ある男の遺書(1)
もう3年ほど前になる。
その日は友人と吉祥寺で酒を飲んでいた。次の日が仕事で早いという友人のため、その日は21時前に解散した。盆前の暑い夜だった。
僕はどうしてもまだ帰る気になれず、ぶらぶらだか、ふらふらだか、とにかく散歩をした。気づけば三鷹駅まで歩いていた。
どこか飲める場所はないだろうかと店を探しながら歩いていると、地下に続くBarを発見した。木製の扉を開け、鈴の音がカランコロンと僕を迎えた。
店内はカウンター席のみ。照明は暗すぎず明るすぎず、なんとか本が読めるほどの明る