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エッセイ

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記事一覧

つづけるをつづけるをつづけるをつづけるをつづけるを

クラムボンの『タイムライン』という曲に、「つづけるをつづけてゆく」という歌詞がある。

最近、毎日ピアノと超初級英会話と英単語と古典哲学書読みと統計の勉強をしている。

こう書くとすごくいろんなことをしているようだけど、それぞれに費やす時間は10分から40分ほどで、だから全部合わせても一日のうちの大した時間を占めない。

この二ヶ月ほど、とにかく「毎日続けること」を目的化して、これらのことに取り組

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意外な素顔

「意外な素顔」という表現がある。

「あの人気女優の意外な素顔が明らかに!」「強面格闘家Yの意外な素顔とは?」

意外な素顔。表立った印象とは全く異なる性質、人格、習慣。

たしかに意外かもしれない。清楚な女性が爬虫類マニア、強面のムキムキがお化けが苦手。ああ、意外意外。

意外な素顔があれば、「意外じゃない素顔」もあるだろう。スタイル抜群の女性の日課がヨガ、犬の散歩をするおじさんの好きな動物が犬

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恵方巻きとやらは特段美味しいものじゃない、という気づき

2019/02/03

節分であった。

母が恵方巻きを買ってきたので、晩飯はそれだった。いつからか節分の定番となった恵方巻きだが、最近は食品ロスの問題で取りざたされている。売れ残りの廃棄である。

ムシャムシャと食べながらはたと気づいたのだが、この恵方巻きとやらは特段美味しいものじゃない。この世にはもっと美味しいものが山ほどあるし、食べたいものを1位から発表していく催しがあるとすれば、恵方巻きは

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最後の倫理

銭湯に行った。大きなスーパー銭湯だ。

銭湯は最高だ。スマホもテレビも見ず、服すら纏わず湯に浸かる。最高だ。

広い浴場では、老若の野郎が一糸纏わず交差する。ともに入浴する。語らいはせず。もちろん股間も丸見えであるが、そんなことは誰も気にも留めていない。そこにはなんら羞恥心も、ためらいの倫理も存在しない。

しかしだ。そんな野放図な浴場にあって、異なる磁場を発する場が一箇所だけある。

「寝湯

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一本しかない傘

音楽を聴いていると、

「この世に傘が一つしかなかったとしても、その傘を君に渡す」
という旨の歌詞が流れてきた。

たった一本の傘を差し出そうと思うような相手が自分にはいるだろうか、と考えてみた。

少し考えて、多分おれは最愛の人だろうと赤の他人だろうと、一本しか傘がなかったら相手に差し出すな、だってそんな状況で自分だけ傘差せないでしょ、卑しいヤツだと思われるの嫌だし、ひとまずどうぞどうぞってやる

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だらけたなー

木曜日。今日から4連休かーと思いながら起きた。勉強したくねー今日はしねーと思いながらダラダラした。
金曜日。今日入れてまだ3日も休みだ。グダグダラダ。ちょっとだらけすぎたな、明日の朝小旅行に行こう、だから今日の残りは勉強だ。3時までyoutube鑑賞。
今日。あー眠い。でもさすがに動きたい。けど体が拒否してる。暑い。気づいたら晩飯どきだ。このドラマ見たら学校行こう。でもやっぱ移動時間時間もったいな

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シンギュラリティの果てに待つもの

公衆の便所に入ると思うのだ。

スマホの所持率上昇によって、確実に人々の便座滞在時間が伸びている、と。

便意が押し寄せた時に発見するトイレマークは、天国への入場ゲートを見つけた感動を与えるものであり、便所に足を踏み入れ、入場ゲートをくぐった瞬間、昇天への3カウントが始まるのである。

しかしそこに待ち受けるのは赤い施錠マークで閉ざされた天国である。僕は地獄に突き落とされる。

奴らは必ずスマホを

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日曜なのに雨。

この論考、我ながらなかなか面白いのではと思っている。

『オトナ帝国』は、クレしん映画の中で最も評価の高い作品の一つだが、同時にクレしん的家族主義の限界が最も露呈した作品とも言えるのではないか。

この筋で、もう少し考察を深めていきたい。

育ちがいい

変なことを言うが、自分は本当に「育ちがいい」のだなと思う。それは経済的にではなく(経済的にも相対的には恵まれてるのは確かだが)、言葉の最高の意味で「甘やかしてくれた」ということ。その意味で育ちがいい。

印象的なことがある。それは、父が遅食いの俺に「ゆっくり食え」と言い続けたこと。小学生の頃も、中学の頃も、高校生になっても、大学生になっても、一度も急かすことなく、とにかく言い続けた。「ゆっくりいっ

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「死にたい」

昨日まで、僕は一人で「死にたい」と言っていた。実際に声を出して、そう言っていた。

「ああ〜死にたい死にたい」「うわ〜もう死にてえ」

授業で発表があり、使用する報告書類の作成に追われていたのだ。

思うように進まないことに焦り、不出来な書類を教員に見られることを想像しては胃が痛む。体に溜まったそのストレスを何とか逃すように、呻く。

発表は無事終わった。だからもう「死にたい」なんて思わないし、言

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桜がとっても綺麗

桜が咲いている。満開である。花見客で賑わう街。散っていく花びらに急かされるようにカメラのシャッターを押す人々。

そう、桜は、散る。

僕たちはどうして桜の花を、こんなにもありがたがるのだろうか。それは、桜がすぐに散るから、ではないだろうか。仮にもし、桜が一年中咲き続けていたら、こんなにも人を惹きつけるだろうか。きっとそうではない気がする。いやでも、もしかしたら一年中ありがたがるのかもしれない。わ

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安全地帯

何をするにも、それを「自由に」やるためには、「安全地帯」が必要である。玉置浩二のことではない。

安全地帯。それは「いざとなったら駆けこめる」場所。「最悪あそこに逃げ込めばどうにかなる」と思える場所。ホーム。

宇野常寛という評論家がいるが、彼は朝のテレビワイドショーにコメンテーターとして出演している。彼は他のコメンテーターと違い、空気を読まずに思ったことを述べる。芸能人スキャンダルを扱う番組の作

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国宝展

京都国立博物館で、国宝展をみた。

雪舟の水墨画が、輪郭線をめちゃめちゃはっきりと描いていることに驚いた。水墨画のイメージに反し、「境界」が全く曖昧じゃない。だから写実的ではなくむしろコミカルな印象。雪舟はコミカル。

「古今和歌集」の実物を見た。古今和歌集の「実物」である。ピンとくる?国語の教科書にさんざ出てきた古今和歌集。の実物。古今和歌集そのもの。それが目の前にあるという、リアリティのなさ。

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方言が「移る」ことについて

関西に来て数年が経つが、あまり関西弁を自分が使うことはない(ネイティブから快く思われないだろうからとなるべく使わないように努めているが、出てしまうことはある)。それでもしかし、心の声が関西弁になっていることは多い。心の声とは、考え事をしている時の脳内での独り言である。ああ、方言が「移っている」んだなとしみじみ思う。

そんな関西弁交じりの心の声を省みて気づくのが、自分がそのときの心情に最もフィット

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