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No.20ノンフィクション小説「ブロークンライフ!!」

ノンフィクション小説「ブロークンライフ!!」No.19はこちら

2016年10月末

13:00頃
週末の土曜日、僕はイェンの家の近くのカフェにいた。

(甘〜…甘党だけど、最近この甘さにも飽きたな)

ベトナムのアイスミルクコーヒー、
カフェスダを飲みながらそんな事を思う。
日本のミルクコーヒーと違うのは、
始めに、練乳をたっぷり入れるのだ。
その結果、物凄く甘くなる。

イェンの家は、僕の家から、
タクシーで20分程の所にある。
日本よりも安いとは言え、
毎回タクシーを使うのもバカらしいので、
最近は、ライドシェアリングサービスの、
Grabを利用する事が多くなった。

(まだかな〜)

そんな事を思っている間に、
イェンが到着した。

「Sorry!! I’m late!」

「I know you are late.hahaha」

「Hey don’t cheat me!バシッ!!」

「Why you hit me!!」

お互い笑っている。最近では、

随分と打ち解けて来て、

もうベトナム語・日本語勉強会の口実も

どこかに行ってしまった。

「Where we go?」

「How about going to movie?」

「Sound’s nice! Ok! Ride my bike!」

「It’s mine!バシッ!!」

僕らは、映画館に向かって走り出すのだった。

イェンが観たい映画は、

日本アニメの、「エンピツしんちゃん」だ。

上映している映画館が少ないらしく、

僕らはかなり遠くの、10区に向かわなければならない。

いつも通り、僕が運転しながら、

イェンが、覚えたての日本語で指示を出す。

「ミギ!!」

「ok」

「Oh!ヒダリ!!」

「どっち!?」

こんな調子だから、なかなか目的地に
近付かない。

その内に、雨が降り出した。

「Oh my god!!」

「We will arrive soon!!」

もう間もなく上映時間のため、
僕らは、止まらずに走り続けた。

だが、なかなか着かない。
そのうちに、雨は徐々に強くなっていく。

「Not yet?」

「Shouldn’t be so far!」

更に雨が強くなり始めた時、イェンが、

「Here!!」

と声をあげた。

すかさず、建物の
屋根の下に滑り込んだ。

「Finally we arrive…」

「Yes…」

長い距離を走り、
おまけに雨で、
二人は既にグッタリだった。

しかし、映画は既に始まっている。

「Hurry up!!」

どちらともなく声を上げ、
チケット売り場に向かってダッシュしていく。

チケットを購入し、
イェンを先に行かせて、
僕は、ポップコーンと、
飲み物を買う。

品物を受け取った僕は、
映画館に急いだ。

すると、何と、イェンが
入り口に立っている。

「Why are you here?」

「Ah… yeah,,,」

なぜかイェンの歯切れが悪い。

「Let’s go!!」

僕は構わず、中に入った。

すると、すぐにイェンの
気まずそうな理由が分かった。

上映されている「エンピツしんちゃん」は、
ベトナム語だったのだ。

おまけに、字幕なし。

「プッ!!ハハハ!!」

声を押し殺しながらだったが、
僕は笑ってしまった。

イェンは、僕の反応が意外だったらしく、
困惑した表情をしている。

「Ok anyway let’s have sheets」

僕は笑いながら言った。

席を取り、落ち着くと、
「Why were you laughing?」

「Ah I just feel funny.
Because it’s like a comedy!haha」

「Haha It’s true.」
映画館に向かう途中、大雨に降られ、
やっと辿り着いたら、僕が理解出来ない、
ベトナム語版だった。素晴らしく、オチまでついている。

僕らは、映画に集中し始めた。

(とは言え、ベトナム語なのは変わらないんだよな…)

きっと理解出来ないだろうと思ったのだが、

しんちゃんの破天荒なキャラクターや、
背景を理解していると、言葉は分からなくても、
意外とストーリーを理解出来て、
楽しめるものだ。

「Hahaha!」

笑い声をあげる僕を見て、
イェンも安心したようで、
映画に集中し始めた。

終わってから、
イェンと近くのカフェに入り、
登場人物のセリフや、
ストーリーの答え合わせをする。

「Wow excellent!! You almost understood everything!!」

「Yeah!! Because I’m genius!!」

「No!!バシッ!!」

映画がベトナム語だったのには
多少驚いたが、蓋を開けてみれば、
意外と楽しめたし、その後の
イェンとの会話も弾んだので、
ヨシとしよう。

「What do you wanna eat for dinner?」

「フーティウマッ!!」

「I know!!haha」

〇〇通りに、ベトナムの麺料理、
フーティウが美味い店があり、
ここは僕のお気に入りだ。
いつも、何が食べたいか聞かれると、
ここを必ず答える。

僕らはバイクで移動する。
バイクに乗りながら、僕はある事をずっと考えていた。

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