樋口毅宏

一に育児。ニに家事。三四がなくて、五に作家。

樋口毅宏

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    映画、ブック、音楽、グルメなど、樋口のアンテナに引っかかったモノを強烈におすすめしていくマガジンです。

記事一覧

復活記念!過激なる〝ビートたけし原理主義者〟水道橋博士の異常な半生(反省)インタビュー

(初出 昭和50年男 No.014 2022年1月号) ――こうやってちゃんとお話するのは久しぶりです。本日はよろしくお願い致します。もともと博士は岡山にある紙問屋のお坊ちゃ…

樋口毅宏
10か月前
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生きた 投げた 愛した 江夏豊15000字インタビュー

20世紀最高の投手 記録にも記憶にも残る名選手  206勝193セーブ シーズン401三振 最優秀防御率1回 最多勝2回 最優秀救援投手5回 セパMVP 江夏豊ーー。後世の人たちはこの…

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樋口毅宏
1年前
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たけしがたけしを辞めるとき

(初出●「昭和40年男」2021年10月号) 今から2500字、「たけし」と呼び捨てにすることを読者貴兄にご寛恕頂きたい。 ビートたけし。お笑いの社会的地位を向上させ、テレ…

樋口毅宏
1年前
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「川原さん、大瀧詠一ってどんな人でしたか?」川原伸司(平井夏美)、すべてを語る

川原伸司……1950年10月11日、東京生まれ。日大芸術学部を卒業後、ビクターに入社。ピンク・レディー、杉真理、松本伊代、The Good-Byeらの現場を経験しつつ、作曲活動も行…

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樋口毅宏
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「僕は長州力のことを、ちっとも恨んでなんかないですよおおお!」ターザン山本ロングインタビュー 放蕩息子の遺言

すでにご存知の方もいると思いますが、『昭和40年男』『昭和50年男』といった雑誌を発行していた株式会社クレタパブリッシングが倒産しました。 https://prtimes.jp/main/

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樋口毅宏
1年前
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『君たちはなぜ、怒らないのか 父・大島渚と50の言葉』(大島武・大島新著)評

編集部から本書の書評依頼を頂いたとき、引き受けようか迷った。 映画評論家の四方田犬彦氏のゼミに聴講生として通っていたこともあり、大島渚の代表作はだいたい観ていた…

樋口毅宏
2年前
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神のような孤独な魂ーー石原慎太郎『やや暴力的に』評

僕は以前ツイッターで、「石原慎太郎は政治家としても人間としても最低最悪だが、作家としては神。もしくはそれ以上。」と書いて顰蹙を買ったことがある。後悔はないし、そ…

樋口毅宏
2年前
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『ソナチネ』北野武監督

あれは数年前のこと、曽我部恵一がライブのMCでこう話したことを覚えている。 「こないだね、ヴィスコンティの『白夜』がリバイバル上映をしていたからまた観てきたんで…

樋口毅宏
2年前
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この3冊 タモリ

①天才バカボン 全21巻 (赤塚不二夫/竹書房文庫) ②エロチック街道 (筒井康隆/新潮文庫) ③エロ事師たち (野坂昭如/新潮文庫) こんにちは、本人に一度も会わ…

樋口毅宏
2年前
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一冊の小説に魂を揺さぶられたことはあるか?ーー映画『ノクターナル・アニマルズ』評

グッチ、イヴ・サンローランなどの世界的ファッションデザイナー、トム・フォードが監督した映画『ノクターナル・アニマルズ』を観た。ぶっ飛んだ。 ストーリーはこう。エ…

樋口毅宏
2年前
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育児日記Season3 (第1回) ふたり目は贅沢ですか?

