黒珈|くろこ|ビジネスラノベ作家

モノづくりの会社で働いている🐈‍⬛です。ビジネスSS【営業課長の心得帖】 新感覚学園小説【…

黒珈|くろこ|ビジネスラノベ作家

モノづくりの会社で働いている🐈‍⬛です。ビジネスSS【営業課長の心得帖】 新感覚学園小説【twenty all】 ライティング手法【あのストーリーの向こう側へ。】Kindle出版。 noteでは【備忘録】シリーズ、新感覚学園小説 【straight(駅伝)】を連載中。

マガジン

  • 【小説】straight(ストレイト)

    新感覚の学園小説です。 ある事件の責任を取るカタチで地方に左遷された、某飲料メーカーに勤める元箱根駅伝選手、澤内悠生。 ひょんなことから地元の女子高校駅伝部のコーチを引き受けることになり……。

  • 週末ストーリィランド

    週末にひと繋ぎのものがたりをご提供いたします🐈‍⬛☕️✨

  • 【備忘録】シリーズ

    「四条畷紗季の備忘録」シリーズを纏めました。 【主な登場人物】「四条畷紗季」某食品メーカー本社マーケティング部担当課長。真面目で優秀だが少し天然。「寝屋川慎司」紗季の上司。家族とトンカツを心から愛する副部長。

  • 【黒珈の雑記帳】

    お知らせやつぶやきなどなど🐈‍⬛☕️

  • 【黒珈メソッド(有料記事)】

    部下やメンバー、自分自身のステージアップに繋がる【心得帖】などなど

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【新刊発売】『あのストーリーの向こう側へ。』Kindle出版しました!

2024年5月1日(水)新刊発売! 『あのストーリーの向こう側へ。 〜ものがたる電子書籍作家のひとりごと〜』 ビジネスラノベ作家の黒珈が、 「キャラクター」「ストーリー…

【小説】「straight」111

「ウソつきジュース、飛んでいけえーっ!」  河川敷で遊んでいた男の子達が、大声で叫んで足元の缶を蹴る。  『YES』と印刷されたそれは、むなしく宙を描いて、川の…

【小説】「straight」110

「澤内さん」  ズンズンと歩を進めていく悠生に、光璃が声を掛けた。  彼の心中を察してか、その口調は幾分控えめである。 「どこに行くんですか?」 「そうやそうや、…

【小説】「straight」109

 記者団が風の様に消えたあと、しばらくその場に佇んでいた稔流が、悠生の方をゆっくりと見て言った。 「という訳だ、君にも迷惑をかけたな」 「……」  悠生は、むっつ…

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第8話

 シャッターに触れた指先に、全神経を集中させる。  一瞬の予断も許されないため、悠生はこの3時間、ずっと同じ姿勢を保っていた。  額から、滝の様に汗が流れ落ちて…

【小説】「straight」108

 稔流の話を要約すると、次の様になる。  モカコーラとBWの業務提携は、以前から双方の役員レベルで話題に上がっていた。  提携推進派だった福山副社長は、慎重派の…

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第7話

「こんな話、誰も信じる訳ないよね」 「そうね」  再び風の森へと戻って来た、悠生と久深。  彼は肩に掛けたバッグからカメラを取り出して、セッティングを始めた。 「…

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【小説】「straight」106

 その事には、当然マスコミ各社も気が付いていた。  彼らは、スタンドの興奮が一通り収拾したのを見て、一斉に行動を起こした。 「澤内コーチ、おめでとうございます」 …

【備忘録SS】それは「優しい」ハンドオーヴァー

「引継書……ですか?」 「ああ、そうなんだ」  四条畷紗季は、目の前で頭を抱えている彼女の上司、寝屋川慎司副部長に問い掛けた。 「さすがに、全く無いというのは。見…

【小説】「straight」105

「よく頑張ったな、光璃」  澤内は、肩に掛けていた大きなスポーツタオルで光璃を包み、頭を優しく撫でてやった。 「へへへ」  最愛の人に抱き締められて、彼女は満足そ…

【小説】「straight」104

 目の前に、大きなトラックフィールドが広がっている。  光璃が競技場に入った瞬間、スタンドから大きな拍手と歓声が響いてきた。 「何だ、急に人数が増えたんじゃない…

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「終わったわね」  松澤の乗ったパトカーを見送った豊田は、背中に掛けられた言葉に振り返った。 「……お前か」  スーツ姿の女性を見て、彼は吐き捨てる様に言った。 …

【小説】「straight」102

 縁石に軽く跳ね返ったそれは、絶妙なタイミングで転がって、走り込んで来た光璃の足元へと向かう。  その瞬間、沿道から飛び出した一人の男が、転がってきた缶をぐしゃ…

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第6話

「……ひょっとしたら、それは風吹橋の話かも知れんのう」  暫く考え込んでいた老人は、やがて思い当たった様に口を開いた。  久深の告白を聞いた後、悠生は自分も風の…

【小説】「straight」101

「リタイアだと?!」  増沢は、手にしたスマートフォンを思わず取り落としそうになった。  第五区の選手が、ガードレールに激突して途中棄権。  これで、地区大会出場…

【新刊発売】『あのストーリーの向こう側へ。』Kindle出版しました!

