来戸 廉

主に、短編、ショート・ショートを書いています。過去作、新作を交えて公開しております。好…

来戸 廉

主に、短編、ショート・ショートを書いています。過去作、新作を交えて公開しております。好きな作家は、星新一、阿刀田高、サキ、池波正太郎、柴田錬三郎、葉室麟 他。

マガジン

  • 【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記

    私の息子、ターちゃん(当時5歳)とアーちゃん(同じく3歳)の一年間を、絵本風に綴ってみました。 睦月《むつき》   (1月)   初詣、お正月 如月《きさらぎ》  (2月)   雪、お遊戯会 弥生《やよい》   (3月)   卒園式 卯月《うづき》   (4月)   入学式 皐月《さつき》   (5月)   目覚まし時計、アーちゃんの変化 水無月《みなづき》 (6月)   潮干狩り、プール 文月《ふみづき》  (7月)   カマキリ、ターちゃん警察 葉月《はづき》   (8月)   セミ取り、お願い 長月《ながつき》  (9月)   自転車、写真 神無月《かんなづき》(10月)  かけっこ、えのぐ 霜月《しもつき》  (11月)  ミカン狩り 七五三 師走《しわす》   (12月)  クリスマス、大掃除

  • ショート・ショート

    今まで投稿したショート・ショートを纏めました。2,000文字以下の短い話ですが、「落ち(下げ)」に拘って書いてます。

  • 短編

    今まで投稿した短編を纏めました。

  • ショート・ショート ちょびっとブラック編

    今まで投稿したショート・ショートを纏めました。少しブラックめいたもので、2,000文字以下の短い話です。「落ち(下げ)」に拘って書いてます。

  • 短編 ちょびっとブラック編

    少しブラックめいたものを纏めました。

記事一覧

固定された記事

サイトマップを作りました。

 改めまして、来戸 廉と申します。主に、短編、ショート・ショートを書いています。過去作、新作を交えて公開しております。  好きな作家は、星新一、阿刀田高、サキ、…

来戸 廉
2か月前
57

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 神無月

かけっこ  アーちゃんは一緒に遊ぼうとターちゃんの帰りを待っています。  だけど、この頃ターちゃんはアーちゃんに構ってくれません。 「ただいまーっ。いってきまー…

来戸 廉
19時間前
8

知らなかった!!!!!
先日間違えて2本投稿したことに気づいて1本を下書きに戻したのですが、それを投稿しても新規投稿とはカウントされないみたいで、連続投稿が102日で終わってしまいました。とほほ……です。
あまりせこいことはするなと言うことでしょうね。また頑張ります。

来戸 廉
1日前
3

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 長月

自転車 「車に気を付けるんだぞ」  パパが見ている前を、ターちゃんが颯爽と自転車で駆け抜けます。アーちゃんの自転車がその後を追いかけます。ガラガラと補助輪をけた…

来戸 廉
1日前
8

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 葉月

セミ捕り 「あーい」  アーちゃんは、小走りに公園から家へと向かいます。ターちゃんが、ジュースを持って来るように命じたからです。 「車に気を付けろよ」  パパが、…

来戸 廉
2日前
9

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 文月

カマキリ 「あいつ、何かいいことがあったのか」  ターちゃんのことです。パパは、朝食のパンをかじりながら、ママに尋ねます。 「今日の生活課の授業は、屋外観察だって…

来戸 廉
4日前
6

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 水無月

潮干狩り 「あーあっ、やっちゃった」  ぬかるみに足を取られたアーちゃん、尻餅をついてしまいました。 「気持ち悪いでしょ。着替えに戻ろう」  こんなこともあろうか…

来戸 廉
4日前
9

100日連続投稿、達成しました。最初の頃、もっと計画的に投稿していればもう少し早くに達成できたはずのですが、当時はここまで続けられるとは思ってもいませんでした。次の目標は、120日連続投稿です。「スキ」が一つでも二つでもあれば頑張れます。よろしくお願いします。

来戸 廉
5日前
9

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 皐月

目覚まし時計  アーちゃんは、自分から何かが欲しいと言ったことが、余りありませんでした。  パパは、ターちゃんが玩具をねだる時、一緒にアーちゃんにも尋ねます。 「…

来戸 廉
5日前
7

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 卯月

入学式  ターちゃんの顔が強ばっています。いつもはじっとしているのが大の苦手のターちゃんも、今日は大人しくしています。  それもそのはず。今日は、小学校の入学式…

来戸 廉
6日前
8

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 弥生

卒園式  今日は、ターちゃんの卒園式。年少のアーちゃんは、お休みです。 「あっという間だったね」  ママは、ターちゃんが初めて登園した時のことを思い出しました。…

来戸 廉
7日前
8

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 如月

雪 「おーい、起きろ。雪だぞ」  パパが開け放した窓から飛び込んでくる冷気。アーちゃんは、生まれて初めて雪を見ました。 「すごーい!」  夕べから降り続いていた雪…

