ある男

『ある男』

平野啓一郎 文藝春秋 2018年

 武本里枝は2歳の次男を亡くし、その治療の過程で夫との間に決定的な亀裂を生じ、離婚する。その後父の死を契機に、長男を連れて、宮崎の実家に帰る。実家の文房具店を切り盛りしながら、心の整理がつかない状態で暮らしていた。
 そこにスケッチブックや絵の具を買いに、月に1度くらいの割合で、谷口大祐が現れる。どこからか流れてきた、林業に携わる谷口を、地元の人間は胡散臭そうに

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男と。

ライティングでテントの記事を書いている。また夏がやってきてキャンプの季節になりますね。僕は夏は嫌いです。ベタベタするのほんとにいやなんで。さらさらしていたいです。

キャンプと言えば去年の4月ほどに知り合いに「愛知県の犬山ってとこでキャンプしてるからおいでよ~」と言われたので住所をもらい、向かった。そいつらは知ってたはずなんだけど、僕はアウトドアも何も興味が無いので、いつも通り手ぶらの薄着で向かう

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「身体」が実感すること 〜「知性は死なない」を読んで〜

ときどき、心を軽くしてくれることばに出会う。
それはきっと、ふとした会話の中で、なんとはなしに読んだ小説の中で。

例えば、今ではわたしの大のお気に入りの1冊となった、平野啓一郎の「ある男」を読んだとき。

弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。

 宮崎に住む里枝には、二歳の次男を脳腫瘍で失って、
夫と別れた過去があった。長男を引き取って、十

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『ある男』平野啓一郎 感想

久しぶりに長編小説『ある男』を読んだ。
それも現代作家。
平野啓一郎氏の小説を読むのは初めてだった。
 
とっても文学だった。
そして現代に生きるリアルな人間として、大人として、親として、日本人として、というリアリティの伴った。
 
扱う世界はポピュラーではないかもしれない。
しかし、ここで紡がれる人間の、人間ゆえの複雑な絡み合いは、ものすごく普遍性に富んでいる。
そういうのが“文学”なんだと言え

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愛情に過去は必要?

あなたにとって、過去とはどのようなものですか?
消し去りたい過去?誇れる過去?

私の過去は、後悔もあるけど、決して忘れたくない日々が詰まっています。

それでも、ごくたまに自分ではない『誰か』になりたくてなりたくて仕方がないときがあります。自分自身を受け入れられないことがあるのです。あるとき、私が私ではない誰かになりきって、相席屋に行ったことがありました。

私は共学の大学生ですが、ふわふわした

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読書記録『ある男』 平野 啓一郎 (著) を読んで。

『ある男』 平野 啓一郎 (著)

 謎を追っていく小説であり、社会的問題を深く織り込んだ作品なのですが、しかし、その一番深くにあるものは、「人はなぜ、文学を、小説を読むのか」ということだと、私には思われた。最終章に、そのことが、この上もなく感動的に結実する。
 そこに至るまでは、謎解き興味で読みつないできたはずなのに、最終章、思いもかけず、ボロボロと泣いてしまいました。この小説の筋立て展開として

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書いているものについての考察

なんか日記なのか小説なのか分からなくなっている。

小説にするには主人公を象徴にまで高めなくてはいけない、というようなことを『ある男』で平野啓一郎さんが書いていたので、
ちょっと潜って人や一つ一つの事象を象徴化出来るようにやってみる。
出来るようにしなくてはいけないし、出来ると思っている。

話が面白くない人についてのツイートで、何が言いたいのか本人も分かっていないのが原因だと書いてあった。

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「では」で語るか、「とは」で語るか。佐渡島庸平×石川善樹×羽賀翔一 #コルクラボの温度

こんにちは!『コルクラボの温度』note編集部員のくりむーです!

今回は、感情ミーティングシリーズの第7弾。
コルクの佐渡島庸平(サディ)が、友人であり予防医学研究者である石川善樹さん、漫画家の羽賀翔一さんとともに、平野啓一郎さんの小説『ある男』について語る「『驚き』について(3/3)」をお届けします。

――小説やマンガは、常に「とは」を問いかけるもの
――「とは」があるから「驚きが生まれる」

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2019年本屋大賞決定!ノミネート作品一覧

大賞受賞「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ (著)

幼くして実の母親を亡くし、様々な事情で血の繋がらない〈親〉たちの間をリレーされ、四回も苗字が変わった優子だが、決して不幸だったわけではない!〈親〉たちの愛を一身にうけて、〈親〉たちのことも愛して、いま十七歳の優子は幸せなのだ。彼女はいつも愛されていた。身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作。

翻訳小説部門 大賞「カササギ殺人事件」 アン

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著者と対話しながら読むこと(2019年3月に読んだ本まとめ)

「読書習慣がある」
褒めてもらえることが多いが、僕にとって読書とは「呼吸をする」のと同じ。決して誇れるものと思っていない。僕は要領が悪い人間なので、他人よりも多くの酸素(=インプット)を取り入れないと生きていけない。

「読書をしなくても良い」
要領の良い人間なら、生存のための読書は不要かもしれない。人生の要諦を掻い摘み続けることで、生存上必要な知識は得られるからだ。人間には24時間しか与えられて

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