くじらの森


昨日までは骨だけだったくじら
皮からか肉からか
じっくりじっくり時間をかけて
命が芽吹く気配がする

夏になれば夜でもないのに
何もかもがキラキラと輝き
大海を泳ぎ不自由を知らない
あの時のくじらになるのだろう

泳ぎ疲れたくじらは
ひとつまたひとつと
身を落としていったのか

そして再び骨だけになったくじらは
冷たい冷たい海の底で
暖かさを告げに鳥たちが来るのを
ただじっと待つのだろう

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