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長編連載小説 さくら坂のほのかちゃん

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フィクションですので、実在の人物や団体などとは、一切関係ございません。  この話は2007年頃を舞台にしています。 当時、放課後等デイサービスは、まだ身近にありませんでしたので… もっと読む
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記事一覧

①【小説】 さくら坂のほのかちゃん 序

①【小説】 さくら坂のほのかちゃん 序

 さくら坂小学校の校舎の入り口で、持参した携帯用スリッパに履きかえ、前を見上げると、上級生たちが紙の花びらで作ってくれた『おめでとう!』の看板が目に入った。
 
 その横の掲示板には、新入生に寄せられたたくさんの祝電が並んでいる。
 
 新入生たちが卒園してきた、各幼稚園、保育園からの祝電の中から『徳心園』からの祝電を発見する。

『 ほのかちゃん ご入学おめでとう!

小さなランドセルに 大きな

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②【小説】 さくら坂のほのかちゃん ほのパパの1

②【小説】 さくら坂のほのかちゃん ほのパパの1

「お義父さん、よろしくお願いします、いってらっしゃい!」

  同じ『さくら坂』に住むお義父さんは、飼い犬のニノと朝の散歩が日課になっている。
そのついでに、毎朝、ミノリのお見送りをお願いしている。
今朝もミノリと手をつないで、2丁目の幼稚園バス乗り場へ坂を下っていった。

「ホノカも、いくよ!」

今日はパパと一緒に登校だよ。

 今朝はスムーズに家を出られた・・・
と、思ったら、志水君ママが志

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③【小説】 さくら坂のほのかちゃん ガイドヘルパーのさっちゃん

③【小説】 さくら坂のほのかちゃん ガイドヘルパーのさっちゃん

(一)

「ほのちゃん、今日、凄かったんですよ!」

「ふふっ、昨日の夜ね、シンクロのテレビ、食い入るように見てたもん。 
きっと今日、潜ってばっかりやったんとちがう?」

 さすが、ほのちゃんのママだ。 
すっかりお見通し。

「ぐるぐるまわったり、逆立ちしようとしてプールの水飲んで、ゴホゴホいって、それでもめげずに水へ突進してましたよ!」

 ほのちゃんのママと話していると、とっても楽しい。 

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④【小説】 さくら坂のほのかちゃん ほのパパの2

④【小説】 さくら坂のほのかちゃん ほのパパの2

 この春、お隣のT市にある幼稚園で、少子化での園児確保対策だろう、年少さんのまだひとつ下のひよこ組』ができた。
送迎はもちろん、長時間の課外保育体制があるのも魅力で、ミノリをそこへ通わす事になった。

 6月に3歳になったばかりのミノリは、ホノカとは逆にかなり口が達者だ。
体のサイズは平均的な3歳児だが、ミノリ単独でいると『幼稚園へ通っている』のと、その喋り具合から、大概の人に『年中さん?』くらい

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⑤【小説】 さくら坂のほのかちゃん 内村君のお母さん

⑤【小説】 さくら坂のほのかちゃん 内村君のお母さん

(一)

 後ろの山は、もうN県との県境、T駅からバスで田舎道を約20分、最後に綴れ折になった『さくら坂』を登ると、楕円形の外周道路に囲まれた『さくら坂』住宅地が現われる。

 住宅地の横にはゴルフ場、温泉と遊戯施設を備えた観光牧場が、歩いて行けるほどの距離の所に広がっている。

 バブル全盛期に造成され始めた、全約800戸分の住宅地は、4丁目、3丁目、1丁目と約4分の3を販売した頃バブルがはじけ

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⑥【小説】 さくら坂のほのかちゃん ほのパパの3

⑥【小説】 さくら坂のほのかちゃん ほのパパの3

「中西さんの奥さんが、ラジオ体操がんばってましたねって」

「ホノカは最後の日になって、やっと最後まで通してしたんだ。出島さんのおかげだけどね・・・」

「違うの、パパのほう、皆勤賞で偉いですねって」

「そうか! 世の中には、ちゃーんと見てくれている人がいるもんだ。そうか そうか!」

「『朝、体を動かすのは、気持ち良いもんだ』なんて気楽そうに言ってたやない。 中西さんに、言っといたわ。 そした

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⑦【小説】 さくら坂のほのかちゃん あおいちゃんのママ

⑦【小説】 さくら坂のほのかちゃん あおいちゃんのママ

(一)

