マガジンのカバー画像

女の子とウサとの哲学的会話

41
運営しているクリエイター

記事一覧

女の子とウサとの哲学的会話「酋長の踊り」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「今日学校で、『酋長の踊り』っていう問題を出されたんだ。ウサ、知ってる?」
ウサ「うん、知ってるよ。イギリスの哲学者マイケル・ダメットが提示した問題で、『ある部族で、成人の儀式としてライオン狩りを行う。村から狩り場に二日かけて行き、二日間で狩りを行って、そのあと二日かけてまた村にも

もっとみる

女の子とウサとの哲学的対話「やる気を出すためにはどうする?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「はあ……」
ウサ「何しているの、サヤカちゃん?」
サヤカ「社会の宿題をね……やろうとしているところ」
ウサ「やりたくないんだ?」
サヤカ「やりたくないよぉ、わたし、社会嫌いだもん」
ウサ「でも、やらないといけないのね?」
サヤカ「宿題だからね。明日、提出なんだ」
ウサ「じゃあ、や

もっとみる

女の子とウサとの哲学的会話「AIって、いいことだらけなの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「ねえ、ウサ。今日学校で、AIが2045年に人類を超えるっていう予測があるっていうことを、習ったんだけど、それを習ってから、なんか怖くなっちゃって……」
ウサ「怖いって、どうして?」
サヤカ「だって、AIが人類を超えるってことはさ、AIが人類よりも賢くなるっていうことでしょ? そう

もっとみる

女の子とウサとの哲学的会話「失敗しないためにはどうすればいいの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「はあ……」
ウサ「どうしたの、サヤカちゃん。ため息なんかついて」
サヤカ「聞いて、ウサ。今日、わたし失敗しちゃったんだ。友だちのところに遊びに行ったんだけど、その友だちに小学校1年生の弟がいるのね。その子の前で、うっかりね、サンタさんが、お父さんやお母さんだってこと言っちゃったの

もっとみる

女の子とウサとの哲学的会話「トロッコ問題の正解は?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「ねえ、ウサ。今日学校で、『トロッコ問題』っていう問題が出されたんだけど、知ってる?」
ウサ「知ってるよ。『列車が線路上を走っているとブレーキがきかなくなる。列車の進路上には逃げられない状態の人が5人いる。列車は進路を切り替えて支線に入ることができるが、支線にも逃げられない状態の人

もっとみる

女の子とウサとの哲学的会話「頭が良い人ってどんな人?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「ねえ、ウサ。どうすれば、頭を良くすることができるの?」
ウサ「サヤカちゃんは、頭良くなりたいの?」
サヤカ「うん」
ウサ「じゃあ、一緒に考えてみましょう」
サヤカ「考える?」
ウサ「そうよ。そもそも、『頭が良い』っていう言い方で、どういうことが言われているのか。それを決めないと、

もっとみる

女の子とウサとの哲学的会話「昨日の自分と今日の自分って同じなの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「ねえ、ウサ。昨日の自分と今日の自分って、同じ自分なのかな。昨日お母さんに怒られてね、ムカムカしてたんだけど、でも、今日になったら、どうでもいいことみたいに思えちゃってさ。それって、どういうことなんだろう。お母さんに怒られたこと自体は昨日と今日で何も変わっていないわけだから、そした

もっとみる
女の子とウサとの哲学的会話「仕事って、しないとダメなの?」

女の子とウサとの哲学的会話「仕事って、しないとダメなの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「ウサ、大人になったら、誰でも働かなくちゃいけないの? 働かないでいたら、ダメなの?」
ウサ「よくそういう風に言われているよね。そのために、将来どんな仕事につきたいか、子どもの頃からよく考えておこうっていうこともね」
サヤカ「どうして働かなくちゃいけないんだろう。お金を稼ぐためって

もっとみる

女の子とウサとの哲学的会話「意見を持つことって、大事なの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「うーん……」
ウサ「何を読んでいるの、サヤカちゃん?」
サヤカ「子ども新聞だよ。お父さんが、『そろそろサヤカも社会のことについて知っておいた方がいい』って言って、読むようにって、渡してきたの」
ウサ「面白い?」
サヤカ「面白くないことはないんだけど……あんまり、興味無いかなあ」

もっとみる

女の子とウサとの哲学的会話「食べ物を残すことは悪いことなの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「ねえ、ウサ、食べ物を残すことは悪いことなのかな。今日ね、学校の給食の時間に、どうしても給食を食べ切れない子がいて、先生に怒られてたの。でも、わたし、食べ物を残すことが絶対に悪いとは思えないんだ。だってさ、体調が良くなかったり、量が多かったり、嫌いなものがあったりして、食べられない

もっとみる
女の子とウサとの哲学的会話「どうして人を好きになるの?」

女の子とウサとの哲学的会話「どうして人を好きになるの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「ウサ、どうして人は人のことを好きになるんだろう」
ウサ「サヤカちゃん、誰か好きな人ができたの?」
サヤカ「ううん、わたしじゃないんだけど、友だちが好きな人ができて、わたしに相談してきたんだ。それで、どうして人は人のことを好きになるのかなあって思って」
ウサ「人が人のことを好きにな

もっとみる
女の子とウサとの哲学的会話「人間は幸せになるために生きているの?」

女の子とウサとの哲学的会話「人間は幸せになるために生きているの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「学校の先生が言っていたんだけど、人間は幸せになるために生きているんだって。でも、これ本当かなあ」
ウサ「サヤカちゃんが、幸せを感じる時ってどういう時?」
サヤカ「うーん……ケーキを食べている時とか、宿題が終わったときとか、新しい服を買ってもらった時とか、かな」
ウサ「じゃあ、サヤ

もっとみる
女の子とウサとの哲学的会話「どうして、虫って気持ち悪いの?」

女の子とウサとの哲学的会話「どうして、虫って気持ち悪いの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「虫ってどうしてあんなに気持ち悪いんだろう。気持ち悪くて怖い。人間の方が体が大きいんだから、小さい虫を怖がるなんておかしいんだけど、どうしてか気持ち悪いよね」
ウサ「確かに、ハチみたいに危険な虫を除けば、それほど怖がる必要は無いようにも思えるよね」
サヤカ「なんでなんだろう?」

もっとみる

女の子とウサとの哲学的会話「わたしのクローンって、わたしなの?」

〈登場人物〉
サヤカ……小学5年生の女の子。
ウサ……サヤカが3歳の誕生日にもらった人語を解するヌイグルミ。

サヤカ「クローンって、あるでしょ。わたしのクローン人間がいたら、それって、わたしなのかな?」
ウサ「体の組成とか、あと好き嫌いとかが、全く同じもう一人の人がいたら、それはわたしなのかってことだね。じゃあ、ちょっと考えてみよっか。もしも、サヤカちゃんのクローン人間が作られたとすると、見かけ

もっとみる