来戸 廉
8日前
10

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 睦月

初詣 「初詣に行こうか」  夕食の時、突然パパが言い出しました。 「初詣って、何?」  とアーちゃん。 「それはね……」  パパが説明しますが、ほとんど首を傾げてい…

来戸 廉
9日前
9

【ショート・ショート】夜のバス

 男は、夜のバスに乗り込んだ。この街を出るのに夜行バスを選んだことに、特別な理由などなかった。  ガラガラの車内、一番後ろの席に座るなり目を閉じた。眠れるはずは…

来戸 廉
10日前
14

【短編】五ノ鹿町観光協会案内係。96話目にして、やっとシリーズ化できそうな話が書けました。
今まで投稿した記事(短編、ショート・ショート)は単発物ばかりで、筋もそうですが、人物を考えるのが結構大変でした。
近いうちに、続編を投稿できるよう準備していきます。乞う御期待。

来戸 廉
11日前
4

【短編】五ノ鹿町観光協会案内係(後編)

3 リダイアル  リダイアルボタンを押すと携帯電話の番号が表示された。数回の呼び出し音の後、 <はい、志村です>  若い声が出た。さっきの偏屈な老人の声ではない。…

来戸 廉
11日前
6
固定された記事

サイトマップを作りました。

 改めまして、来戸 廉と申します。主に、短編、ショート・ショートを書いています。過去作、新作を交えて公開しております。  好きな作家は、星新一、阿刀田高、サキ、池波正太郎、柴田錬三郎、葉室麟、他です。  幼少の頃は漫画ばかり読んでいました。小学4年生ぐらいだったと思いますが、夏休みの宿題で読書感想文を書くというのがありました。その時選んだ本が、「813」でした。数字だけの書名に惹かれて手に取りました。ルパン物です。面白かったでのすが、読書感想文を書くにはそぐわない本でした。

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 神無月

かけっこ  アーちゃんは一緒に遊ぼうとターちゃんの帰りを待っています。  だけど、この頃ターちゃんはアーちゃんに構ってくれません。 「ただいまーっ。いってきまーす」  ターちゃんは帰るや否や出掛けてしまいます。  またもアーちゃん、当てが外れたようです。 「ちょっと、どこ行くの?」とママ。 「タクちゃんちーっ」 「車に気を付けるのよ!」  ママは小さくなっていく背中に声を掛けます。  今日は久しぶりに、二人でいつもの公園に出掛けるようです。  ターちゃんはビニールのボ

知らなかった!!!!! 先日間違えて2本投稿したことに気づいて1本を下書きに戻したのですが、それを投稿しても新規投稿とはカウントされないみたいで、連続投稿が102日で終わってしまいました。とほほ……です。 あまりせこいことはするなと言うことでしょうね。また頑張ります。

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 長月

自転車 「車に気を付けるんだぞ」  パパが見ている前を、ターちゃんが颯爽と自転車で駆け抜けます。アーちゃんの自転車がその後を追いかけます。ガラガラと補助輪をけたたましく鳴らしながら。  そろそろ補助輪は外さないと危ないようです。  パパが工具箱を手にアーちゃんを呼びます。 「なあに」 「ちょっと自転車、貸して」  ターちゃんも戻ってきて、何が始まるのかと、興味津々。補助輪が外されるのを、心配そうに見つめるアーちゃん。 「これで、よし。行くぞ」  早速、近くの公園で練習が始

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 葉月

セミ捕り 「あーい」  アーちゃんは、小走りに公園から家へと向かいます。ターちゃんが、ジュースを持って来るように命じたからです。 「車に気を付けろよ」  パパが、小さな後ろ姿に声をかけます。 「あーい」  深くかぶった白いシャッポは汗でびっしょり。日差しは衰えを知りません。それでも、アーちゃんは真っ赤な顔をして、家まで走り続けます。  アーちゃんは、玄関に入るや否や、声を張り上げます。 「マーマっ、マーマっ」  声を聞きつけて、ママが家事の手を休め、顔を覗かせます。 「

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 文月

カマキリ 「あいつ、何かいいことがあったのか」  ターちゃんのことです。パパは、朝食のパンをかじりながら、ママに尋ねます。 「今日の生活課の授業は、屋外観察だって」 「いっぱい、虫、捕まえるんだ」  ターちゃん、満面の笑みです。 「バーカ」  パパは呆れ顔です。  昼過ぎ、満面に笑みを浮かべて学校から帰って来た、ターちゃん。得意げに、ママの目前に虫カゴを突き出します。ママは、恐る恐る覗きます。 「あら、カマキリ一匹だけなの?」  ターちゃんは、慌ててカゴの中を探します。

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 水無月

潮干狩り 「あーあっ、やっちゃった」  ぬかるみに足を取られたアーちゃん、尻餅をついてしまいました。 「気持ち悪いでしょ。着替えに戻ろう」  こんなこともあろうかと、着替えは用意してあります。ママに手を引かれて、とぼとぼと休憩所まで引き返す、アーちゃん。  今日は、パパの会社の催し物に参加して、浜松まで潮干狩りに来ています。  前日。 「潮干狩りって、何?」  アーちゃんの、質問責めが始まります。ターちゃんが一所懸命説明していましたが、ターちゃんとて生き物図鑑でしか知ら

