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【エッセイ】遅く来た青春を楽しみたい

私はイベント事が苦手だ。

さくらの季節

ゴールデンウィーク

夏休み

ハロウィン

クリスマス

正月

など

浮かれた街と人を見て

「騒がしいなくそっ!」

と思う。

世の中が作り上げた
金儲けの為の罠に

まんまと引っかかって

無駄なことに金を使って

馬鹿かと思う。

なんてね。

本当はただのひがみです。

ある時

「最近観光客が
 そこたら中に溢れていてむかつく。」

と先輩に話したら

「ただの嫉妬だろ。」

と言われてはっとしました。

晴天の霹靂。

いや言い過ぎか。

私は学生時代
地味なグループに所属していました。

今の言葉で言えば陰キャでしょうか。

自分の高い声をからかわれるのが怖くて。

人前で話すことが怖くなって。

自分の子供っぽくて女性的な趣味嗜好を
馬鹿にされるのが怖くて。

素を出すことが出来なくなって。

そして
他人と居ることが楽しくなくなった時
私はどうにかして他人と
関わらないように生きることを選びました。

とにかく自分自身を
否定される事が怖くて仕方なかったのです。

そうやって学生時代を過ごしたものだから
多くの高校生や大学生が通るであろう
きらきらした学生生活に全く触れずに
ここまで来てしまいました。

実際にはきらきらした学生生活を過ごす人なんて
そんなに多くはないのでしょうが。

これも単なる憧れみたいな物ですね。

大人になって

別に

「誰も私の事なんて気にしていない」

事に気が付いて

他人と関わることが好きになった時

「本当は自分にもあんな風にきらきらした
 学生生活を送ることが出来たはずなのに。」

と馬鹿みたいな勘違いをしてしまいました。

そんなのただの妄想でしかないのに。

例えば私が出来なかったこと。

友達とのディズニーランド。

サークルに入って
メンバーの恋愛事情を面白おかしく聞くこと。

たくさんで飲みに行って
酔いつぶれて記憶をなくすこと。

恋人との温泉旅行。

「自分にだってできたはずなのに。」

そんな後悔とも言えない
もやもやを抱えて

それらを実現している若者を見ては

「騒がしいんじゃぼけ!」

と心の中で暴言を吐いているのです。

なんと器の小さい人間でしょう。

今からだって良いはずなのに。

いつだってできるはずなのに。

大人だからって落ち着かなきゃなんて
いったい誰が決めたんだ。

成人を迎えたから。

30歳になったから。

結婚したから。

子供が出来たから。

例えばこんなことがきっかけで
急に大人に進化する訳じゃない。

10代の頃から何が変わったって?

別に根本は何も変わっていない。

子供の自分を抱えたまま
私たちは仕方なく大人になる。

世間が求める大人の姿を演じる。

いつだって私たちの中には
子供の頃の私たちがいるはずだ。

友達とのディズニーランドだって

恋人との温泉旅行だって

きっと今からだって出来るはず。

ようやく私は私を認めることが出来て。

多少なりとも他人の目を気にせずに
生きられるようになった。

遅く来た青春を

どうにかこうにか

楽しんでいきたい。


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