暴かれる過去
夫の国に住んでいた2年間は、夫の叔父さんがいつも側にいた。
それは私を助けていたと同時に夫のことも助けていた。
今思えば、叔父さんはずっと夫や叔父さんの両親、義母夫婦、親戚をみんな助けていたのだ。
叔父さんは本当に天使のような人だった。
全ての人の不幸を叔父さんが背負っているように見えた。
だから私は夫のとこもなかなか言い出せず、元気で平気なふりをしていた。
叔父さんに頼ることは容易だったし、もし頼れば絶対助けてくれることはわかっていた。
だからこそ頼れなかったのだ。
叔父さんも色んな国に住んだ経験があり、マルチリンガルであり、人格も学歴も社会的地位も非常に高く、懐の広い人で、結婚したければ選びたい放題なはずなのに独身だった。
あの環境下で結婚したらきっと親族の面倒を見れないだろうと思う。
そして彼はそんなことはとっくの昔にわかっているよ、私にはそんなふうに見えた。
DVから逃れた後、私が叔父さんに夫のことを打ち明けた時、私は彼から衝撃的な事実を聞いた。
叔父さんの父親(夫にとっては祖父)がDVだったのだ。
祖母に暴力を振るっていたのだ。
あんな家庭環境であのように成長できるこの叔父さんは、とても強い人なんだと思う。
母親が殴られているのを目の前で見ながら一所懸命勉強をして、あそこまでのポジションにいけるなんてすごい集中力と気力を要すると思う。
並大抵の努力じゃなかっただろう。
そんな無感情の人のような言い方をしたけれど、彼はとても共感力のある人で人間らしい人だった。
だから叔父さんは、私たちが険悪なとき
”夫に暴力を振るわれていないか?”とよく聞いてきた。
はじめから叔父さんが家族の中でそういう役割を果たしているような気がしていたから言い出せなかった。
夫は小さい時祖父母と一緒に暮らしていたから、きっと知っていたはずだ。
私が夫から逃亡後、その祖父は亡くなったと聞いたが、私が祖父に会った時は小さい弱ったおとなしいお爺さんだった。
祖父は弁護士だったため、頭もきれ、口も相当達者だったらしい。
私の夫は弁護士ではないけれど、私の弁護士が夫と電話で話した後、
”あなたの夫は弁護士ですか?”と聞いてきた。
祖父の影響か?祖父を見ていたからか?
夫もかなり口が達者で、頭の回転が速く弁護士でさえ厄介だと言った。
そんな筋金入りのモラハラDV男に私が太刀打ちできるはずもなかった。。
夫の父はDVなのか?
疑っていたけれど、義母との接し方を見ていてそうではないと思う。
遺伝なのか、環境がそうさせたのか、夫がそういう星の元に生まれたのか、今はそんなことを考えていた頃の自分がどれだけ暇人だったのか?と思える。
本当に無駄な時間だった、本当にそんなことどうでもよかった。
そんな私が悩んでも考えても変えられない事実に頭と時間を使ってるなら、命を懸けてでも逃げ出して、子供と新しい人生を始めていたらと今でも後悔してやまない。
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