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現実逃避のうた

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2020年1月の記事一覧

ロマンスの現実逃避15

愛について考える新月
月は完全に光を隠し
黒い空を眺めるわたし

愛とは、なんぞや?
愛することは、得るものより
むしろ失うものの方が多いのかもしれない
そんな苦しいことを、なぜ選ぶのだろう

愛とは、幸福だけでできているものでは
ないの?
こんなにも、
こんなにもすれ違うものはあろうか。
私が満たされることと、あなたが満たされることはどこか違う。

でも、あなたがそこにいて、
私がここにい

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ロマンスの現実逃避14

ロマンスの現実逃避14

あなたは最近、本を読んでいる時
私が話しかけたらいつでも、
本を置いてわたしの話を聞いてくれるようになったわね。
とても嬉しいと感じているのよ。

でも、ごめんなさいね。
あなたが本に夢中になっている時ほど、なぜだか私はいつも話しかけてしまうの。
悪い癖ね。
さみしいからじゃないわ。決して。
あなたがそばにいるのなら、寂しいはずは
ないのだから。

✳︎✳︎

私が自分の考えを少しばかり
自信が

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ロマンスの現実逃避13

あなたの苦しみを見た
普段は穏やかな、小波さえ立たない
なだらかな心が乱れていく

どうか、私の前では完璧でいないで。
あなたの苦しみをその都度吐き出して。
あなたの歪みを受け入れる自信が
あるから。

そうよ。
それを受け止められないほどの
ちっぽけな覚悟で、
あなたを好きになった訳ではないので。

愛することは
自分を知ること
あなたが私を分かっていなくても
それは関係ないことよ
ただ私

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懐古主義者の現実逃避

懐かしいものがすきだ
食べ物も、遊びも、何もかも昔の時代が好きだ。
周りを見れば、僕なんか時代遅れさ
ぼくと遊んでくれる人は誰もいないんだ
でも、懐古主義者は決して頭が固いわけじゃない。
ただ少し臆病なんだ。

もういっそのこと、勇気を出して新しいものに目を向けてみようか?
そうさ、この時代に住む人間にふさわしい
考え、価値観に触れて
思い切り今の時代の良さを味わってみたらいいのではないか。

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ファザコンの現実逃避21

父の知り合いの人が亡くなったと知った日
父の機嫌が悪かったことがあった

父はその日些細なことでぼくに八つ当たりをした
父が怒った
でもぼくは知っていた
父は悲しんでいたんだ
でも悲しみをうまく表現できなかったから
だからぼくを怒ったんだ
でもあの時、
ぼくがもう少し大人で 利口だったのなら
その怒りに対して反抗したりせず
きっと父を抱きしめてあげられたはずだ
でもそれをするには 幼すぎた

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ロマンスの現実逃避12

今日わたしは、いつもよりとってもわがままだった。
ひとりで泣いたりおこったり。
笑ったり喜んだり調子にのったり。
それをどんな顔をしてあなたが見ていたことか。
こんなに感情を表に出したのに
1日が終わってしまっても
わたしの心はみたされていないまま。
今日のわたしはどうしたのかしら?

ねえ
ただあなたとの会話を楽しみたいの。
お金を使って旅行に行きたいわけじゃないわ。

愛してるよっていう

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ロマンスの現実逃避11

となりで、
さっきまでしゃべっていた
あなたの寝息が聞こえてくる。

もう寝たのね。
寝つきが悪いわたしを追い詰めるあなたの
寝息。
早く寝ないとダメだって小さい頃は
言われたけれど。
大人になったらもう
誰もいってくれないのよね。
だからいつだって私は夜更かしばかり。

仕方がないわ。
こんな時間だからもう誰にもなにも言われないんだし、
明日のことは考えず
わたしは今からひとり、豆からコーヒー

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ファザコンの現実逃避20

ぼくはとうさんのなみだを
みたことがない
おばあちゃんのお葬式の時
少し顔を赤くして、目を伏し目がちにしている父はみた
でも涙を流しているところはみたことがない

人知れず泣いているからなのだろうか
本当に泣かない人なのか
それともぼくには見せないだけなのか
ぼくがたまたま見れなかっただけなのか
それか、
泣きたくても 泣くもんではないと
こらえているからなのだろうか
そんなのはわからないけど

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ロマンスの現実逃避10

私たちの付き合いは、もう3年ね。
わたしとあなたの未来について
そろそろ話し合ってもいい頃だとおもうの。

ほら、夜の満月も言ってるわ。
「あと何回ぼくが顔を出せば君は
結婚ということばを出すのかい?」って。

あなたは、すぐに明日の予定のことを
言い出して、いつも話をそらすじゃない。
本当はその度に、胸が痛むのよ。

私ね、
結婚というスタートの向こう側に
私たちの本当の関係が見えるような

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