ペシミ

青春・感傷・エモについて研究しています。

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ペシミ/佐薙概念 活動履歴

【自己紹介】 ・大阪大学感傷マゾ研究会代表。『青春ヘラ』の発行など。(@kansyomazo) ・"佐薙概念"名義で『縋想』プロジェクト所属。同サークルにて、小説家・シナリオライターとして活動。(@tsuisouproject) ・この同人音声がすごい!製作委員会主宰。『この同人音声がすごい!』および『この同人音声が聴きたい!』の製作。(@konodoujinonsei) ・阪大SF研究会。企画、執筆、編集など(@ousf1) 連絡:handaikansyoumazo@gm

    • 青くてエモい小説たち──「ブルーライト文芸」座談会

      ※この文章は、2022年11月に発行された『負傷』に掲載されていた座談会を加筆・修正のうえ転載したものです。なお、座談会自体は2022年10月に行われたものですので、現在とは情報が異なる場合があります。ご注意ください。 ペシミ:本屋に行くと、文芸コーナーの一帯に青くてエモい表紙が並ぶエリアがあります。近年流行っているそれらの作品を「ブルーライト文芸」と名付け、ひとつのジャンルとして考えるために、今回はブルーライト文芸座談会を企画しました。まずは自己紹介をお願い致します。

      • 「VTuber の倫理学」を検討する──バーチャル・アイデンティティと「場」の形成

        この文章は、2023年5月に発行された『青春ヘラver.7 「VTuber新時代」』に収録されたものを一部修正・改稿したものです。特に、VTuberにおけるレイヤーの問題は本筋を分かりにくくしていたため削っています。完全版はこちらの会誌で読めます。 また、こちらの文章に関して、主に表現論に関する記述(『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』や「縫い付けられた声」を引用しているあたり)は泉信行さん、主に推しとコミュニティの箇所に関してはバーゲンバーゲンさんに丁寧な批判・検討を頂いてお

        • C103についてのお知らせ

          ペシミです。今年も冬コミ出ます。お知らせです。 ①『縋想』プロジェクト(日曜東R13b)2021年から竹馬あお&犬吠埼いつきとやってきた創作プロジェクト『縋想』の集大成です。ノベルゲーム『ハルジオンは雨と咲く』を頒布します。 いやぁ本当に辛かったし苦しかった。なんならこれを書いている今もまだシナリオが終わっていないので過去形ではないんですが。実は企画の案が出たのはちょうど1年前の冬で、最初は2023夏にフルリリースの予定でした。メンバー3人とも別サークルで代表をしていたり、

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        • 作品レビュー
          3本
        • 青春・感傷・エモ
          10本

        記事

          ラノベタイトルの長文化と初期近代における「エンブレム」の役割

          1.エンブレム・ブック 初期近代に発達した一連の記憶術は、科学の進歩や新大陸の発見に裏付けられた「情報の洪水」を背景とし、それらの情報を何とか整理したいという動機から盛んに研究されてきた。その一環として発明された「エンブレム」は、通常「モットー(主題)+図像(イラスト)+エピグラム(解説文)」から構成される。 エンブレム界の始祖と名高いアンドレア・アルチャードは当初、エンブレムに関するアイデアを手帳に認めていたと言うが、その際には図像は伴っていない。彼の文章にイラストが付属

          ラノベタイトルの長文化と初期近代における「エンブレム」の役割

          文学フリマ東京37で出るもの

          東京文フリの季節ですね。 直前になりましたが、文学フリマ東京37で出る(関わってる)本についてお知らせです。 ①『青春ヘラver.8「シティダーク/アンダーグランドレトロ」』(た-17) 毎度お馴染み、主宰しているサークルの新刊です。今回の特集はヴェイパーウェーブとかニューレトロとかメンヘラとか地雷系とかそういう「都市と闇(病み)とノスタルジー」みたいなものに焦点を当て、ひとつなぎにして考える内容です。自分は「ライトノベルにおける「自殺」表象について」という論考を書いてい

          文学フリマ東京37で出るもの

          青春ヘラver.8「シティダーク/アンダーグラウンドレトロ」内容紹介

          はじめに 大阪大学感傷マゾ研究会は、青春や感傷、ノスタルジーについて考えながら、定期的に会誌『青春ヘラ』を発行しています。第八号の特集テーマは「シティダーク/アンダーグラウンドレトロ」です。  11/3~5に行われるまちかね祭(学祭)、並びに11/11に行われる文学フリマ東京37にて頒布致します。その後、BOOTHでも頒布する予定です。  まちかね祭では「共通棟C201」、文学フリマ東京では「た-17」のスペースです。 目次 1.メンヘラリティ・ザダンカイ(ホリィ・セン+

          青春ヘラver.8「シティダーク/アンダーグラウンドレトロ」内容紹介

          「この夏」を「あの夏」にするためのプレイリスト

           皆さん、今日も元気に美化してますか。何をって、もちろん思い出をです。  私たちはやたら8月31日という日付にばかり気を取られますが、実際そんなものはただの数字でしかなく、自分が「夏はまだ終わってない」と思えばそれでいいはずなんです。  それでも「夏が終わった」という感覚になってしまうのは、31日にまとめて宿題を終わらせようとするアニメのキャラクターとか、やたら「最後の日」を推してくるエモ曲とか、そういう染みついた固定観念のせいなんでしょうね。  そういった作品は「夏が終わる

