Keng Chi Yang

1991年福岡・北九州生まれ。新潟/東京のニ拠点生活をしつつ、スーパーカブで全国を旅し…

Keng Chi Yang

1991年福岡・北九州生まれ。新潟/東京のニ拠点生活をしつつ、スーパーカブで全国を旅している写真家。カメラメーカーでのセミナーやCP+登壇、プロモーション出演など。noteメンバーシップ「他人の日記」 - テクニックだけでは辿り着けない、よりよい写真制作の為のエッセイを更新中。

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移動する四畳半

小ささと豊かさスーパーカブとの写真旅は、言うなれば小さな暮らしです。テントやタープを使って、狭いスペースで生活をする。寝室やダイニング、キッチンまでもその中に内…

Keng Chi Yang
1年前
70

航行

係員の誘導に従って、船内にバイクで乗り込んでいく。 床は黒板の様な緑色で、オレンジや黄色に色被りした巨大な電灯により照らされている。トレーラー用の十数メートルは…

Keng Chi Yang
1日前
3

朝なんて、飲み明かした夜でしかなかった

海沿いの曇った空に、品の無いスーツ、金髪にピアスだらけで繁華街を歩く酒臭い若者、それが10年前の僕だ。 学生だったその頃に写真家のアシスタントはしていたけれど、師…

Keng Chi Yang
10日前
5

明日からまた、生きられる

私は小さな旅を繰り返している。 今、旅のパッキングをしている最中で、少し疲れたから文字を書き始めてみた。 旅と言っても次は東京での仕事がありますから、たった2週…

Keng Chi Yang
2週間前
7

美しく生きる為に

役所広司主演、ヴィム・ヴェンダース監督の映画「PERFECT DAYS」を鑑賞した。自分と重なる部分もあるし、役所広司演じる平山のように生きることが出来たらと、羨ましくも思…

Keng Chi Yang
1か月前
30

正直な写真

少しだけ詩の良さを理解出来る年齢になった気がした。 学生時代に銀色夏生を少しだけ読んだけれど、まだよくわからなかった。今でも大好きな江國香織の詩集も当時に読んだ…

Keng Chi Yang
1か月前
10

背景と舞台、スチルとシネマ、撮影者と傍観者。

ポートレートとひとことで言っても、まあ沢山あります。所謂ポートレートと呼ばれているのは、カメラ雑誌の表紙的なアレです。 SNS大好きマンの私が見ている感じ、少しず…

Keng Chi Yang
1か月前
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現代の情緒

情緒、という言葉を見て何を思うだろうか。 見たことのある過去の景色を思い浮かべることもあるだろうし、小説や音楽など、ビジュアル以外から想起される心象風景を思い浮…

Keng Chi Yang
2か月前
5

試行錯誤の速度

写真が上手な人は、どういった撮影をしていただろうか、と、少し考える機会があった。 撮影行為は、確率の高い未来予測を短いスパンで繰り返す事、だと考えているのだけれ…

Keng Chi Yang
2か月前
4

CP+ 2024 LUMIXフォトウォーク講師作例

こんにちは、写真家のKeng Chi Yang (弥永拳太)です。 昨年のCP+に引き続き、今年もLUMIXでのワークショップやフォトウォークでの講師を務めました。新製品やプロモーシ…

Keng Chi Yang
2か月前
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露出の役割を考える

カメラを扱う上で避ける事が出来ない「露出」について。 露出は一般に言う明るさ。鑑賞者に与える印象や、RAW現像前提で撮影をする場面など、様々な状況で遭遇する。その…

Keng Chi Yang
2か月前
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適当に撮ること

ワークショップなどの際に、よく言ってしまっていた言葉がある。 「適当に撮れば今のカメラは綺麗に撮れる」 我々が思っている適当の範囲は、思っているよりも狭く、本来…

Keng Chi Yang
3か月前
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写真の上達は機材の扱い方が8割

例えばの話し。

Keng Chi Yang
3か月前
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変わらぬ日常と、変わり続ける日常

雪山に10日間住んでみた。 これから並べる写真は、雪国に縁のある人には当たり前の景色だと思う。ただ、見慣れているものって、その地方の特徴であることが多い。 雪国の…

Keng Chi Yang
3か月前
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写真家になる為に

漸く写真家になれたなあ、と感じたのは去年ぐらいか。 まだまだではあるけれど、一応10年以上カメラマンとして仕事をしてはいる。我々写真を撮っている側からすると、カメ…

Keng Chi Yang
4か月前
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誰が作品を完成させるのか

写真家にとって、展示は小さくない意味を持つ。展示でのディレクションを他者に委ねることは、どういうことなのか。

Keng Chi Yang
4か月前
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移動する四畳半

移動する四畳半

小ささと豊かさスーパーカブとの写真旅は、言うなれば小さな暮らしです。テントやタープを使って、狭いスペースで生活をする。寝室やダイニング、キッチンまでもその中に内包していて、まさに移動する四畳半。

この生活を続けていて、少しだけ気付いた事があります。

普段の生活で要らないものは意外と多く、 人生も割とシンプルで良いのかな、と思えてきました。ミニマリズムは豊かさをも排除してしまう可能性があるので強

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航行

航行

係員の誘導に従って、船内にバイクで乗り込んでいく。

床は黒板の様な緑色で、オレンジや黄色に色被りした巨大な電灯により照らされている。トレーラー用の十数メートルはある大きな駐車区画を横目に、隅の方へバイクで向かっていく。指示通りに駐車すると、船員達がテキパキとロープでバイクを固定してくれるのだが、そのプロの手際は早くて惚れ惚れする。

