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人間中心主義からの脱却~震災後10年を前にして岩手県沿岸250キロを歩く理由〜
わたしたちは日ごろ、明日がやって来るのは当たり前だと思って生きている。しかし、明日がやって来るとは限らないのだということを、コロナ禍は浮き彫りにした。人生には「死」という締め切りがあり、誰も逃れることはできない。そして、その締め切りがいつやってくるのかは誰にもわからない。そのことを意識することで、漫然と過ごしてきた目の前にある「生」が、かけがえのない「生」として尊く感じられた人も多いだろう。自分
もっとみるアップルウォッチ柿師|47キャラバン#11@岐阜
3ヵ月前のレポートを今、書いている。鉄は熱いうちに打て。レポートは、現場の余韻が体に残っている間に書かないとダメっすねー。
岐阜CARAVANで訪問した生産者はこのひと
佐野さんの現場を訪れるのはこれが2回目。ポケマルを始めた当初、まだ登録生産者さんが少なくて、時間を見つけては一人ひとりに会いに行っていた。そのひとりに、佐野さんがいた。このひと、若いときは自転車競技で全国にその名を轟かせたすご
7月豪雨で1週間の孤立状態だった集落を救ったのは…|47キャラバン#番外編@熊本県球磨村
水没した熊本県球磨村へ
福岡でのキャラバンの後に、ちょうど知人の女性が今回の球磨川の氾濫で被災した熊本県の球磨村の実家に帰省するというので、福岡からも遠くないし、一緒に行くことにした。
知人の実家は、一時、国道が寸断されて孤立した球磨村の神瀬地区にあり、2階まで完全に浸水する被害にあった。同地区の住民は、散り散りに周りの市町村の避難所に避難している。
豪雨災害から1ヵ月。ようやく瓦礫や流
周防灘の縮みゆく漁村|47キャラバン#3@山口
周防灘の漁師 九州から関門海峡を越え、山口県へ。下関から車で30分のところにある小さな漁村で父と一緒に漁師をしている久保田宏司さん(50)を訪ねた。これが初対面。前日に突然電話したにも関わらず、予定を調整してもらって会うことができた。温厚なお人柄で、優しさが顔からにじみ出ていた。
3年前までサラリーマンをしていたが早期退職し、祖父の代から続く船に乗った。とはいえ、父の漁を手伝う程度で、寂れゆく
ふたつの顔を持つアバター農家|47キャラバン#2@熊本
熊本入り 大分のゴージャスな外車での出迎えから打って変わり、運転席が土埃にまみれたバンで登場した農家の片山和洋さんは「すみません、ベントレーじゃなくて」と、冗談半分に頭をかきながら車を降りた。やっぱり農家はこれだ。軽トラかバン。うん、やっぱりこっちの方が落ち着く。前日の大分での数億円規模の大規模農業と、稼ぎの象徴である高級車の一件をTwitterで見ていたようで、「そっちのカッコよさもあるけど、違
もっとみるCOVID-19と真鯛
緊急事態宣言が発令された。
新型コロナウイルスの全国的な感染爆発を防ぐために発令されたものだが、東京や大阪などの大消費地の飲食店が一時休業を余儀なくされ、仕入先の生産者は行き場をなくした生産物を前に途方に暮れている。生き物である生産物は成長を止めてくれない。収穫や水揚げした野菜や魚は、買い手がいなければ廃棄処分となるしかない。
三重県南伊勢町の漁師、橋本純さんも頭を抱え込んでいた。海に浮かぶ5