          「この夏」を「あの夏」にするためのプレイリスト

          丸戸史明の描く「年上キャラ」について──丸戸システムの構造化

          ※本稿は、『Blue Lose vol.2』に掲載された文章を一部加筆・修正のうえ転載したものです。 序章 年の差キャラクターについて 2022年5月に刊行された前号『Blue Lose vol.1「負けヒロインとは何か」』にて書いた、「ラブコメ史における負けヒロイン概念の変遷について ─幼馴染最強時代とは何だったのか─」では、恣意的に選出した74名以上の負けヒロインを年代別・属性別・髪色髪型別に分類し、〈幼馴染〉のタームからラブコメ史の中で負けヒロインのいる作品がどのよう

          丸戸史明の描く「年上キャラ」について──丸戸システムの構造化

          C102(夏コミ)のお知らせ+近況報告

           どう考えたって僕が悪いんですが、夏コミ合わせの制作が厳しすぎて震えています。ペシミです。C102こと夏コミックマーケットで色々出るので、まずはお知らせです。 1.大阪大学感傷マゾ研究会(土曜東地区L49b) 珍しく1日目に、大阪大学感傷マゾ研究会として出店します。なぜ1日目かというと、VTuberブースだからです。5月に頒布した新刊の『青春ヘラver.7「VTuber新時代」』を持って行きますので、ぜひ。その他、既刊も一通り揃えておくつもりです。  去年は青春ヘラの新刊を

          C102(夏コミ)のお知らせ+近況報告

          旅するように、戸締まるように─『すずめの戸締まり』と〈廃墟〉のモチーフ

          この文章は『青春ヘラver.6「情緒終末旅行」』に収録されたものです。完全版は冊子をお買い求めください。 序章 二〇二二年十一月に公開された映画『すずめの戸締まり』は、一ヶ月半ほど経った現在(二〇二二年十二月末)も記録を伸ばし続け、原稿の執筆を始めた今、ちょうど興行収入百億円を突破している。この映画の情報が初めて公表されたのは二〇二一年の冬だった。当時はまだ「少女が日本各地の寂れた土地を巡るロードムービー」としか思っておらず、後にもう一つの重要なテーマである〈震災〉が結びつ

          旅するように、戸締まるように─『すずめの戸締まり』と〈廃墟〉のモチーフ

          文学フリマ東京36で出る本まとめ

          東京文フリの季節ですね。 直前になりましたが、文学フリマ東京36で出る(関わってる)本についてお知らせです。 ①大阪大学感傷マゾ研究会『青春ヘラver.7「VTuber新時代」』 毎度お馴染み、主宰しているサークルの新刊です。今回の特集は「VTuber」で、VTuberの存在論、表現論、メディア論、音楽論、歴史、エッセイ、インタビュー、小説など盛りだくさんです。 自分は「『VTuber』の倫理学を検討する──バーチャル・アイデンティティと『場』の形成」という原稿で、VTu

          文学フリマ東京36で出る本まとめ

          青春ヘラver.7「VTuber新時代」内容紹介

          はじめに大阪大学感傷マゾ研究会は、青春や感傷、ノスタルジーについて考えながら、定期的に会誌『青春ヘラ』を発行しています。第七号の特集テーマは「VTuber新時代」です。 4/30~5/1に行われるいちょう祭(学祭)、並びに5/21に行われる文学フリマ東京にて頒布致します。その後、BOOTHでも頒布します。 いちょう祭では「共通棟C308」、文学フリマ東京では「お-34」のスペースです。 セット内容 青春ヘラver.7 通常版(冊子のみ) ¥1500 青春ヘラver.7 特装

          青春ヘラver.7「VTuber新時代」内容紹介

          【座談会】『青春ヘラver.1~5』傑作選

          2022年11月、大阪大学感傷マゾ研究会の発行する会誌『青春ヘラ』の5号目が刊行され、ナンバリング的にも折り返しとなりました。今回は、感傷マゾ研究会校正班の皆さんに集まってもらい、これまでに発行された会誌の中からおすすめの文章を各々紹介して貰おうという企画です。ページの最後にver.1~5までの記事をすべて挙げましたので、参考にしてください。 ※この会話は『青春ヘラver.5「インターネット・ノスタルジー」』刊行後に行われたもの(というテイ)です。 ↓会誌はこちらで買えます

          【座談会】『青春ヘラver.1~5』傑作選

          「エモいとは何か」を総括する──四象限分析、価値反転作用、ブルーライト文芸、物語性、エモ映画、エモ消費

           2022年の夏、『青春ヘラver.4「エモいとは何か」』を発行してから約半年が経った。 全編「エモい」という一つの形容詞についていくつかの観点から考えられたこの同人誌に僕が寄せた文章は、「『エモ』と『アオハル』の20年代」だった。エモについて書いたというよりも、自分なりに感傷マゾと青春ヘラを総括するような内容だったが、結果的にこれまで同人誌で書いた文章の中で最も長いボリュームとなった。  せっかくの機会なので、その文章の中から「エモい」に関する箇所を抜粋し、加筆・修正を施

          「エモいとは何か」を総括する──四象限分析、価値反転作用、ブルーライト文芸、物語性、エモ映画、エモ消費

          「夜明けと蛍」がドラマに使われることのモヤモヤを考えてみる。

           1月17日から放映が始まったドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』のCMにおいて、n-bunaによるボカロ曲「夜明けと蛍」が使用されたことが大きな話題を呼んだ。  ところが、Twitterで検索をかける限り、この話題性はどちらかと言えば否定的な言及をする人たちによって起こったものに見える。以下は、その一例である。  自分も一人のn-bunaファン、あるいはヨルシカファンとして、思うことがあったのが事実だ。現に、その話題が沸騰した際にこのようなツイートをしている。  この段階で

          「夜明けと蛍」がドラマに使われることのモヤモヤを考えてみる。