【承前】 「セフレ以上恋人未満」から、ふさことの関係は始まった。 男女の関係になって半年ぐらい経って、ふさこからコクられた。 「樋口さんの子どもが欲しいです。お…

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樋口毅宏
2年前
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育児と小沢健二

3年間にわたって連載していたcakesの育児日記が終了しました。そもそものスタートは週刊新潮で、そちらは1年間。それからcakesだったので、計4年間にわたって書いてきたこ…

樋口毅宏
2年前
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『17歳の瞳に映る世界』は誰の世界を変えるのか

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樋口毅宏
2年前
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2020年映画ベスト4

〝映画はどこで観るものか?〟 〝ーーそんなの劇場に決まっている〟と、 今さらながら痛感した1年だった。 家のパソコンでは集中力に限界があり、感動は減退する(と言…

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樋口毅宏
3年前
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復活記念!過激なる〝ビートたけし原理主義者〟水道橋博士の異常な半生(反省)インタビュー

(初出 昭和50年男 No.014 2022年1月号)

――こうやってちゃんとお話するのは久しぶりです。本日はよろしくお願い致します。もともと博士は岡山にある紙問屋のお坊ちゃまとして生まれて通信簿はオール5。神童扱いだったと聞いています。

博士 子どもの頃、「末は博士か大臣か」って言われていて大人になって「本当に博士になって帰ってきた」って我が家の定番ジョークがあるからね。でも子どもの頃は問題

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生きた 投げた 愛した 江夏豊15000字インタビュー

20世紀最高の投手
記録にも記憶にも残る名選手 
206勝193セーブ
シーズン401三振
最優秀防御率1回
最多勝2回
最優秀救援投手5回
セパMVP

江夏豊ーー。後世の人たちはこの大投手の存在を信じられるだろうか。

先発投手として200勝。これだけでも凄まじいのに、もし現在のように7回か8回を抑えたら1ホールド、9回を抑えたら1セーブとカウントしていたら、500ホールドと300セーブまで記

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たけしがたけしを辞めるとき

(初出●「昭和40年男」2021年10月号)

今から2500字、「たけし」と呼び捨てにすることを読者貴兄にご寛恕頂きたい。

ビートたけし。お笑いの社会的地位を向上させ、テレビ史だけでなく世界の映画史にも名を残す、現在進行形の偉人。昭和、平成、令和と3つの元号に跨って、時の総理大臣より偉い地位に就き続けるこの男について、いったいどこから語ればいいのか。

まず、漫才ブームがあった。「オレたちひょ

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「川原さん、大瀧詠一ってどんな人でしたか?」川原伸司(平井夏美)、すべてを語る

川原伸司……1950年10月11日、東京生まれ。日大芸術学部を卒業後、ビクターに入社。ピンク・レディー、杉真理、松本伊代、The Good-Byeらの現場を経験しつつ、作曲活動も行い、井上陽水、筒美京平、大滝詠一、松本隆らとの交流を持つ。また、プロデューサーとして大滝詠一、中森明菜、TOKIO、ダウンタウンらを手がけ、松田聖子、森進一らの楽曲や音源制作にも携わる。

以上は、昨年上梓された川原伸司

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「僕は長州力のことを、ちっとも恨んでなんかないですよおおお!」ターザン山本ロングインタビュー 放蕩息子の遺言

すでにご存知の方もいると思いますが、『昭和40年男』『昭和50年男』といった雑誌を発行していた株式会社クレタパブリッシングが倒産しました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000074237.html

株式会社ヘリテージに事業が譲り渡されたため、『昭和40年男』『昭和50年男』はその後も発行を続けています。それは良かった。

しかし同誌で

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『君たちはなぜ、怒らないのか 父・大島渚と50の言葉』(大島武・大島新著)評

『君たちはなぜ、怒らないのか 父・大島渚と50の言葉』(大島武・大島新著)評

編集部から本書の書評依頼を頂いたとき、引き受けようか迷った。

映画評論家の四方田犬彦氏のゼミに聴講生として通っていたこともあり、大島渚の代表作はだいたい観ていたものの、「頭の悪い自分は、難解な彼の作品の良き理解者ではない」と思っていた。しかし本書を読み進めていくうち、そんなことは大した問題ではないとわかった。