【新刊発売】『あのストーリーの向こう側へ。』Kindle出版しました!

2024年5月1日(水)新刊発売!
『あのストーリーの向こう側へ。
〜ものがたる電子書籍作家のひとりごと〜』

ビジネスラノベ作家の黒珈が、
「キャラクター」「ストーリー」「ライティング」を全力でものがたる一冊が纏まりました。

✅『文章が単調と言われる』
✅『思っていることがなかなか伝わらない』
✅『提供したい価値のクオリティを上げたい』
こんな悩みを解決します。

ブランド・コンダクターの【さ

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【小説】「straight」111

【小説】「straight」111

「ウソつきジュース、飛んでいけえーっ!」

 河川敷で遊んでいた男の子達が、大声で叫んで足元の缶を蹴る。

 『YES』と印刷されたそれは、むなしく宙を描いて、川の手前のよどんだ湿地にぼちゃんと落ちた。

 その様子をボーッと眺めていた悠生は、背後に人の気配を感じて振り返る。

「ホントは、戻りたかったんじゃないですか?」
 缶ジュースを両手に持った制服姿の光璃が、彼の横に腰を下ろしながら言った。

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【小説】「straight」110

【小説】「straight」110

「澤内さん」
 ズンズンと歩を進めていく悠生に、光璃が声を掛けた。
 彼の心中を察してか、その口調は幾分控えめである。

「どこに行くんですか?」
「そうやそうや、ウチはもうクタクタやで」
 額に大きな絆創膏を貼った真深は、思わず本音を漏らした。
 彼女だけじゃない、他の4人も心身共に疲れ切っていた。

「……ここら辺でいいか」
 競技場から少し離れた公園で、悠生は足を止めた。
 しかし、背中は向

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【小説】「straight」109

【小説】「straight」109

 記者団が風の様に消えたあと、しばらくその場に佇んでいた稔流が、悠生の方をゆっくりと見て言った。

「という訳だ、君にも迷惑をかけたな」
「……」
 悠生は、むっつりと黙り込んでいる。
 そんな彼に構わず、稔流は幾分弾んだ声で話を続ける。
「先代同様、俺は君の商品に大変興味を持っていてね。どうだい、もう一度研究所に戻って、会社復興の為に力を貸して貰えないか?」

 この言葉に、悠生は一歩前に進んだ

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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第8話

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第8話

 シャッターに触れた指先に、全神経を集中させる。

 一瞬の予断も許されないため、悠生はこの3時間、ずっと同じ姿勢を保っていた。
 額から、滝の様に汗が流れ落ちている。
 日没まで、あと30分……

「……ダメか」
 彼の傍らに座っていた久深は、膝を抱えて呟いた。
「考えてみれば、今年が当たり年という保証は無いわ。一年後、二年後、それ以上かも」

「どんなに小さくても、可能性のあるうちは決して諦め

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【小説】「straight」108

【小説】「straight」108

 稔流の話を要約すると、次の様になる。
 モカコーラとBWの業務提携は、以前から双方の役員レベルで話題に上がっていた。

 提携推進派だった福山副社長は、慎重派の大西社長を押さえ込む為、ある秘策を打った。
 BWの株を、モカコーラの役員に横流しにしたのである。
 更に、悪知恵が働く彼はstraightドーピング事件を画策、社長以下その一派を一掃した。

 この時の実行部隊が、モカコーラ専務である松

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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第7話

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第7話

「こんな話、誰も信じる訳ないよね」
「そうね」
 再び風の森へと戻って来た、悠生と久深。
 彼は肩に掛けたバッグからカメラを取り出して、セッティングを始めた。

「今でも数年に一度、風吹橋を見かけたという情報が寄せられているらしい」
 地元の観光局に問い合わせた内容を、彼女に伝える。
「良い写真をフレームに収めて、次のコンテストで最優秀賞を狙う。君のお兄さんが受賞作品を見れば、必ず戻ってくるさ」

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【小説】「straight」107

【小説】「straight」107

 稔流の発言に、ポカンとなった記者達。
 真っ先に我に返った記者のひとりが、口を開く。

「あなた、何か勘違いされてません? 我々が今日ここに来たのは『straightドーピング事件』に関与した疑いのある澤内悠生氏が高校女子駅伝に選手を送り込んだ、という情報を入手したからで、あなたの就任記者会見を撮りに来た訳じゃありません」

