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冬の記憶

雪が降った。
私は雪が好きだ。だから嬉しかった。下宿先から大学までの道中二人で静かで穏やかだけど心のどこかで童心に帰るような気持ちで登校した。

途中で雪だるまを作った。手のひらサイズの。
東京の雪はすぐに無くなってしまうから雪だるまの寿命も短かった事だろう。

雪の日はライカと決めている。それもなるべくカラーで。理屈は無い。とにかくそういうことにしている。

コリドー街



今やコリドーのHubは満員電車で酒をあおるような活気。そのほかの店も週末ともなれば大賑わい。そんな中一人で歩く女性。すれ違ったあと振り返ったらふらりふらりとお店をのぞくように見ていた。彼女はこの日楽しかったのだろうか。だれかと待ち合わせを待っていたのだろうか。少しだけ気になって、撮ってみて現像したら、少しだけ思い出した。
夏の前、一瞬だけ訪れる夜の寒さに漂っていた彼女。
#東京 #コリドー街

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病院の裏 月



プロフィールにもあるとおり、休職中だ。
流行の躁鬱に始まり、その処方薬をオーバートーズして酒を飲んでおかしくなって、いつ寝たのかすら何もわからなくなって、闇に落ちていく。そんな日々の繰り返しを通り過ぎて、今もお休み中。

病院の先生は薬をくれる。私が来るからだろうか?何の目的なのか作用的にはわかっても、寛解への道のりの中、いま自分がどこにいるのかわからなくなる。
そんな中今日も病院へ行く。

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三度目の正直



自立支援制度の申請のため区役所へ行った。
自立支援制度はずっとお医者様から勧められていて過去二回そのための申請用診断書をもらっていた。でも自分が公共の福祉を頂くと思うといろいろ考えてしまって申請していなかった。
今回はもうそうでもしないとならないと思い、区役所へ行った。似たような人ばかりが来るのか、非常に丁寧にかつ迅速に手続きが終わった。三ヶ月後には手帳が届くという。その日から申請用紙の写しで

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夏と冬



長かった梅雨も終わり、いよいよ夏本番のようだ。

小さい頃、毎年夏に伊豆へ旅行へ連れて行ってもらっていた。今思うと年に一回とはいえ、結構な贅沢旅行だったように思う。
夏の思い出と言えばその旅行が主だ。他にも少しはあるけれど。
大学生になってその旅行もなくなり夏の思い出は自分で作るようになった。見たこともない田舎のひまわり畑、免許合宿で2週間のホテル暮らし、ディズニーシーにドライブなどいろいろな

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夏の路地裏、自分のこと



夏になった。天気がよかった。まだこの日は爽やかな風が吹く良い夏の日だったように思う。今日もこの裏通りを通って病院へいく。急峻な明暗比が人間の目が優秀であることを実感させてくれる。白黒だったら一体どんな現像をすればベストプリントになるだろうかとぼんやり思いつつ、でも入っているのはカラーネガだからと言い聞かせ、目測で露出値を決定する。

この日からもう幾日が経った。その後病院にも二回行った。効か

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否定されるということ



プロフィールにもあるとおり休職中。双極というか躁鬱というかうつ病というか。

母にそのことを打ち明けていなかった。単純に心配をかけたくなかったし、そんなことをまた言っているのか、甘えだ!と否定されるのも少し疲れていたからだった。
ただ言えていないこともまたストレスだった。週末に実家へ帰れば元気なフリをして適当な事をいう。そんなことにも疲れていた。だから意を決して伝えてみた。病院で言われたこと、

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若者≠今の自分 夏



何年経ってもおもいだしてしまうな
ないかな ないよな
きっとね いないよな
会ったら言えるかな
まぶたをとじて浮かべているよ

今の夏はいつ始まったかわからない。日差しと煮えるような空気だけが体に夏を知らせている。胸に響く強烈な反射。

まだまだ歌の中のような、夏のピークを通り過ぎる日が見えることはない気がする。
なんていったってまだ花火を見ていないから。
花火を見なかったら今年を何年たっても

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飛行機雲



空に憧れて 空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲

高いあの窓で あの子は死ぬ前も
空を見ていたの 今はわからない
他の人には わからない
あまりにも 若すぎたと
ただ思うだけ だけど幸せ

空に憧れて 空をかけてゆく
あの子の命はひこうき雲

住まいは9階だ。きっとユーミンが指した高いあの窓とは違うけど部屋の窓からは東京の地面のない街並みの上辺が見える。夜になると小さく東京タワーが光って

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