100日連続投稿、達成しました。最初の頃、もっと計画的に投稿していればもう少し早くに達成できたはずのですが、当時はここまで続けられるとは思ってもいませんでした。次の目標は、120日連続投稿です。「スキ」が一つでも二つでもあれば頑張れます。よろしくお願いします。

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 皐月

目覚まし時計  アーちゃんは、自分から何かが欲しいと言ったことが、余りありませんでした。  パパは、ターちゃんが玩具をねだる時、一緒にアーちゃんにも尋ねます。 「アーちゃん、何がいいの?」 「うーん」 「ターちゃんとは違うのでも、いいんだよ」  アーちゃん、悩んだ後、 「同じでいい」  ある日。  そんなアーちゃんが、みんながびっくりするほど大きな声で泣いて、欲しがった物があります。  それは……。  おじいちゃんが、ゴルフのコンペで貰ってきた置時計でした。  よくよく

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 卯月

入学式  ターちゃんの顔が強ばっています。いつもはじっとしているのが大の苦手のターちゃんも、今日は大人しくしています。  それもそのはず。今日は、小学校の入学式。  真新しいジャケットが動き難そうです。初めてのネクタイが息苦しいのか、盛んに首の回りを気にしています。  パパとママと三人で学校まで歩いていくと、途中で幼稚園の友達に出会いました。みんな着慣れない服に、勝手が違うようです。  やっとターちゃんの顔に、少しだけ笑みが戻りました。  掲示板で、自分のクラスを確認し

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 弥生

卒園式  今日は、ターちゃんの卒園式。年少のアーちゃんは、お休みです。 「あっという間だったね」  ママは、ターちゃんが初めて登園した時のことを思い出しました。  嫌がるターちゃんを何とか宥めながら、ママは園まで送ります。  だけど、それからが大変。先生にターちゃんを預けて、ママは心を鬼にして振り返らずに帰ります。 「ママーっ、ママ-っ」  ターちゃんと一緒に泣きながら……。 「一ヶ月、毎日が戦いよ。大変だったわ」  ママはしみじみとあの頃を振り返ります。  年小の時

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 如月

雪 「おーい、起きろ。雪だぞ」  パパが開け放した窓から飛び込んでくる冷気。アーちゃんは、生まれて初めて雪を見ました。 「すごーい!」  夕べから降り続いていた雪は、朝になると十センチ近く積もっていました。三年ぶりです。 「雪ダルマを作ろう」  異口同音に、パパとターちゃん。 「アーちゃんもやる」  ママに厚着させられたアーちゃん、雪ダルマのようです。 「アーちゃん、こっちに来てごらん」  アーちゃんは外に出て、玄関の脇の木の枝に積もっている雪に手を伸ばしました。  指が

【連載】ターちゃんとアーちゃんの歳時記 睦月

初詣 「初詣に行こうか」  夕食の時、突然パパが言い出しました。 「初詣って、何?」  とアーちゃん。 「それはね……」  パパが説明しますが、ほとんど首を傾げています。二人が理解したのは、今日だけは夜更かしをしても叱られないということ。 「準備はいいか?」  待っている間が寒いからと、ママ。着膨れた二人を車に乗せて、除夜の鐘を合図に神社へ向かって出発です。  駐車場から神社に向かうと、既に鳥居から商店街まで、長い行列ができていました。待ち時間は読めません。  暇を持て

【ショート・ショート】夜のバス

 男は、夜のバスに乗り込んだ。この街を出るのに夜行バスを選んだことに、特別な理由などなかった。  ガラガラの車内、一番後ろの席に座るなり目を閉じた。眠れるはずはなかった。それでも目を瞑ったのは、迷いを断ち切りたかったから。  この街で過ごした三年間が、ボストンバック一個に詰まっている。あまりにちっぽけで、あまりにも軽い。自分がこの街で生きていたことが嘘のように思える。  男は歌で世に出たかった。三年間で芽が出なかったら、すっぱり諦めて田舎に帰る。上京する時から決めていた。

【短編】五ノ鹿町観光協会案内係。96話目にして、やっとシリーズ化できそうな話が書けました。 今まで投稿した記事(短編、ショート・ショート)は単発物ばかりで、筋もそうですが、人物を考えるのが結構大変でした。 近いうちに、続編を投稿できるよう準備していきます。乞う御期待。

【短編】五ノ鹿町観光協会案内係(後編)

3 リダイアル  リダイアルボタンを押すと携帯電話の番号が表示された。数回の呼び出し音の後、 <はい、志村です>  若い声が出た。さっきの偏屈な老人の声ではない。 「私、五ノ鹿町観光協会案内係の菅野と申します。先程、こちらにお電話頂いた方の電話でよろしいでしょうか?」 <えっ? 電話ですか? 僕はした覚えはありませんが……> 「そうですか。先程年配の方からお電話を頂いて、名前はお伺いしなかったのですが、私共の着信履歴に電話番号が残っておりましたので……」 <あっ、そうか、分