【短編】五ノ鹿町観光協会案内係(後編)
3 リダイアル
リダイアルボタンを押すと携帯電話の番号が表示された。数回の呼び出し音の後、
<はい、志村です>
若い声が出た。さっきの偏屈な老人の声ではない。
「私、五ノ鹿町観光協会案内係の菅野と申します。先程、こちらにお電話頂いた方の電話でよろしいでしょうか?」
<えっ? 電話ですか? 僕はした覚えはありませんが……>
「そうですか。先程年配の方からお電話を頂いて、名前はお伺いしなかったのですが、私共の着信履歴に電話番号が残っておりましたので……」
<あっ、そうか、分