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わたしと看取りの歩み

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わたしが看取りに関わるようになった経緯や、そこで学んだこと、感じたことなどを書いた記事を、こちらにまとめておきます。
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記事一覧

peacefully

peacefully

イギリスのエリザベス女王陛下がお亡くなりになりました。96歳でした。
昨夜はBBCを見て、眠るまでイギリス英語を聴きながら過ごしました。
ご家族が囲んでのお看取りなのだなと、穏やかで、いいお別れの時間が持てますようにと祈りました。

イギリス国民の皆さまの悲しみは深いと思いますが、わたしはロイヤルファミリーのこのツイートを見て安堵しました。

peacefully

想像でしかないですが、お看取り

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あの味噌汁は忘れられない一杯です。

あの味噌汁は忘れられない一杯です。

今日は久しぶりの出勤日だった。
「昨日、○○さんの命日でしたね」とカメラに残っていた写真を見ながら話した。

昨年の7月28日は彼女のお別れの場を作った。
彼女は葬儀を希望されず、直葬、つまり火葬場に直接運んでほしいと望まれた。

「遺骨だけ、関東にある母が眠っているお寺まで運んでほしい。もう永代供養の手続きはしてあるから」

ご家族はすでにみなさん他界されていたけれど、心配してくれた医師や友人

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人生最後に食べたい意外なもの

人生最後に食べたい意外なもの

「あなたが人生最後に食べたいものは?」

よく聞かれる、目にする質問ではないかと思います。
きっとこの質問を受けて考えているとき、「明日地球が滅びる」とか何かが起こって亡くなることを想定して考えていますよね。
「ラーメンが食べたい」「お寿司かな」「お母さんのおにぎり」等など、おいしい料理が浮かんできます。でも、これって健康だから食べられるものばかりですよね。噛んで、飲みこんで、消化できる食べ物たち

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天の川の一粒

天の川の一粒

7月7日、七夕。織姫と彦星は楽しい時間を過ごせたかな。
毎年曇り空で天の川は見られない。曇り空のもっと上には、きれいな川が流れているんだろう。
実際に見ることはできなくても、きれいな星空を眺めて語りあう思い出は作れる。

「今困っていることはありません」
自宅に看護師と伺ったとき、彼女はきっぱりとわたしたちに伝えた。信用を得られるまでに時間がかかるだろうと少し不安になった。

母と同じ歳の女性は、

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偶然、だが必然の出合いだった本『1000人の患者を看取った医師が実践している傾聴力』

偶然、だが必然の出合いだった本『1000人の患者を看取った医師が実践している傾聴力』

緩和ケア病棟で祖母を看取ったあと、病棟でのボランティアに登録しようと考えていた。

ある日、本屋さんで目的もなく、並んでいる本を眺めていた。
自分の目の高さに並ぶ本の背表紙を、端から順に眺めていたとき、1冊の本が目に飛びこんできた。この表現そのままで、1冊だけ目立っていて、わたしに場所を知らせてくれているようだった。

それがこの本

ボランティアをやるにあたって、傾聴は大事なスキルだと考えていた

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「そんな悲しいこと言わないで」は言わないで。

「そんな悲しいこと言わないで」は言わないで。

緩和ケア病棟に入院していた祖母は、家族が面会に行くたびに「まぁはよ死にたい」「いつになったら迎えが来るんやろ」のような言葉を口にしていた。
そのたびに娘たち(特にうちの母)は「そんなこと言わんといて」「みんなが悲しくなるでしょ」などと返していた。

こういう会話、まわりでも聞いたことありませんか?

緩和ケア医との会話を今でも忘れないようにしている。

「おばあちゃんが『もう死にたい』とか言うこと

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わたしが看取り(緩和ケア)に興味をもった理由

「ここは、おばあちゃんが最期どう生きるか、みんなで考えて支えるところだよ」

約9年前、祖母が緩和ケア病棟に入院した。いわゆるホスピスと呼ばれているところ。
おばあちゃんは死ぬんだ、そう理解していたわたしに、緩和ケア医が初めてかけてくれた言葉が「生きる」という死とは反対の言葉だった。
冷静に考えれば、最期まで生きるのだから当たり前のことを話している。だけど、その時のわたしには衝撃だった。

この医

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