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「人の記憶なんて当てにならないから」

「人の記憶なんて当てにならないから」

オレンジ色の光で居心地がいい。

熱いコーヒーの香りで、ジョゼフは自分の身体が指先まで和らぐのを感じた。

 ホテルから、歩いて二分の場所にある漫画喫茶は、黄色いビルの七階にあった。

 かわいらしい印象的のビルだった。少し奇妙だったのは、階段やらエレベーターの前に、やたらと小物がが置いてあったことだ。ガネーシャやら、インド風の小物、銀細工のアンティークなどが、そこかしこに置いてある。

 しかし

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“よく晴れた、青い空の日だったことも”

“よく晴れた、青い空の日だったことも”

 午後6:59   河口湖富士山パノラマロープウェイ入り口前。

 河口湖に面した駐車場に降り立つ。

 ジョゼフはその広い湖を見つめ、浅く呼吸をした。

 もう一度大きく吸ってみる。

「げほっ」

 冬の湿った湖の香りを肺いっぱいに吸い込んだら大いに咽せた。

 人気の少ない湖に並ぶアヒルのボートが町の光で朧げに映る。 湖の向こうには細い橋が架かっていて、ライトをつけた車が何台も通っている。辺

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「ゾーンみたいだな。ストーカーの」

「ゾーンみたいだな。ストーカーの」

ジョゼフはそのデカい身体を屈めて、ゆっくりと車に乗り込んだ。

「やっぱあんたデケェな」  

 牧師は、助手席にこじんまりと収まる190センチの中年男をみてしみじみと呟いた。  白いワンボックスの横には〝コスモスの家〟と書かれてある。これは牧師の教会の隣に建つ、児童養護施設の名前だ。フロントガラスに、小さなヒビが入っているのが少し気になる。  

 羽田からは、牧師の運転で富士山に移動した。  

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男のローマンカラーに似た黒いシャツが、やけにはっきりと網膜に焼き付く。

男のローマンカラーに似た黒いシャツが、やけにはっきりと網膜に焼き付く。

2028年 冬 羽田空港

「三年間、何してたんだジョージ」    

 空港のカフェで、抹茶パフェを食べている目の前の牧師の男は聞いた。  

 男のローマンカラーに似た黒いシャツが、やけにはっきりと網膜に焼き付く。

 この男はジョゼフのことを〝ジョージ〟と呼ぶ。

「生徒とはうまくやってるか?」

「ああ、」

「みんないい子だよ」ジョゼフはおでこの傷を擦った。

 

 嘘だ。違う。嘘じ

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「まるで別人みたいな顔をするんだな」

「まるで別人みたいな顔をするんだな」

2025年12月27日  

午前4:52 富士山の頂上に隕石が落下した。

その日私は、奥庭自然公園付近を妻と共にふたりで観光していた。
そこへ隕石が直撃したらしい。

富士山が閉山期間だったため、私たち以外に観光客も、登山者もいなかった。
富士山は 五合目より上を、ごっそりと抉られたような形になってしまった。

死者一名。
私は生きている。 私の妻以外に犠牲者は出なかった。

日本の象徴と

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