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【ヒ素】海藻ヒジキはやっぱ安全?何が危険か?ヒ素(As)の毒性

紀元前3世紀頃には、ギリシャの学者がヒ素のもたらす症状について書き記している。古くから顔料や薬として利用され、ヒポクラテスが潰瘍に効くと記し、中国でも膿瘍などの治療に使われてきた。

また、毒としての歴史も古く、ローマ時代からルネッサンス以降まで毒殺の道具として頻繁に歴史に登場している。現代においては、ヒ素は重要な工業原料の一つで、半導体、高速通信、発光ダイオードなどに利用されている。

ヒ素には、有機ヒ素と無機ヒ素があり、高分子の有機ヒ素よりも無機ヒ素の方が毒性が強いと言われている。

無機ヒ素化合物は、皮膚や肺に対し発ガン性が報告され、海藻類から摂取されるヒ素の多くは、 大部分が有機ヒ素化合物として含まれているため、問題はないといわれている。ただし、ヒジキは例外的に微量ながらも無機ヒ素を含んでいるので過剰摂取は控えるべきである。

ヤギや羊などの草食動物では、食物中のヒ素が欠乏すると発育障害がおこると報告されている。ヒトに対しても必須である可能性がある。人間も食品からヒ素を摂取しており、一日の平均量は約0.1mgと考えられている。

食品の中で比較的ヒ素含有量の多いものは、海産物(ひじき・牡蠣・クルマエビ)である。海水中からヒ素を取り込んで濃縮しているにもかかわらず(ヒ酸などはリン酸と構造が似ているために、間違って生体に取り込まれる)、そのために中毒をおこすことはない。

また、それらを食べて中毒にかかることもない
ヒ素の毒性はその化学形に依存している。

一般に無機ヒ素は毒性が強く、致死量は0.1~0.3gである。
有機ヒ素(ヒ素原子と炭素原子との結合をもつヒ素化合物)は毒性が弱い。水銀では有機水銀のほうが毒性が強く、逆であることは興味深い。

無機ヒ素の毒性は、体内でシステインのチオール基に結合することにより、これを含む酵素やたんぱく質の機能(特にATP合成酵素と呼吸鎖系酵素)を阻害するためと考えられている。

海産物のヒ素の化学形は無機型であることは少なく、アルセノベタイン(海産動物)、メチルアルソン酸とジメチルアルソン酸(海産植物)などの有機ヒ素化合物であり、ヒトが摂取しても速やかに尿中に排出される

また、たとえ無機ヒ素が微量に取り込まれたとしても、肝臓でメチル化されてジメチルアルソン酸となり、やはり尿中に排出される。したがって、ヒジキを食べても中毒を起こすことはない

ヒ素を含む水を飲用または使用している人に皮膚がん
ヒ素化合物製造工場労働者やヒ素を含む農薬を使用した農園作業者に肺がんが発生することもあるが、理由はわからない。

ヒ素系農薬としては、日本ではメチルアルソン酸鉄およびメチルアルソン酸鉄アンモニウムのみがイネとブドウに対して許可されている。歯科用歯髄失活剤(歯の神経を壊死させる薬)として三酸化二ヒ素が使用されている。

さて、ヒ素で事件になったこともある物質なので皆さんご存じのとおりで、
その毒性が強いことを利用して農薬木材防腐に使用されているが、これも現代病を誘発している物質の一つである。石膏ボードの一部にもこれが含有しているとして問題になったり、ヒジキや粉ミルクに入っているかどうかも一時問題になりました。液晶テレビや発光ダイオードや通信用の高速トランジスタなどにも用いられている。

しかし、残念ながら便利だけが優先され、危険性についてはまったく省みられていないのが現実かもしれない。ヒ素およびヒ素化合物はWHOの下部機関IRACにより発癌性があると勧告されている。私たちはこのような有毒物質を、できるだけ使わないような文明を模索していく必要があるのは間違いない事実である。

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