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「霊能者を名乗る人間の中には、結構インチキな詐欺師がいるから気をつけろ」 友人や会社の…
「お兄ちゃん、お小遣いちょうだい」 絵に描いたようなリア充の妹が仕事から帰ってクタクタ…
長子(ちょうこ)さんの足音が好きだ。 纏足(てんそく)かと思うほど小さな足で、しのびやか…
健太は死んでしまった。 私に全く懐(なつ)かない猫を残して……。同棲を始めて一年も経…
ダブル不倫の末の駆け落ちは、一年足らずで後悔と怒りにまみれた。楽園に行くはずが、地獄に…
俺は子供の頃から猫が好きで好きでたまらない。暇さえあれば、YouTubeで猫を見て楽しんでい…
トラ猫の「トラ」が、どのような経緯でグループホーム「春の里」の飼い猫になったのかを知っている職員は、もう古参の施設長しかいない。ヘルパーも介護士もこの七年の間で入れ替わってしまったのだ。 もともとトラは、十年前に入所した秋山美智子の飼い猫だった。夫亡きあと、大きな家でトラと暮らしていたのだが、認知症が進んで一人暮らしが難しくなった。 しかし「トラと離れては暮らせない」と言って、老人ホームに入ることを拒み、ほとほと困り果てた娘が、夫の知り合いである「春の里」の経営者に泣き
窓辺に座って海を見つめているヘンドリックの背中を、お菊は気配を消して見つめていた。出島…
ママの恋人の生田(いくた)さんは、誰が見てもイケメンだ。シュッとしていて礼儀正しいフェミ…
父ちゃん、マジで頼むよ。俺、もう二十歳だよ。いい加減子離れしてくれよ。俺は父ちゃんの子守…
「好きな人ができた……」 夫から告げられた時、来栖(くるす)はさほど驚かなかった。 ああ、…
下働きの娘が奥の部屋で一人黙々と手ぬぐいをたたんでいるのを見かけて、つい「手伝おうか?…
「これから私は、生まれて初めて本物の犯罪を犯す」 車を降りた涼子は麻のワンピースのシ…
キッチンから跳ねるような水音が聞こえてくる。まだ覚醒しきっていない頭では、今が朝なのか夕方なのかわからない。壁時計を見上げると四時半を指していた。そろそろ華子の好きな薄暮の時間だ。冬の夕方、薄明の西の空が青から黄金色へ、そして赤へと刻々と変わっていくのを眺めながら九十年の人生をなぞるのが、この頃の習慣になっている。 華子は介護ベッドの脇にある小さなテーブルの上のフォトフレームを見やった。ウエディングドレスに身を包んだ曽孫(ひまご)とともに写真を撮ったのはちょうど一年前だ。