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【毒親】『親という傷 幼少期の心の傷をとりのぞけばあなたの人生は好転する』◇まとめ その8【トラウマ】

 本書のまとめの8本目。今回でPart.2が終了します! 
 2日前から妻と子どもが風邪をひいてしまい,その対応に追われていました! 
 大変申し訳ありませんでした… 
 全部の目次は,こちらの記事に記載しています。


Part2 心の傷とその原因

Chapter7 安心したい

家庭は心地よさや,安心,平和,安定,予測可能性を求める場所だ。そして,周りの世界が怖くて危険で厳しいときに,心身を休めに戻るべき場所だ(わたしは,「べき」という言葉をあまり使わないが,ここではふさわしいと思う)。」(p.213)

 「安心」とは,人間にとってとても重要なものです。特に子どもの頃の安心や安全は,自分の命が保証され,気持ちを安らげるために必要なものです。

 では,その安心が脅かされ「安心の傷」になる原因は何なのでしょうか。著者はいくつかの事例を通して,4つ挙げています。

  • 1,虐待

 これは日本でも非常に深刻な問題ですね。

 虐待には,6種類のタイプ(身体的虐待,性的虐待,言葉による精神的虐待,心理的虐待,経済的虐待,文化・人種的な虐待)があり,これらに「育児放棄(ネグレクト)」と「搾取(子どもに売春させる,不適切な年齢で労働させるなど)」が加わります。

 著者いわく「虐待が自分の家庭で起こったり,家族が止めなかったりした場合,深刻な裏切りや信頼の喪失を経験(p.214-215)」します。

  • 2,無責任(アミール(仮名)の事例)

 浪費癖に悩むアミールは,なぜいつも自分がお金を失ってしまうのか知りたくて,著者のところに相談に訪れました。

 話を聞いていくと,幼少期,運転すると気性が非常に荒くなる父親に対して,「自分の命は父にとって大切ではないのだ」と感じるようになった。それによって生じた「安心の傷」が疼き,自分に対しても「無責任」になり,現在の放蕩的な生活につながっていることが分かりました。

過去が自分の安全など重要ではないと語りかけてくるとき,安心や安全に向かって方向転換するのはたやすいことではない。(p.222)」

  • 3,解離(トニー(仮名)の事例)

解離」とは,「身体と心のつながりが断たれる精神状態のこと」です。

 トニーは人と親しくなることが難しいことを悩んでおり,友人に勧められて著者のところへ相談に来ました。

 話を進めていくと,9歳のときに父親が母親に身体的虐待をするようになり,その影響で母親がは魂が抜けた,文字通りの抜け殻状態になってしまった(いわゆる解離の状態)。母親が大好きだった彼は強いショックを受け,それがきっかけで彼の心に「安心の傷」が生まれたことが分かったのです。

会話中や,運転中,料理中に親が解離した場合,身の危険を感じるかもしれない。(p.224)」

  • 4,怖い体験(アリーヤ(仮名)の事例)

 相談に来たアリーヤは,著者と話を進めるうちに,9歳のときに彼女の目の前で,祖母が重い脳卒中で倒れてしまった。そのとき自分と祖母以外は誰も家におらず,彼女は祖母の命を救うために祖母の頭を支え,救急隊を呼び,救急隊の手伝いをした。幸い祖母の命は助かり回復したが,この出来事がアリーヤにとってあまりにショッキングだったため,これにより「安心の傷」が生じました。

力や,支配,無責任,ネグレクト,搾取がない家庭でも,安心の傷が生じることがあるのはたしかだ。(p.226)」

 これらの原因があるうえで,著者は人が起こす「安心の傷」への対処の方法を2つ挙げています。

  • 1,恐れながら暮らす(ミヤコとジン(いずれも仮名)の事例)

 婚約したいミヤコに対し,ジンはためらっていました。都はジンの態度にしびれを切らしていたが,カウンセリングを進めると,ジンが13歳のとき,母親が自ら命を断とうと何度も試みたことがあり,これが原因でジンは「安心の傷」を負った。現在ミヤコが失業していて,にもかかわらず何もサポートを求めない彼女の姿が,誰にも助けを求めず命を絶とうとした母親の姿と重なり,その恐怖をジンはこれまでずっと抱えて暮らしてきたことが分かりました。

悲しいことに,安心の傷を持つ子どもや大人にとっては,(家庭は)最も恐怖と孤独を感じる場所なのだ。(p.234)」

  • 2,心を閉ざす(アリー(仮名)の事例)