「その情報を流したのは、わたしだ」
「え?」
「何っ!」
 彼の話を聞

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【小説】「straight」106

【小説】「straight」106

 その事には、当然マスコミ各社も気が付いていた。
 彼らは、スタンドの興奮が一通り収拾したのを見て、一斉に行動を起こした。

「澤内コーチ、おめでとうございます」
「佐山さーん、こっち向いてください!」
「創部二年目の学校が初優勝、コーチの手腕もあったかと思いますが、それだけじゃないでしょう?」
「試合前、選手達が飲料を飲んでいたのを目撃した人がいるんですが、ドーピングじゃないでしょうね」
「全国

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【備忘録SS】それは「優しい」ハンドオーヴァー

【備忘録SS】それは「優しい」ハンドオーヴァー

「引継書……ですか?」
「ああ、そうなんだ」
 四条畷紗季は、目の前で頭を抱えている彼女の上司、寝屋川慎司副部長に問い掛けた。

「さすがに、全く無いというのは。見間違いではないでしょうか?」
「ボクもそう思ったのだけれど、これが事実なんだよ」

 先月末、とある業務を委託していた外部の会社が倒産。
 急遽彼女達の部署でその業務を巻き取ることになったのだが、問題が発覚。
 それは、当該業務の主担当

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【小説】「straight」105

【小説】「straight」105

「よく頑張ったな、光璃」
 澤内は、肩に掛けていた大きなスポーツタオルで光璃を包み、頭を優しく撫でてやった。
「へへへ」
 最愛の人に抱き締められて、彼女は満足そうな表情を浮かべた。
 そこへ、残りの4人が飛び込んで来る。
「やったあ光璃っ!」
「優勝よォっ!」
「ウチにも触らせろっ!」
「この色男っ!」
 ひと固まりになってぎゃーぎゃー騒ぎだした6人に、スタンドの観客はいつまでも惜しみない拍手を

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【小説】「straight」104

【小説】「straight」104

 目の前に、大きなトラックフィールドが広がっている。

 光璃が競技場に入った瞬間、スタンドから大きな拍手と歓声が響いてきた。

「何だ、急に人数が増えたんじゃないか?」
 あまりの声援に、営業課長は驚いて腰を浮かした。

 何故こんなに人が集まったのか?
 それは、テレビ中継の効果であった。
 中継車まで動員した大手民放は、レギュラー番組を急遽取りやめ、全国に桔梗女子VS聖ハイロウズ学園の熱戦を

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【小説】「straight」103

【小説】「straight」103

「終わったわね」
 松澤の乗ったパトカーを見送った豊田は、背中に掛けられた言葉に振り返った。

「……お前か」
 スーツ姿の女性を見て、彼は吐き捨てる様に言った。
「畜生、せめてあの野郎を一発殴ってやりたかった」
「そんな事したら、あなたまで刑務所行きじゃない」
 弥生は、たしなめるようにそう言った。
「澤内君と、走れなくなっちゃうわよ」
「……それは困る」
 気を取り直した豊田は、目の前に居る謎

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【小説】「straight」102

【小説】「straight」102

 縁石に軽く跳ね返ったそれは、絶妙なタイミングで転がって、走り込んで来た光璃の足元へと向かう。

 その瞬間、沿道から飛び出した一人の男が、転がってきた缶をぐしゃっと踏みつぶした。

 慣性で前に行きそうな身体の勢いを殺し、くるっと彼女に背を向ける。

 一瞬、そちらを向いた光璃だったが、何でもないと判断したらしく、再び前を向いて走りを続けた。

 驚いたのが、増沢。
「何っ?!」
 渾身のタイミ

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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第6話

【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第6話

「……ひょっとしたら、それは風吹橋の話かも知れんのう」
 暫く考え込んでいた老人は、やがて思い当たった様に口を開いた。

 久深の告白を聞いた後、悠生は自分も風の色捜索に加わりたいと申し入れた。
「伝説的なものは、地元の人に聞くのが一番」
 そう思った彼は、バイトの空き時間を利用して、彼女と近くの漁村等を尋ね歩いた。

 空振りが続いた3日目に、ようやくこの老人のひと言と出会えたのだ。
「どんな、

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【小説】「straight」101

【小説】「straight」101

「リタイアだと?!」
 増沢は、手にしたスマートフォンを思わず取り落としそうになった。

 第五区の選手が、ガードレールに激突して途中棄権。
 これで、地区大会出場条件である二位以内確保の望みも完全に絶たれた事になる。
「揃いも揃って、この役立たずが!!」
 怒鳴りながら通話を切った彼は、ギャラリーが詰めかける市役所通りの沿道へと戻った。

「……結局、信じられるのは自分だけか」
 彼の右手には、

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