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DV男にとって最強のカード、化けの皮が剥がれ始める時

人間なら誰しも強烈に怒りが湧いてきて、止められないような事が人生のうちで何度かはある。

そして、その怒りをどうしても抑えられない人がいる。

そういう人が事件を起こすのだ。


そしてまさか自分が、そんな人と結婚し一つ屋根の下に住むことになるなどとは全く想像していなかった。

ほとんどの人がそうであると思う。


私にとって怒り狂って手がつけられない人など、テレビの世界の人だった。


彼の実家、私の実家、ハネムーンと飛び回っている間ずっと体調がおかしかったのは私が妊娠していただった。

私はただつわりが酷く何も食べられず、水すら飲めない、起き上がることもできない状態になっていった。
30分に1回は嘔吐するほど辛かった。

彼はとても喜んだ。

今思うときっとその喜びは、普通の人とは違う感情だったのだろう。

”奴隷を一生奴隷として自分の元に置いておける”

私は何も考える余裕がなく、自分が死んでしまうんじゃないかと思うほど体がキツかった。

そして、妊娠しているとは知らずに知らない国を歩き回り、飛行機で飛び回った結果、病院で絶対安静を言い渡された。

私は不安で不安で、ただ自分の母親のところに帰りたかった。
長い間一人で海外に住み、外国人と結婚し、急に全てが非現実的で彼のことが他人のように思えた。

私は迷わず日本に帰った。
彼は私たちが住んでいた国に一人で戻り、私も落ち着いたら戻る予定でいた。

でも私が、その私たちが出会った国に戻ることは二度となかったのだ。

そしてついにDV男が目覚める事件が起こる。
それまでは、完璧に愛想の良い八方美人を表面では演じていたが、私がこのような状態になった時、彼の本当の姿が現れはじめるのだった。


婚姻届を出しに市役所の階段を登っていたとき
1フロアを登るだけなのに、私は一段上がる度に嘔吐して座り込むほどの状態だった。

彼は言った。

”歩くぐらいできるだろう。何を甘えてるんだ?”

聞き間違いかと思ったが
彼は階段の上から無表情で私を見下ろしていた。

全く私を手助けする様子もなく、ただ見下ろしていた。


この時急に私は大きな不安に襲われた。

この人の子供を産まなければならないの?


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