「言葉」がない風景(2)
Dくんの姿は、当時の私の姿そのものに映った。朝、家を出て学校に到着し、帰宅するまではずっと日本語が聞こえてくる。周囲は色々と自分を気にしてはくれるけれど、もうお腹いっぱいなのだ。「勘弁してよ、ちょっと休ませて」と心が悲鳴を上げている。「それでもこのプリントが終われば、僕は家に帰ることができる、だから僕はさっさとこれを片付けているんだ、、」。そんなふうに彼の姿は言っているようにみえた。
あの時の自分の姿と重なり、私はいたたまれなくなった。隣に座らずに彼を一人にした方がよいだろ