「ほのちゃん、キスしてくるねん!」

 小学校の保護者説明会の時、クラスに『ふれあい学級』の子がいますって言ってたな。
そういえば、その子は、あおいと幼稚園も一緒だったはず。
ほのちゃんって、言うんだったっけ。

「『ほのちゃんやめて』って言ったら、おんなじように『ホノチャンヤメテ』やって」

「先生は、なんて言ってはるの?」

「『きっと、あおいちゃんのことが大好きなのね』って。
 だ

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⑧【小説】 さくら坂のほのかちゃん ほのパパの4

⑧【小説】 さくら坂のほのかちゃん ほのパパの4

 涙もろくなった。

 最近では、商家の妾腹に生まれた、今で言う知的障害の女の子が、四国の小藩の政変に巻き込まれていく流行作家の時代小説を読んでいて、主人公の女の子がホノカとダブってしまい、通勤電車の中で涙が止まらなくなってしまった。

 前に座ってた女子高生に、何やこのオッサン、って顔で見られてしまった。

 今日も、ママが撮ってきた運動会のビデオ、ホノカが友達に囲まれ、応援されながら、大歓声の

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⑨【小説】 さくら坂のほのかちゃん 内村君のお父さん

⑨【小説】 さくら坂のほのかちゃん 内村君のお父さん

(一)

 「未遂に終わって良かったわよ!」

 恵美子の友達は、吐き棄てるようにそう言った。
「あんたみたいなマザコン男に嫁いだら、恵美子、一生苦労するとこだったわ・・・」

 知世と結婚する以前に、結婚寸前まで話が進んだ相手がいた。
相手は短大卒の同期入社、名を恵美子といった。
同期入社同士、社内恋愛だった。

神戸の、よく雑誌などに載ったりする、小さいけれど人気のレストランの娘だった。

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⑩【小説】 さくら坂のほのかちゃん ほのパパの5

⑩【小説】 さくら坂のほのかちゃん ほのパパの5

 「内村さんの奥さんがね、お父さんが『ほのパパさんに世話になった』って。
『オヤジの笑顔が見れました』それだけ伝えてもらえばわかるって言ってはったらしい・・・
いったい、なにお世話したの?」

「ああ、競馬をちょっと勧めてみたんだけど」

「なにそれ? ケイバ?
 内村さんの旦那さん、真面目そうな人なんだから変なこと教えんといてよ!」

「男のロマンってやつかな・・・」

「パパ、いつも『惜しかっ

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⑪【小説】 さくら坂のほのかちゃん また、ほのパパ

⑪【小説】 さくら坂のほのかちゃん また、ほのパパ

『さくら坂』に来てすぐ、ホノカが2歳の時、公立の保育園に3ヶ月ほど通っていたことがある。

 その保育園は車でT駅へ行く途中にあるので、朝、出勤時間が遅い日や、ママの体調が悪かったり、ママが病院の日は、パパが保育園へ送り迎えをした。

「何かあった時、困るんですよねー」

 何度見ただろう、この先生の、明らかに迷惑そうな顔。
 心の中で舌打ちをする。

 『公立は、公務員だから、きっと居心地がいい

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⑫【小説】 さくら坂のほのかちゃん またまた、ほのパパ

⑫【小説】 さくら坂のほのかちゃん またまた、ほのパパ

しまった、マスク忘れた・・・

 ホノカと玄関を出て気がついた。
 
もう花粉が全盛期だ。
一応、花粉症の薬は飲んでいるけれど、このまま歩いたら後で大変なことになる。

「ホノカ、ちょっと待ってて!」
急いで取りに戻った。

 玄関を出てきた時には、ホノカの姿はなかった。
 ミユちゃんに促されて班の集合場所まで辿り着いている。

「よし、今行くからな!」

 あれっ、出発してしまった。
 内村君

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⑬【小説】 さくら坂のほのかちゃん 5年後、3月18日 ほのパパのFACEBOOKより

⑬【小説】 さくら坂のほのかちゃん 5年後、3月18日 ほのパパのFACEBOOKより

 5年後、3月18日 ほのパパのFACEBOOKより
 (添付されているのは、女の子の片目だけ大きく映した画像が一枚)

* *

 小6の長女は「つけまつ毛」をしていた頃がありました。
ちょうど、きゃりーぱみゅぱみゅが「つけまつける」をリリースした頃です。
小学校にも、付けて行っていました。

 自分の事がうまく表現できない等、障害を持つウチの娘は、当時ストレスからか、まつ毛や眉毛を、自分で引っ

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