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タコの滑り台 〜竹島園地公園〜

今は亡きタコの滑り台

昔々と言っても

僕が小学生くらいの頃

竹島水族館のすぐそばに

海を間近に見ながら遊べる

公園があった

そこには太陽の様に

真っ赤っかなタコの滑り台が

あって土日ともなると

子ども達の笑い声で

いつも賑やかだった

波音と海鳥の声と子ども達の

はしゃぐ声が真っ赤なタコを

中心にぐるぐると渦を巻き

穏やかな時間が流れていた

タコの足が滑り台になって

いってそこを滑るには

つるつる滑る斜面を

しがみつきながら

登っていかなければ

いけない

子どもが遊ぶには

まあまあ難易度の高い遊具

だったけれどそれでも

子ども達は

子ども達なりの知恵と勇気と

好奇心で工夫して

楽しんでいた

手すりはないから勢いよく

走っていって一気に中腹まで

駆け上っていく子や

四肢を突っ張り棒がわりにして

踏ん張りながら力任せにぐわしぐわしと

登っていく子たち

タコの足の真ん中を

くり抜いた様な滑り台だから

へりにしがみつきながら

登っていったり

友達と力を合わせて登頂を試みたり

子ども達は各々の好奇心を

駆使して楽しみ

大人たちもベンチに座って

そんな子どもたちの様子を

みたり海を見たり

誰もがそこでは有意義な時間を

過ごし満喫していた

タコの滑り台がいつのまにか

なくなってしまっていた事が

僕にはショックだった

真っ赤なタコの滑り台

足を滑らせて頭を打って

痛い思いをしたし

登るのに一苦労したけれど

思い出は歳月を重ねていく

程に愛おしくなって

いくもので

35歳になった今もまだ

あの頃の真っ赤な

タコの滑り台で

出来る事なら遊びたいと

思ってしまっている

僕がいる

今は一面青々とした

芝生が敷かれ

その向こうには

蒲郡の海と竹島が見える

懐かしいタコの滑り台

あの日あの時この場所で

僕ははしゃぎまくって

遊んでいたのだ

今は亡きタコの滑り台

寄せては返す波音が

懐かしい記憶を

思い出させてくれる


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