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「一万円選書」当選物語:#1『夏への扉』

 私が「一万円選書」に当選するまでとその後、選んでいただいた10冊の本について紹介していくシリーズ物note。

 今回からは私が実際に選んでいただいた10冊の本をそれぞれ紹介していきます。今までのnoteはマガジンにまとめていますのでよろしければどうぞ。

 記念すべき1冊目はロバート・A・ハインライン著『夏への扉(原題:The Door Into Summer)』。ちょうど夏ということもあってまずはこの本から。

 主人公は牡猫ピートと暮らす技術者ダン。彼を「技術者」と呼ぶべきか「天才発明家」と呼ぶべきか、はたまた大失恋の末、何十年もの「冷凍睡眠(コールドスリープ)」状態になることを選んだ「ハートブレーカー」と呼ぶべきか…。

 1956年(60年以上前…!)に発表されたSF小説ですが、2019年の今読んでもまだまだ実現されていないアイディアが盛りだくさん。1956年に書かれたとは思えないほど。あまりいろいろ書くとこれから読む方の楽しみを削いでしまうので、タイトルにもある、主人公と暮らす「猫」にフォーカスした感想を。笑

 個人的に注目すべきは主人公ダンの牡猫ピートに対するほどよい距離感。猫可愛がりする訳でもなく、かといって疎むでもなく、「ただそばにいる」相棒のような存在。

 私も13歳の頃から猫が身近にいたので、なんとなく猫という生き物については少しわかる気がします。必要以上に甘えてこないけれど、甘えてくるときは甘えて、気が向いたらまたどこかへ行って、いつのまにかそっとそばにいる。猫は実に自分に正直な生き物だなぁと思います。犬や他の動物もそうかもしれませんが。

 時には猫のようにたくましく、そしてしなやかに生きていきたいと思わせてくれる作品でした。この夏の一冊にぜひ。


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ありがとうございます。いつかの帰り道に花束かポストカードでも買って帰りたいと思います。