「父親との交流や会話がほとんどなかった父は、自分の息子たちとどう接したら良いのか、

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神のような孤独な魂ーー石原慎太郎『やや暴力的に』評

神のような孤独な魂ーー石原慎太郎『やや暴力的に』評

僕は以前ツイッターで、「石原慎太郎は政治家としても人間としても最低最悪だが、作家としては神。もしくはそれ以上。」と書いて顰蹙を買ったことがある。後悔はないし、その考えが揺らいだことはない。

どれだけ慎太郎の影響を受けてきたかわからない。拙著『ルック・バック・イン・アンガー』の文体は『太陽の季節』『灰色の教室』からだし、『民宿雪国』に出てくる海の風景は『風についての記憶』から大いにパクらせてもらっ

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『ソナチネ』北野武監督

『ソナチネ』北野武監督

あれは数年前のこと、曽我部恵一がライブのMCでこう話したことを覚えている。
「こないだね、ヴィスコンティの『白夜』がリバイバル上映をしていたからまた観てきたんですよ。……もうね、僕はあの映画になりたい」

 その気持ちはとてもよくわかる。僕も『ソネチネ』に対して同じような気持ちを抱いているからだ。

始まって5分のたけしのセリフ、「ケン、ヤクザ辞めたくなったな。なんかもう疲れたよ」から、脇役のセリ

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この3冊 タモリ

この3冊 タモリ

①天才バカボン 全21巻
(赤塚不二夫/竹書房文庫)

②エロチック街道
(筒井康隆/新潮文庫)

③エロ事師たち
(野坂昭如/新潮文庫)

こんにちは、本人に一度も会わずに、『タモリ論』などという大仰なタイトルの新書を上梓した自称文豪です。毎日新聞から「タモリをテーマに3冊選べ」という無茶すぎる指令が下り、一度はお断りしようとしましたが、憧れの和田誠さんに自分の顔を描いてもらえると知り、人生最大

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一冊の小説に魂を揺さぶられたことはあるか?ーー映画『ノクターナル・アニマルズ』評

一冊の小説に魂を揺さぶられたことはあるか?ーー映画『ノクターナル・アニマルズ』評

グッチ、イヴ・サンローランなどの世界的ファッションデザイナー、トム・フォードが監督した映画『ノクターナル・アニマルズ』を観た。ぶっ飛んだ。

ストーリーはこう。エイミー・アダムスが演じる金持ちアートディーラーのもとに、元夫(ジェイク・ギレンホール。彼が出る映画にハズレなし)が書いた小説が届く。20年前に自分が棄てた夫が何を今更?と彼女は訝しる。しかしそれは衝撃的なストーリーだった。

真夜中のハイ

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育児日記Season3 (第1回) ふたり目は贅沢ですか?

育児日記Season3 (第1回) ふたり目は贅沢ですか?

【承前】
「セフレ以上恋人未満」から、ふさことの関係は始まった。

男女の関係になって半年ぐらい経って、ふさこからコクられた。

「樋口さんの子どもが欲しいです。お金はいりません。籍も入れなくていいです。一切迷惑をかけません」

真に受けたわけではないけれど、気が付いたら僕は、ふさこが当時メインで働いていた京都に移り住み、所属する松竹芸能の要請により入籍し、お金を折半して、赤ん坊の一文の育児を全面

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育児と小沢健二

育児と小沢健二

3年間にわたって連載していたcakesの育児日記が終了しました。そもそものスタートは週刊新潮で、そちらは1年間。それからcakesだったので、計4年間にわたって書いてきたことになります。

今から書く長い文章(1万1000字!)は、これから育児日記をnoteへ移行するにあたって、どうしても先に書いておこうと思ったものです。

これから小沢健二について手厳しいことを書きます。どうしても書きたかったこ

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2020年映画ベスト4

2020年映画ベスト4

〝映画はどこで観るものか?〟

〝ーーそんなの劇場に決まっている〟と、

今さらながら痛感した1年だった。

家のパソコンでは集中力に限界があり、感動は減退する(と言いつつ、僕の一昨年のベストワンは『ROMA』のスマホ鑑賞だったけど)。

そしてもうひとつ。自分にとってアメリカ映画の比重が大きいことを、今さらながら感じずにはいられなかった。

よって毎年ベストテンをセレクトするところですが、今年は

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