フェリーに乗り込んで床に足を着いたその瞬間から、足元がじんわり

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朝なんて、飲み明かした夜でしかなかった

朝なんて、飲み明かした夜でしかなかった

海沿いの曇った空に、品の無いスーツ、金髪にピアスだらけで繁華街を歩く酒臭い若者、それが10年前の僕だ。

学生だったその頃に写真家のアシスタントはしていたけれど、師匠は音楽家でもあった為に、写真の仕事なんてほとんど行った事がない。一緒にずっと音楽をしていたし、夜は飲めない酒を飲みに連れて行かれ、アシスタントを辞めて大学を卒業した後、就職もせずに夜のお兄さんをしていた。

そもそもが夜型だったことも

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明日からまた、生きられる

明日からまた、生きられる

私は小さな旅を繰り返している。

今、旅のパッキングをしている最中で、少し疲れたから文字を書き始めてみた。

旅と言っても次は東京での仕事がありますから、たった2週間足らずで蜻蛉返りの小さな旅なのだけれど。旅人と言っても生活があるのだから、こればっかりは仕方がない。毎度忙しないなと思いながらも、かれこれ2年以上この生活を続けている。

美しく生きる為に

美しく生きる為に

役所広司主演、ヴィム・ヴェンダース監督の映画「PERFECT DAYS」を鑑賞した。自分と重なる部分もあるし、役所広司演じる平山のように生きることが出来たらと、羨ましくも思った。その余韻を感じながら書いてみる。

正直な写真

正直な写真

少しだけ詩の良さを理解出来る年齢になった気がした。

学生時代に銀色夏生を少しだけ読んだけれど、まだよくわからなかった。今でも大好きな江國香織の詩集も当時に読んだけれど、エッセイや小説の方が好きだった。

詩に対する感覚が変わって来たのも、写真をちゃんと撮れる様になった事と関係しているな、と感じた。漸く経験値が溜まったのだろうか。

背景と舞台、スチルとシネマ、撮影者と傍観者。

背景と舞台、スチルとシネマ、撮影者と傍観者。

ポートレートとひとことで言っても、まあ沢山あります。所謂ポートレートと呼ばれているのは、カメラ雑誌の表紙的なアレです。

SNS大好きマンの私が見ている感じ、少しずつですがシネマ的と言うか、MV的なと言うか、そんな写真が増えて来ている感じがします。ちょっと試してみたのでその感想をば。

現代の情緒

現代の情緒

情緒、という言葉を見て何を思うだろうか。

見たことのある過去の景色を思い浮かべることもあるだろうし、小説や音楽など、ビジュアル以外から想起される心象風景を思い浮かべる人もいるかもしれない。

ぱっと思いつく情緒にも様々あるけれど、最近少し感じた現代の情緒について綴ってみる。

試行錯誤の速度

試行錯誤の速度

写真が上手な人は、どういった撮影をしていただろうか、と、少し考える機会があった。

撮影行為は、確率の高い未来予測を短いスパンで繰り返す事、だと考えているのだけれど、その「未来予測」の部分に大きな違いがある様な気がしてならない。小足見て昇竜余裕でした、なんて言ってみたいものだが、現実をそこまで正確に捉えられる人間なぞ、そう居ない。

我々凡人には、扱える武器が限られているのだ。

CP+ 2024 LUMIXフォトウォーク講師作例

CP+ 2024 LUMIXフォトウォーク講師作例

こんにちは、写真家のKeng Chi Yang (弥永拳太)です。

昨年のCP+に引き続き、今年もLUMIXでのワークショップやフォトウォークでの講師を務めました。新製品やプロモーションなど、様々な場所でご一緒できて嬉しい限りでございます。会場でもメーカー問わず、沢山のユーザーの方とお話しが出来て楽しかったです。

来年以降に開催されるCP+でのLUMIXフォトウォークの参考になればと思い、実際

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露出の役割を考える

露出の役割を考える

カメラを扱う上で避ける事が出来ない「露出」について。

露出は一般に言う明るさ。鑑賞者に与える印象や、RAW現像前提で撮影をする場面など、様々な状況で遭遇する。その露出が持つ役割と扱い方について書いてみる。

適当に撮ること

適当に撮ること

ワークショップなどの際に、よく言ってしまっていた言葉がある。

「適当に撮れば今のカメラは綺麗に撮れる」

我々が思っている適当の範囲は、思っているよりも狭く、本来の意味での適当らしい。

適当に撮る、とはどういう事なのか。

変わらぬ日常と、変わり続ける日常

変わらぬ日常と、変わり続ける日常

雪山に10日間住んでみた。

これから並べる写真は、雪国に縁のある人には当たり前の景色だと思う。ただ、見慣れているものって、その地方の特徴であることが多い。

雪国の道路は消雪パイプからの井戸水で水浸し、ナイターが始まると夜は不気味に焼け、雪掻きの為に側溝の蓋を開ける。雪国では、当たり前が過ぎる日常。

それでも晴れ間が続けば、雪は溶け、杉の葉は緑になる。そんな記録。

旅をしていても、こんな機会

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写真家になる為に

写真家になる為に

漸く写真家になれたなあ、と感じたのは去年ぐらいか。

まだまだではあるけれど、一応10年以上カメラマンとして仕事をしてはいる。我々写真を撮っている側からすると、カメラマンと写真家ってちょっとだけニュアンスが違う。

どっちでも良いんだけどね。

誰が作品を完成させるのか

誰が作品を完成させるのか

写真家にとって、展示は小さくない意味を持つ。展示でのディレクションを他者に委ねることは、どういうことなのか。