 パートナーといつもうまくいかないことを嘆いていたアリーは,「自分の弱さを見せる」ということに強い抵抗感を持っていました。話を聞いていくと,彼女が13歳のとき,夕食中に父親と何気ない会話をしていると,母親から突然「わたしの夫を誘惑しないで!」とアリーに怒鳴った。アリーとしては父親からの質問にただ答えていただけなのだが,母親にはそれが,夫を誘惑しているように見えたようだった(のちに母親が幼いころに性的虐待を受けたことが原因で精神病エピソードを発症していたことが分かった)。しかし当時のアリーにはもちろん理由など分からず,以降も母親からことあるごとに罵られ続けた。とうとう彼女は母親の元を去り,心を閉ざしてしまいました。

「(家庭は安心できないと感じるような)体験をすると,居場所を失い,感じたり,表現したり,感情を示すことができなくなる。(p.234-235)」


【心の根元の傷を癒すワーク・安心の傷】

さて,ここでも,心の根元の傷を癒すワークに取り組みます。前回と同様に4つのステップがあります。

  • 1,心の傷に名前を付ける

(自分を傷つけたものは何なのか,正確に言語化してみる)

  • 2,客観視する

(自分か他の誰かに,痛み,影響を与えた出来事の目撃者になる(なってもらう)※これは自分自身でも可能)

  • 3,悲しむ

(客観視によって表れたすべての感情に寄り添う。自分の気持ちをしっかりと感じる)

  • 4,方向転換する

(十分に悲しんだ後,再び自分に深く関わり,行動や考え方のパターンを変える)

 この章には,別で「ガイド付き瞑想」というワークがあります。

「安心」というものを,身体で感じるための瞑想のやり方が細かく書かれています。気になる方は,本書にてご確認ください。
 一番下に,Amazonの本書のリンクを貼っておきますね。

―― ■ 以上が本書のまとめ。以下は私の感想文です ■ ――

「安心」とは著者の言うように,子どもにとっても大人にとっても,非常に重要なものですね。

 常に張り詰めた環境にいて神経をとがらせていたら,身体も心も疲れてしまいます。

 ふう,と一呼吸おいて過ごせる「安心できる空間や居場所」も,人間には必要です。

 特に子どもの頃は,自分の生まれ落ちた世界がどんなところなのかを,五感を使って見極めていくことが必要になるので,幼少期から「この世界は安心できない,安心できるところがない」と感じながら生きるのは,心の傷が生じても無理もない,非常につらいことです。

 私も幼少期,家庭にいて常に安心だったかと言われると,はっきりと「安心できてました」とは言い難いところがあります。

 幸いにも身体的,精神的な虐待はありませんでしたが,幼い頃は言葉が頼りになるので,両親から「大好き」とか「いつも見守っているよ」という言葉がないと,子どもは「愛されている,だから安心できる」とは理解できません。

 最近,父親と話す機会があったのですが,私は思い切って父親に「幼少期,自分は安心を感じられる言葉かけをされた覚えがない」と伝えてみました(直截にではなく言葉を選んで伝えました)。すると私の父親は「お前は物欲が強かった。だからあの頃はおもちゃでもお菓子でもゲームでも,『欲しい』と言っているものを一緒に探してやったし,見つけることが出来たら可能な限り買ってやっていた。それで愛情は伝わるものだと考えていた」と言っていました。

 なるほど,確かに親にしてみれば,「子どもの欲求を満たせてやっている」と思うのも無理はないでしょう。私も娘に対しては,「欲しい」といっているものは買ってやりたくなりますし,買ってあげたら喜ぶだろうなと思います。実際に喜んでくれますし。

 でも,今になって思いますが,それはあくまで「大人の視点」で「子どもの欲求」を見ているに過ぎず,子どもが本当に親の愛情を感じられているかどうかは,子どもが判断することです。

 子どもが求めているのは,おもちゃでもお菓子でもゲームでもなく,「親からの肯定的な言葉」これに尽きるのではないでしょうか。

 これがあるから安心を維持できるし,親からの肯定的な言葉がけをたくさん経験すれば,「この世界は安心できないことがあっても,家族のところに戻れば安心できる」ことを学ぶのではないでしょうか。

 父親との話から数日後,私も瞑想をやってみました。ガイド通りにやるのは難しかったですが,気持ちがフラットになり,なおかつ心の奥底からリラックスできました。

 さて,これにて5つの傷の解説が終わりました。

 次は「Part.3 人との関わり方を変える」に入ります。
 次回から,傷を持ちながら他者と関わりながら生きることについて学んでいきます。


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